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最強のキョウダイ  作者: ジータ
第二章
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第158話 再戦の朝

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

ユニコーンからアースドラゴン攻略の鍵を与えられたリリアは、木を前にしながら頭を悩ませていた。アースドラゴンの言う通り、今から浸透系の攻撃を覚えるというのは得策ではない。残された時間程度で習得できると思うほど、リリアは楽観的ではなかった。可能性があるのはもう一つ、貫通力の強化だ。アースドラゴンの外殻を貫くほどの貫通力を手に入れる。それだけがリリアに残された道だった。


(私にはユニコーンのような角はない。私の体で、ユニコーンの角の代わりになりそうなものは……なんだろう。足か拳か……指とか? さすがに無茶かな。いやでも……貫手ってあったよね)


 貫手、手の指を真っすぐ伸ばして指先で相手を突く技。通常の突きやパンチよりも力を一点に集中させることができる。しかしこれは諸刃の剣だ。貫通力の向上は望めるものの、普通に拳で殴るよりもはるかにリスクが高い。もし一度でも失敗すればリリアの指は使い物にならなくなるだろう。


「でも……可能性があるのはここしかない」


 リリアはリスクを承知で、自分の指を角へと進化させることを決める。


「まずは魔力……慣れてきたら『姉力』で練習かな」


 方向性が決まったリリアは訓練を開始する。その様子見ていたユニコーンはフッと小さく笑う。


『ふん、ようやく角の代わりを見つけたか鈍間め。そうだ、人間に使える可能性があるとすればそこしかない。だかまだ見つけただけだ。これでようやくスタート地点。さぁ間に合うかどうか……クク、せいぜい気合いを入れることだな』





□■□■□■□■□■□■□■□■□


それから二日後、早朝。

 まだ日も昇っておらず、周囲が暗闇に包まれている中タマナは拠点でぐっすりと眠っていた。リリアの訓練の手伝いのために森の中をあっちへこっちへと走り回って疲れきっていたということもあってその眠りは深いものだった。そんなタマナの眠りは、次の瞬間森の中に響いた轟音によって覚まされることとなった。


「っ?!」


 突如として森の中に響いた轟音。それを聞いてガバっと飛び起きたタマナは慌てて周囲を確認する。しかし周囲に変わった様子はない。

 ならば考えられるのは一つだけ、リリアのいる場所で何かがあったということだ。


「何かあったのかも……」


 起き上がったタマナはリリアとユニコーンがいる場所へと走る。

 そして森をかき分けたその先でタマナが目にしたのは巨大なクレーターと、その中心地で倒れ伏すリリアの姿だった。


「リリアさんっ!」


 慌ててリリアに駆け寄ろうとするタマナだったが、その前にユニコーンに止められる。


『案ずるなタマナ。ただ寝ているだけだ』

「え?」


 タマナは言われて気付いた。確かに服もボロボロになっており、ところどころに傷はあるもののリリアはただ眠っているだけだった。それに気づいたタマナはホッと胸を撫でおろす。


『ギリギリ……といったところか。まさか本当に完成させるとはな』

「え、それじゃあもしかして」

『ふん、それと勝てるかどうかは別の話だがな。だが、少なくとも可能性はあるだろう』

「良かった……頑張ったんですね、リリアさん」


 タマナは眠り続けるリリアの頭をそっと撫でる。この二日間、ほとんど休まずに訓練し続けていたリリア。タマナはその様子を見ていた。だからこそリリアの努力が無駄にならなかったことが本当に嬉しかった。


『ふん、まだ安心するには早いぞ。まだ何も終わってないのだからな』

「……そうですね」

『私の予想がただしければ、アースドラゴンは今日にでも襲いかかってくるだろう。とりあえずそいつを連れて野営地に戻るといい。少しでも休ませて……なんだ?』


 やたらとニコニコと嬉しそうな笑顔を浮かべるタマナを見てユニコーンが怪訝そうな顔をする。


「やっぱり優しいですね」

『? あぁ、私はいつだってタマナにはいつだって優しいとも。気に入った処女には優しくする。それが私の信条なのだからな』

「でもリリアさんにもなんだかんだ言って優しいですよね」

『な、そんなことはない。私はこいつに欠片ほどの興味もないからな』

「でもずっと訓練を見守っててくれたんですよね。それに、ちゃんと助言もしてくれました」

『それはタマナとの約束だったからだ。でなければ誰がこいつの訓練の面倒など見るものか』

「ふふ、じゃあそういうことにしておきます」

『しておくもなにも、それ以外の理由などありはしないのだからな。全く、訳の分からないことを言ってくれるな』

 

 それでも私はわかっていますからね、という表情をしているタマナにどこか居心地の悪い感覚を覚えるユニコーンなのであった。





□■□■□■□■□■□■□■□■□


 それからさらに数時間後、リリアは一人森の中に立ち精神統一していた。いつもは下ろしている長い髪も今だけは後ろで縛っている。


「……ふぅ」


 まるで嵐の前の静けさのように音一つ無い森の中、リリアは敵が、アースドラゴンがやって来るのを一人待ち続けていた。

 この場にいるのはリリアただ一人だけ。タマナもユニコーンもこの場にはいない。二人は遠く離れた場所からリリアのことを見ていることになっていた。それはリリアがそう頼んだからだ。アースドラゴンとの決着は、自分一人でつけたいと。最後まで渋っていたタマナだったが、リリアの意思が固いことを理解すると渋々ではあるが引き下がった。


「体調は万全、傷も治ってる。準備はできた。後は……勝つだけ」


 森の中に満ちる静寂。しかし、そんな静寂は唐突に破られた。

 ズシン、ズシン……と地中深くから響く音。その音は次第に大きくなり、リリアへと近づいていた。


「来た……」


 音はやがて地鳴りとなり、リリアの立つ地面を揺らす。しかし不意に音と揺れが止まる。


「っ!」


 本能的に危機を感じたリリアが地面を蹴って高く飛ぶ。その直後、数瞬前までリリアが立っていた地面が爆ぜる。そしてその中から現れたのはアースドラゴンであった。

 地面に着地したリリアは、地中から現れたアースドラゴンと向き合う。


「随分と大きくなったみたいね」


 アースドラゴンのその巨体は、以前であった時よりもなお大きくなっていた。しかしリリアは怯まない。


「さぁ、始めましょう。あなたと私の戦いを」


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は11月17日18時を予定しています。

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