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最強のキョウダイ  作者: ジータ
第三章
308/309

第305話 成長の実感

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

「ん……ここは……」


 リリアが目を覚ました時、視界に飛び込んできたのは見知らぬ天井だった。

 木製で、あまり綺麗な天井とは言えない。いわゆるボロい天井だった。


「どこ?」


 記憶の中を探るが、どの場所とも一致しない。

 体を起こしたリリアは全身に走る痛みに顔を顰める。


「っぅ……」


 それはベヒーモスと戦っている最中に体を『姉力』で強化し続けたことによる後遺症とでもいうべきもの。必要以上に体を酷使したことで、リリアの想像以上に体はダメージを負っていたのだ。


「気づかなかったけど、思った以上に力入ってたのかな。でもそれにしてもここは……宿?」


 ざっと周囲を見回したリリアは、この場所が宿であるということに気づいた。

 ベッドなどは簡素なものの、部屋の中は思った以上に綺麗に整えられていた。


「でも宿だとして、どこの? というか誰の?」

 

 外の様子を見ようとリリアが立ちあがった時、ちょうど同じタイミングで部屋のドアが開いた。

 部屋に入って来たのはライだった。その手には水瓶とコップが乗ったお盆がある。


「あ、起きた。よく寝てたね。もう夕方だよ」

「夕方……そういえば」


 そこでようやくリリアは部屋から差し込む日がオレンジであることに気づいた。リリアが思っていた以上に時間が経過していたのだ。

 

「私……あの後どうなって」

「覚えてないの?」

「覚えてないって……あ、そういえば」


 ベヒーモスとの戦いを終えた後のこと。

 そのままロウとライと話合おうとしたリリアだったが、立ち上がったその時にそのまま意識を失ってしまったのだ。

 原因は言うまでもない。ベヒーモスと戦ったダメージだ。戦っている最中は気にする余裕もなかったが、戦い終わり、気が抜けたことで一気に疲労とダメージが襲ってきたのだ。


「思い出した? まぁ無理もないと思うけど。あのベヒーモスと戦ったんだし」

「……そっか。そうだよね」


 グッと自分の拳を握るリリア。確かにリリアはベヒーモスと戦った。そして生き延びた。

 だが——。


「思ったような成果は得られなかった?」

「……そういうわけじゃないけど」


 最後の瞬間、リリアは確かに扉を開いた。それは次の成長へと繋がるものだ。しかし、今はまるで何も感じない。

 いつも強者と戦った後には確かに得られていた成長の実感すらも。


「ベヒーモスは間違いなく強者だった。これまでに戦ってきた中でもトップクラスに。それなのに……」


 だがそれでも戦っている最中に確かに感じていた高揚感は残っている。戦った実感も。


「成長ってそんなに簡単なものじゃないでしょ」

「まぁ……そうね。少し焦り過ぎてたのかもしれない。簡単に強くなれても面白くないし」

「面白くないって、あなたは面白さで強さを求めてるの?」

「そういうわけじゃないけど。でも、せっかくなら面白い方がいいってだけ」


 リリアは強くなるためなら手段は選ばない。リスクとリターンを考えて、リターンが勝つならばたとえ大きなリスクでも承諾するだろう。もちろん前提としてハルトを悲しませるようなことはしないというものはあるが。


「……あなたはどうしてそんなに強くなりたいの?」

「決まってるじゃない。ハル君……弟のためよ。それ以外に強さを求める理由なんてないわ。ハル君の前に立ち塞がる壁を全て壊す。そのために私は強さを求める」

「弟のため……」

「その意味で私は心からの戦士とはいえないかもしれないけど。まぁ強さを求める理由なんて人の数だけあるわ。私はその中でも一番ありがちな理由よ。誰かのためにってね」

「誰かのために強くなりたいってだけで、神話の怪物に勝負を挑める人なんてそうそういないと思うけど」

「かもしれないわね」


 リリアがライに言ったことは嘘ではないが、全部ではなかった。

 少し前からリリアが感じているどうしようもない焦燥。何かが起こるのではないかという予感。それもまたリリアが強さを求める理由だった。

 何かあった時に後悔をしたくないと思っていたから。


「……兄さん達が下で待ってる。もう動けそう?」

「えぇ、それくらいなら問題ないわ」

「じゃあ行こう。ついでに夕飯の用意もしてもらう」

「それはありがたいわね」


 そして、リリアとライは階下で待つリントとロウの所へと向かった。



 


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!

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