表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のキョウダイ  作者: ジータ
第一章
32/309

第31話 ゴブリン達との戦い 後編

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 リリアがゴブリンキングと戦い始めた頃、ハルトとタマナもゴブリンと戦い始めていた。


「ハルト君、私が後ろから援護します。だから思いっきり暴れちゃってください!」

「わ、わかりました!」

「大丈夫ですよ。私これでも結構魔法の扱いには自信があるんです。緊張しすぎると力が出し切れませんから。リラックスしながら戦いましょう」


 初めての実践ということで若干緊張気味のハルト。それを見たタマナはハルトを安心させるように微笑む。

 その甲斐もあってか、若干緊張のほぐれるハルト。初めて握る剣の重さに驚きながらも、しっかりと持ち手を握るハルト。

 ハルトの前にいるゴブリンの数はざっと十匹程度。ハルトはまず一匹だけ少し離れた所にいたゴブリンに狙いを定めて斬りかかる。リリアの言った通り、無理して数匹を相手にするのではなく、確実に一匹ずつ倒す。そうハルトは決めていた。


「はぁっ!」


 まだ剣に魔力を纏わせることのできないハルトは、魔力を体の強化に使う。足に魔力を集中させて素早く動くということを意識していた。最初にハルトの標的にされたゴブリンは、思いもよらぬ速さで近づいてきたハルトに意表を突かれて硬直してしまう。その隙を見逃すハルトではない。覚悟を決めて剣を振り下ろす。そしてハルトの剣は狙い通りゴブリンの体を切り裂く。


(っ……動揺するな。戦いの途中に動揺したらボクがやられるんだから)


 初めて生き物の命を奪ったということを感じながら、ハルトは剣を構える。

 他のゴブリン達はハルトに仲間が倒されたことなど気にせずにハルトに襲いかかってくる。

 そんなゴブリン達の足を止めるようにタマナが魔法を放つ。タマナは回復魔法を中心として覚えているので、攻撃系の魔法はあまり得意ではなかった。しかし、それでもゴブリンの足止めくらいは十分にできる。


「くらいなさい! 【ファイア】!」

「ゲギャッ!」


 突然襲いかかってきた炎に驚いたゴブリン達は思わず足を止めてしまう。そしてその隙にハルトがまた一匹ゴブリンを倒す。


「その調子ですハルト君。焦らずに一匹ずつ倒していきましょう!」

「はい!」


 タマナがゴブリン達を分断して、一匹になったゴブリンをハルトが倒す。そうやってハルトとタマナは少しずつゴブリン達の数を減らしていった。それでもゴブリンメイジによって強化されているゴブリンということもあって、ハルト達も楽に勝てているというわけではなかった。


「あと少しです、気を抜かないでください!」


 そして残りのゴブリンが四匹となった頃、ゴブリンキングの傍で事態を見守りつつ呪文を唱え続けていたゴブリンメイジがとうとう動き出す。

 そして、ゴブリンメイジが繰り出したのは召喚術。多くのゴブリンが召喚されてハルト達の方へと向かって来る。しかし、目の前のゴブリンに集中しているハルト達はそれに気づかない。

 そして、召喚されたゴブリン達に気付いたのはタマナの方が先だった。


「っ! これは……まずいです、ハルト君一度引いてください!」

「え?」


 そう言われてハルトは初めて自分に近づくゴブリンの集団に気付く。少しずつ戦いに慣れ始めているとはいってもまだまだ初心者。三十を超えるゴブリンを相手にできるほどではない。


「一度距離をとります。あの数は危険です!」

「わかりまし——タマナさん! 危ない!」


 タマナに言われるがままに引こうとするハルト。しかしその直前で、ゴブリンメイジがタマナに向けて魔法を放とうとしていることに気付く。とっさに呼びかけるがすでに遅い。


「え、きゃあああああああっ!」

「タマナさん!」


 ハルトは全力でタマナの所へと走り、庇うように覆い被さる。その直後にハルトとタマナを襲う衝撃。ハルトとタマナの意識はそこで途切れてた。






□■□■□□■□■□■□■□□■□■□


「ハルく、ハルトォオオオオオオオオオオッ!!」


 リリアの悲痛な叫びが森の中に響く。

 ゴブリンメイジが放った火球がハルトとタマナを襲う。巻き上がる爆炎。そして、煙が晴れた時、そこには倒れたまま動かないハルトとタマナの姿があった。

 それを見た瞬間、リリアの頭が真っ白になる。


「ハルトッ!」


 リリアは自分が傷つくこともいとわずにハルトの元へと駆ける。無理やり動いたせいでゴブリンキングに剣に斬られたが、それすらも気にしていない。

 ハルト達に止めをさそうと近づくゴブリン達よりも早くハルトの元へとたどり着く。

 

