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最強のキョウダイ  作者: ジータ
第三章
307/309

第304話 さらに先へ

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 ベヒーモスの放ったブレスが迫る。

 最早避ける余裕などあるわけがない。人間など容易く消し炭にできてしまうであろうほどの力がそこには込められていた。

 ブレスが眼前に迫る中、リリアは世界の全てが静止したような感覚に襲われていた。

 

(なに、この感覚……これが走馬灯?)


 思い起こされるのはこれまでの人生。宗司であった頃と、そしてリリアになってからの両方。

 思い出の中心は姉の月花と、弟のハルトのことばかり。宗司であった頃は月花が全ての中心だった。そしてリリアとなってからはハルトが中心となった。

 どちらもリリアにとってかけがえのない存在。リリアの生きる力を与えてくれる存在だ。


(死ぬ、当たれば死ぬ。あれはそういう光。今の私じゃ防げない……姉障壁も間に合わない。終わる? 私、ここで……死ぬの?)


 その事実に行きついた瞬間、ドクンと激しく心臓が跳ねる。

 思い出すのは宗司であった頃に月花を失った時の感覚。足元から崩れ去るような、世界の全てが真っ暗になってしまったかのような、空恐ろしい感覚。

 暗闇の中で真っすぐ前を歩くことすらできなくなってしまった。そんなリリアの前に現れたもう一つの光。それがハルトだった。

 リリアはそんなハルトいう光を守るために、そしてハルトにとっての光となれるように力を求めた。


(もうハルトに会えなくなる。ハルトの心に傷をつけてしまう。そんなこと、そんなこと絶対に)


「許さないっ!!」


 たとえ相手が自分自身であったとしても、ハルトを傷つける存在は許さない。

 そう思った次の瞬間のことだった。

 

「あ——」


 目の前が開けるような感覚と共に、体の内から溢れんばかりの『姉力』が湧き上がってくる。

 そして——。


「【姉界——】」





 光の束が降り注ぎ、リントの視界を真っ白に染め上げる。


「っ! うわぁああああっっ!!」


 なんとか直撃こそ避けたリントだったが、その余波だけでも衝撃は凄まじく、リントは地面を転がされることになった。


「っぅ、お、おいリリアッ!! 返事しろリリア!」


 ベヒーモスの直下、ブレスの先にはリリアが居た。あの距離ではとても避け切れたとは思えない。

 最悪の想像がリントの脳裏を過る。


「兄さん、さすがに……」

「……いや」


 ベヒーモスの本気の一撃を見て、さすがにまずいのではないかという顔をするライだったが、兄であるロウはそうは見ていなかった。


「どうやら俺の想像以上だったみたいだ」

「え?」


 ブレスによって巻き上がった土煙が晴れる。

 残されたのはブレスによる破壊の片鱗、しかしその中心には人影があった。


「あ……嘘」

「あぁ、リリア・オーネス。どうやら聞いていた以上の逸材だったみたいだ」


 生まれたクレーターの中心に立つリリア。しかし、リリア自身も何が起こったかわからないという表情で呆然としていた。


「でもさすがにここまでだな」


 ロウがパチンと指を鳴らすと途端にベヒーモスがその動きを止め、その場に伏せる。

 そして、それとほぼ同時にリリアがペタンと地面に座り込む。


「リリアッ!」


 どこか怪我をしたのかと心配して駆け寄るリントだったが、リリアに目立った傷は無かった。


「大丈夫か?」

「う、うん。大丈夫……ちょっと、気が抜けたみたい。それにちょっと、力を使いきったかも」


 ブレスを防いだ時に『姉力』を全て使いきってしまったのか、リリアは上手く体に力を入れることができなくなっていた。


「でも……」


 己の両手を見つめるリリア。

 あの瞬間、リリアは確かに扉を開いた。しかし、今はもうその感覚が残っていない。

 一瞬だけ起きた奇跡だったのか、それとも確かな成長の兆しなのか。それはリリアにもわからない。


「ううん、関係ない。奇跡だったとしても、もう一度その奇跡を掴んで、今度こそ自分のモノにしてみせる」


 決意とともにリリアはそう呟いた。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!

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