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最強のキョウダイ  作者: ジータ
第一章
18/309

第18話 イルの正体

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

「もうそろそろ来る頃ね」


 時計を見たリリアが言う。ハルトはずっとソワソワとしていて、アウラ達が来る前から緊張していた。


「ミッドさんが連れてくるって言ってたよね」

「あぁそのはずだ。あいつが忘れてなければな」

「ミッドさんなら大丈夫でしょ」

「あいつがしっかりしてるのはお前がいる時だけだがな」

「え、どうして?」

「……はぁ、あいつも報われないな。同情はしないがな」

「?」


 本気でわからないといった表情のリリアを見てルークがため息を吐く。愛する娘が年頃であるというにも関わらず、浮いた話が一切ないことに安堵すればよいのか心配すればよいのか、複雑なルークであった。

 そんな話をしていると家の扉がノックされ、ミッドが入って来る。


「ルークさん、連れてきました」

「そうか。入ってもらえ」

「はい」


 外で待っていたアウラ達をミッドが家の中へと案内する。入って来たのはアウラと騎士二人、そしてハルト達の見たことのない少女だった。外には騎士が数人いる。


「お邪魔いたします」


 そう言って頭を下げるアウラと騎士達。しかし、少女だけはハルト達と目も合わせず、家の中を見て鼻で笑う。


「はっ、小さい家だな。これが噂の《勇者》様のいる家かよ」

「イル!」

「ふん……」


 いきなり失礼なことを言った少女、イルに対して厳しい視線を送るアウラ。しかしイルは素知らぬ顔だ。


「すいません。後できつく言っておきますので」

「いや、気にしなくていい。家がそれほど大きくないのは事実だからね。どうだマリナ、これを機にいっそ増築でもするか」

「それもいいかもしれないわね」


 イルに言われた失礼なことを全く気にしていないルークとマリナ。しかし、唯一リリアだけが少し目つきが変わる。それを機敏に感じとったハルトは先ほどまでとは違う理由で緊張する。


「それで、そちらのお嬢さんは?」

「オレはお嬢さんじゃねぇ!」

「イル! 何度もすいません。この子については後ほどきちんと説明いたしますので」

「そうですか。まぁ立ち話もなんですからどうぞお座りください」


 席に着いたのはアウラとイル、そしてルークとハルトとリリアだ。


「それでは改めて自己紹介を。私はアウラ・ミルスティン。神殿で《聖女》として働いています。この子はイル。イル・ミルスティンです」

「ミルスティン?」

「えぇ、私の妹……ということになっています」

「なっている?」

「この子は少々訳ありでして」


 そこで少しだけアウラが困ったような顔をする。


「なるほど。オレはルーク。ルーク・オーネス。ハルトの父親だ」

「私はリリア・オーネスよ」

「えーと、ボクはハルト。ハルト・オーネスです」

「? ハルト?」


 それまでハルト達のことを見ようともしなかったイルが、ハルトの名前を聞いた途端に様子が変わる。そしてハルトの顔をまじまじと見ていきなり叫び出す。


「あ、てめぇはあの時の!」

「え?」


 いきなりイルに睨まれたハルトはわけがわからず目を白黒させる。


「忘れたとは言わせねぇぞ! あの時オレに恥かかせやがって。表に出やがれ、すぐに決着つけて——むぐっ」

「イル……あなたはどうやら私のことを怒らせたいようですね。そこまで怒られたいならいいでしょう。心の奥底からの恐怖というものを……教えてあげましょうか」

「ひぅっ!」


 底冷えするようなアウラの瞳。それに睨まれたイルは背中に氷を差し込まれたような感覚に襲われる。しかし、それだけではない。


「あなた……ハル君をどうしようって言うの?」

「あ……」


 射貫くような殺気に当てられてイルの股間の辺りに生温かい感覚が生じる。もちろん、その殺気の主はリリアだ。凍り付く部屋の中の雰囲気。しかし、それを振り払うようにマリナが全員分のお茶をもって入って来る。


「こらリリア。何女の子怖がらせてるの。あなたも落ち着いて」

「いたっ」

「す、すいません」


 リリアはマリナに叩かれ、窘められたアウラもまた申し訳なさそうにする。


「イルちゃん……だっけ。ちょっとこっちに来てくれる」

「…………」


 イルは何も言わずにマリナについて行って隣の部屋へと消えていく。

 それを見届けたリリアは、前にいたアウラに話しかける。


「それで、なんなのあの子は」

「はぁ……そうですね。その話からにしましょうか。ハルト君、《神宣》の時のことを覚えてる? 私と会った時のことを」

「え、あぁ。はい。覚えてます。クローディルさんがマースキン家の人に絡まれてて、そこに割って入って……アウラさんに助けてもらいました」

「助けたなんてほどじゃないけどね。それでその……」


 急に歯切れ悪くなるアウラ。しばらくの逡巡の後、意を決したように口を開く。


「あの子は、イルは……その時いたマースキン家のガイルなの」

「……はい?」


 言われていることの意味が分からずアウラに問い返すハルト。


「ガイル・マースキン。それがあの子の正体よ」

「えぇえええええ!!」


 ハルトの驚く声が家の中に響き渡った。



今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントをしていただけると私の励みになります!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は2月13日21時を予定しています。

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