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最強のキョウダイ  作者: ジータ
第二章
168/309

第166話 ユニコーンからの贈り物

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

「~~~~~~~っっ! はっ!」


 ガバっと起き上がったリリアは慌てて周囲を見渡す。しかしそこは先ほど見た謎の空間ではなく森のなかで、『リリア』と『宗司』の姿を見当たらなかった。その代わりにいたのは、泣いていたのか目を真っ赤に腫らしたタマナと呆れた表情のユニコーンだった。


「ここは……」

「リ、リリアさ~~~んっ!!」

「わぷっ、ちょ、タマナさん! 苦しいですって! ってあれ?」


 タマナに抱き着かれたことで傷が痛むかと思っていたリリアだったが、その予想に反して体が痛むようなことはなかった。しばらくリリアに抱き着いたまま泣いているタマナを宥めて落ち着かせ、ゆっくりと離れさせる。


「怪我……治ってる……」

「ぐずっ……そ、それはですね」

『私が治してやったのだ。死にかけていた貴様の体をな。これで二度目だぞ。まったくなぜ私が貴様のような愚かで無謀な人間を二度も救わなければいけないんだ』


 ユニコーンの物言いに思わずムッとするリリアだが、助けてくれたことは事実なので何も言い返せない。まだぶつぶつと文句を言っているユニコーンだったが、そんなユニコーンを見てクスリと笑ったタマナは、リリアにそっと耳打ちする。


「ユニコーンさんはあんなこと言ってますけど、実は真っ先にリリアさんを助けに行ったのはユニコーンさんなんですよ」

「え?」

「リリアさんとドラゴンの力がぶつかり合うのを感じて、戦いが終わったことを悟ったユニコーンさんが駆け出して空から落ちてるところだったリリアさんを間一髪で救ったんです」

「…………」

「リリアさん、本当に大怪我だったんですよ。生きてるのも不思議だったくらい」


 戦いが終わった直後のリリアの姿を思い出したタマナは目を伏せる。本当に酷い状態だったのだ。右腕はほとんど炭化しているような状態で、顔も足も何もかも、常人ならば死んでいてもおかしくないほどの怪我をしていた。その姿を見た瞬間は思わず言葉を失ってしまったほどだ。しかしタマナがユニコーンに助けを求めるよりも早く、ユニコーンは動き出していた。自らの能力を全力で使い、死の淵にいたリリアを生へと引き戻したのだ。


「だから、色々と文句を言ってますけどあれはきっと照れ隠しです。ユニコーンさん、本気でリリアさんのこと心配してたんですから」

「…………」

『おいお前達、何をコソコソと話している。というよりもタマナ、何か余計なことは言ってないだろうな』

「ふふ、余計なことなんて何も言ってませんよ」

『本当か? ならいいんだが。それよりも怪我はもう治ったんだ。動けるだろう。さっさとこの場を離れるぞ』

「………ねぇ」

『……なんだ?』

「その……ありがと」

『……ふん、言うのが遅いわはこのバカめ』

「なっ! 人がせっかく恥を忍んでお礼を言ったのにその言い方はないでしょ!」

『命の恩人……いや、恩魔物に対してその言い草。だから人間は嫌いなのだ。決めた。今後貴様が死にかかっていようと二度と助けてやらんからな』

「こっちだって、あなたに助けてもらうなんて二度とごめんだから」

『…………』

「…………」

『「ふんっ!」』

「……はぁ、せっかく仲良くなれると思ったのに」


 睨み合い、そっぽを向いてしまうリリアとユニコーン。そんな二人の様子を見て、タマナは深くため息を吐くのだった。






□■□■□■□■□■□■□■□■□



「そういえば、私ってどれくらい気を失ってたんですか? 一時間くらい?」

「えーと……」


 何気なく気になったリリアが問いかけると、タマナが言いにくそうに言葉を濁す。しかしそんなことはまったく気にしないユニコーンがあっさりとリリアに真実を告げる。


『バカか貴様。そんなわけがないだろう』

「え?」

『一日だ』

「……は?」

『貴様の怪我が完全に治り、そして意識を取り戻すためにかかった時間は一日だと言っている』

「タマナさん……ホントですか?」

「……はい」

「え、それじゃあもしかして今日って……」

「パレード当日……というか、もうすでに始まってる時間です」

「え、えぇぇぇぇえええええっっ!!」

『あまり騒ぐな。うるさい』

「だ、だって一日、パレード当日って!」

『貴様はそれほど重症だったということだ。どんな事情があるかは知らないが、生きているだけありがたいと思え』

「だからそういうことじゃなくて……早く帰らないと!」


 そもそもリリアがこうして特訓しているのはパレードの時、ハルトに何が起こっても対処できるようにするためなのだ。そのパレード当日に間に合っていなければ本末転倒である。


