第306話 大きな力の代償
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ライと一緒に階下の食堂へとやってきたリリアが目にしたのは、机の上に山の如く大量に積まれた料理だった。
「え、なにこれ」
リリアの身長よりも高く積まれた料理に、思わず呆然とそう呟いてしまうリリア。
「んぐ、むぐ、あむ……おぉ、起きたのか」
そんな料理を怒涛の勢いで口に放りこんでいたのがロウだ。肉料理を中心にロウは全て喰い尽くさんばかりの勢いで食べ続けていた。
「なんかもう見てるだけでお腹いっぱいになりそうなんだけど」
「奇遇だな。俺もだよ」
「リント、そこにいたのね。料理の山で見えてなかったわ」
山の向こう側から聞こえてきた声に、ようやくリントの位置を把握するリリア。
「ねぇライ。彼、いつもこうなの?」
「さすがにいつもはこうじゃない。そんなことしてたら食費が持たない。こうなるのは、あれを解放した後だけ」
「あぁ、なるほど。それなら納得だけど」
ライの言う“あれ”とはベヒーモスのことだ。
リリアを圧倒するほどの力を持つ存在。それを解放したともなれば何かしらの影響があって当然。そう考えれば目の前にある料理の山にも納得だった。
「それにしても食べ過ぎだとは思うけど」
「んごくっ、ぷはぁ……まぁ俺もそう思うけどな。でも食わないとあいつが俺のこと食おうとしてくるからな。満足するまで食うしかねぇのさ」
「あの図体を満足させるだけ食べようと思ったら相当食べないといけないんじゃないの?」
「まぁな。だからあんまりあいつのこと召喚したくないんだ。食費がバカにならないから」
「食費って……まぁ確かに切実な問題ね」
「伝説の魔獣も食費次第って、夢があるのかないのかよくわかんねぇな」
「ははっ、だろ? 俺もそう思うよ」
そんな話をしている間にも目の前の料理の山はみるみる減っていく。気持ち良いほどの食べっぷりだ。
「まぁとにかく座ってくれ。俺は食べながらで悪いが、今後についての話をしようぜ。あ、なんか食べたいなら頼んでくれていいぞ。どうせ二人分増えた所で大して変わらないだろうからな」
「遠慮するわ。寝起きでそこまでお腹空いてないもの」
「俺も右に同じくだ。というか見てるだけで腹いっぱいになる」
「そうか? 遠慮しなくていいんだけどな。それじゃあさっそく本題に入るか」
本題。そもそもリリア達がベヒーモスと戦うことになったのは、お互いの力量を見極めるため。そしてロウの抱えているものを知るためだ。
「ベヒーモスと戦ってみてどうだった?」
「正直期待以上だったわ。また機会があれば挑戦したいくらいね」
「俺は二度とごめんだけどな。あんなの命がいくつあっても足りねぇぞ」
「あら、でもこうして生きてるじゃない」
「結果的にな!」
「そうかしら? たとえ私達がどれだけ弱かったとしても、あのベヒーモスが私達を殺すことは無かったと思うけど。その辺りどうなのかしら?」
「なんでそう思ったんだ?」
「戦っている間ずっと感じてた。どこか力を抑圧されてるような、言ってしまえば手綱を握られているような感覚。それをあのベヒーモスに対して感じていたわ」
リリアはどんな仕組みかは理解できていなかったが、ベヒーモスが全力を出せないような仕組みがロウとベヒーモスの間であるのだろうと考えていた。
「召喚主であるあなたがそうしてたんでしょう?」
「……正解だ。まぁとは言っても完璧じゃねぇんだが。最後の一撃なんかは完全に俺の制御を離れてたからな」
「やっぱり危なかったんじゃねぇか!」
「こうして生きてるんだから気にすることないでしょう」
「だから結果論は止めろって! ったく、お前はホントに」
「まぁまぁ喧嘩するなって。確かに結果論ばっかなのはよくないかもしれないけど、二人とも無事だった。今はそれでいいだろ?」
「ベヒーモスを召喚したお前がそれ言うか……」
「それでどうなのかしら。私達の実力はあなたのお眼鏡に適った?」
「……どういうことだ?」
「私達があなた達のことを試してたように、あなた達も知りたかったんでしょう。私とリントの実力を。だからどうだったかって聞いてるの。あ、ちなみに私の方は問題無しよ。あんな力を見せてもらったんだもの。文句無しね」
「……ははっ、気付かれてたか」
「むしろ気付かれないと思ってたの?」
「ちょっと露骨過ぎたな。当然こっちも文句無しだ。まさかあのベヒーモスに対してあそこまでの力を見せてくれるとは思わなかったってのが正直な感想だ」
「そう。なら契約成立ね。これからよろしく」
「あぁ、こっちこそよろしく頼む」
そう言ってリリアとロウは握手を交わした。
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