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最強のキョウダイ  作者: ジータ
第二章
173/309

第171話 リリアの行方

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 リリアとミレイジュの雑談はすっかり長くなってしまっていた。ミレイジュの尽きることのない興味に丁寧に答え続けるハルトと、話題は尽きることはなく話はずっと続いていた。リオンは途中で話を聞くのにも飽きてアルトの隣で眠りこけている。


「うふふ、リリアさんってばハルト君にはそんなこと言うんですねぇ」

「はい。いつもそんな感じで……優しいのは優しいんですけど、ちょっと行き過ぎてる時もあるっていうか」

「私の知ってるリリアさんとは大違いですねぇ。私には大しては雑な扱いばかりなんですけどぉ。放り投げられたりしたこともありましたし」

「えぇ!? ご、ごめんなさい。姉さんに代わって謝ります」

「別にいいんですよぉ。気にしてませんからぁ。あれも愛情表現だと思えば可愛いものですぅ。でも本当にハルト君のことが好きなんですねぇ。ブラコンここに極まれりって感じですぅ。まぁでも気持ちはわかりますよぉ。私もハルト君みたいな弟がいたらきっと同じことしちゃいますぅ」

「ミレイジュさんは兄弟はいないんですか?」

「んー……ハルト君、私の弟になりませんかぁ?」

「はぇ!?」

「ふふふ、冗談ですよぉ。そんなことしたら私がリリアさんに殺されちゃいますよぉ」

「そ、そうですよね。さすがに冗談ですよね」

「本気で言うと思いましたかぁ?」

「いや、それはさすがに思いませんけど」


 ミレイジュは常ににこやかに話しているせいでどこまで本気で話しているのかわからないというのがハルトの本音だった。話しているだけでその優しさは伝わってくるのだが、どこか本音を掴ませない雰囲気がミレイジュにはあった。どれも本音で、どれも本音ではないようにハルトには見えてしまったのだ。


「ハルト君のお姉さんはリリアさんだけ、ですもんね」

「……はい。そうですね」

「妬けちゃいますねぇ。羨ましい姉弟の絆ですぅ。あ、もうこんな時間になってましたねぇ。全然気づきませんでしたぁ」

「え、あ、本当ですね」


 ふと時計を見れば時刻はすでに夕方に近くなっていた。話しに夢中になっていたハルト達は全く気付いていなかったのだ。


「さすがにこれ以上はダメですねぇ。ありがとうございますハルト君。おかげで楽しい話が聞けましたぁ」

「いえ、こっちこそ。つたない話でしたけど。ほら、リオンも起きて」

「んむぅ。なんじゃ、話は終わったのかぁ?」

「ごめんなさいねリオンさん。退屈させちゃったみたいでぇ」

「全くじゃ。よくもまぁ飽きもせずに長々と。今何時……って何時間話とるんじゃ!」


 寝ぼけ眼をこすりながら時計を確認したリオンはギョッと目を見開く。


「あはは、ごめんねリオン。つい盛り上がっちゃって」

「むぅ。まぁ妾も休めたから良いがな」

「ハルト君達はこの後どうするんですかぁ?」

「えっと……夜に訓練の続きをしようとは思ってますけど。それ以外は特には」

「そうですかぁ。訓練するのはいいですけど、あんまり無茶しちゃダメですよぉ」

「それは大丈夫です。リオンが見てくれてますし」

「うむ。妾がいる限り主様に無茶させるような真似はさせんのじゃ」

「ならいいですけどぉ。ところで、リリアさんがどこに修行に行ったのか知ってるんですかぁ?」

「あ、いえ。それはボクも知らなくて……ミレイジュさんも何も知らないんですか?」

「はい。何も聞いてませんねぇ。まさかハルト君にも言わずにいなくなるなんて」

「せめてどこに行ったのかだけでも知りたいんですけど」

「ハルト君としては心配ですよねぇ。でもこの時期に王都近郊で修行できそうな場所なんてないんですけどぉ。まさか『帰らずの森』には行ってないでしょうし」

「『帰らずの森』?」

「あ、『帰らずの森』というのはですねぇ。《薬師》達の間では豊富な薬草が取れることで有名な森なんですぅ。でもその分危険度が高くてですねぇ。その豊富な薬草を食べてるせいなのか魔物達がまぁ強いんですよぉ。B級の魔物はゴロゴロいますし、下手したらA級の魔物と出会っちゃうなんてこともあるくらいですぅ。しかも今の時期は魔物が群れのリーダーを決める時期で、いつもより気が立ってたりするんですよねぇ。そんなところにのこのこ人間が来たら餌以外の何物でもないですしぃ。流石の私でも今の時期は行きたくないですよぉ。さすがのリリアさんもまさか何も調べずにこの時期に『帰らずの森』に踏み込むようなバカな真似はしないでしょうしねぇ」

「そ、そうですよね……」


 そのまさかである。今まさにその『帰らずの森』でA級であるカイザーコングと死闘を繰り広げていることをミレイジュもハルトも知らなかった。しかしハルトには漠然とした予感があった。リリアはいまその『帰らずの森』にいるという予感が。

 不安そうな顔をするハルトを見たミレイジュは安心させるように笑顔を浮かべて言う。


「まぁでも、リリアさんならどこにいても大丈夫です。きっとそのうちケロッとした顔で帰って来ますよぉ」

「大丈夫……ですよね」

「……もう。ハルト君が信じなくて誰がリリアさんのことを信じるんですかぁ」 

「そうじゃぞ主様。あやつは死んでも死なんような顔をしておるではないか。大丈夫じゃ」

「ありがとう。そうだよね。あの姉さんだもんね」

「うむ。あやつは主様がおらぬところで死んだりせんよ」

「リリアさんかなり強いですしね。もしかしたらハルト君が思ってるよりずっとずっと強くなって帰って来るかもしれませんよぉ」

「あはは、ありえそうですねそれ。それじゃあボクも負けないように頑張らないと」

「その意気ですよ男の子。あ、すいません。私この後用事があるので、これで失礼しますねぇ」

「あ、はい。話聞いてもらってありがとうざいました」

「いえいえ。お役に立てたならお姉さんとして嬉しいですよぉ。それじゃあまた。今度はゆっくりご飯でも食べながら話しましょう」

「はい。楽しみにしてます!」

「ふふ、それではぁ」


 そしてミレイジュは笑顔を残して去っていく。ハルトとミレイジュの初邂逅はこうして終わりを迎えたのであった。



今年の最終更新日は12月26日を予定しています。年始は1月4日から再開予定です。

あくまで予定なので、変更するかもしれません。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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Twitterのフォローなんかもしてくれると嬉しいです。

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は12月17日21時を予定しています。

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