「ここからじゃどれだけ急いでもお昼は過ぎる……あぁもう急いで戻らないと。行きましょうタマナさん!」

「は、はい!」

『おい、少し待て』


 慌てて駆け出そうとするリリアとタマナをユニコーンが呼び止める。


『タマナと貴様が帰ると言うのであれば、私が共にあるのはこれまでだ。さすがに人間の領地にまで足を踏み入れる気にはならないのでな』

「あ……そうですね。色々とありがとうございました。あなたがいなければ私達はどうなっていたか……ほら、リリアさんもちゃんとお礼を言わないと」

「わかってますけど……」

『ふん、貴様からの礼などいらん。タマナだけで十分だ』

「ほら、こういうこと言うじゃないですか」

「それでもです。ユニコーンさんは素直じゃないだけなんですから」

『おいタマナ。それは違うぞ。私は本心からこいつの礼などいらないと思っている』

「ほら、リリアさん」

「あぁもう、わかりました」


 ユニコーンの主張を完全に無視したタマナはリリアに礼を言うように促す。タマナの目を見て、折れることがないと悟ったリリアは腹を括る。


「怪我を治してくれたこともそうだけど……なんだかんだと言って訓練に付き合ってくれたこと感謝してる。これは嘘じゃない。あなたの力が無ければきっと私はアースドラゴンに勝てなかった。だから……ありがとう」

『……ふん』

「あなたがいなければ、私達はきっとこうしてここにいることもできませんでした。だから、本当に感謝してます。あらためて、色々とありがとうございました。またいつかどこかで……なんて難しいかもしれないですけど、そう祈ってます」

「それじゃあ行きましょうタマナさん。本当に急がないと」

『おい、私の用事はまだ終わってないぞ』

「用事? なにかあるの?」

『私の角が嫌な予感を感じ取っているのでな……まぁ、気まぐれだ。受け取れ』


 そう言ってユニコーンはどこからか二つの瓶と一つのネックレスを取り出す。


『瓶の方は貴様だ。その液体には私の力が込められている。死の淵にいようと、それを飲めば生き返るだろう』

「これに……あなたの力が」

「ユニコーンの聖薬……すごい、すごいですよリリアさん! 国宝級のお宝です!」

『タマナ、このネックレスはお前にやろう』

「え、あ、ありがとうございます」


 タマナがユニコーンから渡されたネックレスは小さな水晶がついているだけで華美な装飾が施されているわけではなかったが、どこか目を惹きつける魅力を持っていた。


『そのネックレスは、私とタマナの繋がりを示すものだ。もし心からの助けを望むとき、そのネックレスに祈り私の名を呼べ。そうすればそこがどこであろうと私が駆け付け、タマナの助けとなろう』

「え、えぇっっ!」


 リリアの貰った薬が国宝級のものであるとすれば、タマナが貰ったのは伝説級のお宝だ。ユニコーンを呼ぶことができるネックレス。その価値は計り知れない。


『最後に、お前達にだけ私の真名を教えてやろう。ユニコーンというのは種族名であって、私の名ではないからな。私の名はイリス……覚えておくことを許す。A級の魔物共と戦い、生き抜いたのだ。あっさり死んでくれるなよ。用事はそれだけだ。ではな、タマナ……そしてリリアよ』

「っ!」


 ユニコーンはそれだけ言うと忽然と姿を消してしまう。


「あいつ……」

「ふふ、良かったですねリリアさん」

「別に嬉しいわけじゃ……あぁもういいです。帰りましょうタマナさん!」

「はいっ!」


 こうしてリリアは森での修行を終えた。手にした力、ユニコーンとの出会い。様々な物を手にしてリリアとタマナは王都への帰路に着く。

 その王都で起きている事態を知らないままに。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は12月5日21時を予定しています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ユニコーン っていつも何かしか食べられてるイメージだったからかっこいいし強いユニコーン は初めて [一言] ユニコーン かっこいい
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