「ハル君! しっかりして、ハル君!」


 リリアの呼びかけにも反応しないハルト。その体はタマナを庇ったということもあってか、隣に倒れるタマナ以上に傷ついていた。

 傷つき、倒れているハルトの姿を見たリリア。その心の中に湧きあがってくるのは憤怒の感情だ。


「ゲギャギャギャッ!」

「ギャッギャッギャッ!」


 三人の内二人を倒したことで勝利を確信したのか、高らかに笑うゴブリンキングとゴブリンメイジ。それに釣られるように他のゴブリン達も笑い出す。

 しかし、リリアの耳にゴブリン達の笑い声は届いてはいなかった。


「許さない……」


 気を失っているハルトのことを優しく寝かせながらリリアは剣を握って立ち上がる。リリアの頭の中は今にも爆発しそうなほど怒りに満ちていた。


「お前ら……生きて帰れると思うなよ!」


 その瞬間、リリアの中で何かが弾け、それまでとは桁の違う姉力がリリアの体を包む。


「ゲギャッ? ギャギャ!」


 リリアの様子がおかしいことに気付いたゴブリンキングが他のゴブリン達をリリアにけしかけ、数の暴力で一気に勝負をつけようとする。ゴブリンメイジもまた魔法の詠唱を始める。


「……【姉眼】」


 姉眼を使うことでリリアの視界が一変する。ゴブリン達がどこから、どんな風に攻撃しようとしているのか。それが手に取るようにわかる。しかし、一匹ずつ相手にしていたのでは埒が明かないとリリアは考える。静かに目を閉じたリリアは、自分の中に新しく芽生えたスキルを使うことにする。

 意識を集中させたリリアはカッと目を見開き叫ぶ。


「【姉の威圧】!」


 瞬間、リリアの体から放たれる圧力。それを受けたゴブリンキング以外のゴブリンがピクリとも動けなくなる。そしてそれはゴブリンメイジも同様だった。

 突如として動きを止めた仲間達に動揺を隠せないゴブリンキング。動かないゴブリン達の首を刎ねながらリリアは一歩ずつゴブリンキングへと近づく。

 なぜ突如としてゴブリンが動けなくなったのか。その理由はリリアの新しいスキルにあった。

 【姉の威圧】。それは弟や妹に対して効力を発揮するスキルであった。その効果は単純明快。【姉の威圧】を受けた弟妹は動けなくなるのだ。そして、ゴブリンは多産の種族。リリアが【姉眼】で確認した時、ゴブリンキング以外は全員弟か妹であった。だからこそ、リリアのスキルを受けて動けなくなったのだ。


「そのまま死んでいきなさい」


 リリアが剣を振るい、剣圧だけでゴブリンを処理しながら歩く。

 そしてとうとう残るはゴブリンキングとゴブリンメイジだけになる。リリアから放たれる常軌を逸した圧力に思わず後ずさる。


「怖がってるの? さっきまでの威勢はどうしたのよ」

「ゲ……ギャ」

「安心しなさい。一匹残らず、同じ場所に送ってあげるから……地獄にね」


 さらに一筋の剣閃がきらめき、硬直したままだったゴブリンメイジの首を刎ねる。


「さぁ、これで残るのはゴブリンキング、あなただけ……覚悟はいいわね」

「ゲ……ゲギャギャギャッ!」


 勝てないと、そう判断したゴブリンキングは一も二もなくリリアに背を向けて逃げ出す。しかしそれを許すリリアではない。姉力を足に集中させ、一気にゴブリンキングに前へと躍り出る。


「逃がすと思ってるの」

「ゲギャッ!?」

「情けもなにも与えない。ハル君を怪我させたことを後悔しながら死んでいきなさい!——【幻姉剣】!」


 ほとんど同時に繰り出される四つの剣閃。そして本命の剣閃を隠すために姉力で放たれるさらに四つの幻の剣閃。

 四方八方から襲い来る斬撃にゴブリンキングは戸惑いを隠せない。防ごうにもどれを防げばいいのかがわからない。


「ゲ、ギャアアアアアアアアッ!!」


 断末魔の悲鳴を上げながらゴブリンキングは絶命していった。

 こうして、新たな力に目覚めたリリアの手によってゴブリンは全滅したのである。



今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントしていただけると私の励みになります!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は3月4日21時を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