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最強のキョウダイ  作者: ジータ
第二章
159/309

第157話 外殻を貫く方法

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 特訓を開始してから六時間、しかしリリアはこれといった成果を得ることができないままただただ体力を浪費しているだけだった。

 木を倒そうと躍起になるリリアを後ろから見ているユニコーンはアドバイスをするようなこともなくただ退屈そうに見ているだけだ。


「はぁはぁ……硬い……硬すぎる」


 リリアの目の前に立ちはだかる木。ユニコーンの力によってアースドラゴンの外殻と同等の硬さを持ったその木は未だ傷一つつかず、倒れる気配など全く無い。

 すでにリリアは持てる技の全てを出し尽くした。【地砕流】や【姉破槌】、カイザーコングとの戦いに決着をつけた【姉崩山】も。唯一手応えがあったのは【姉崩山】だったが、連発できるような技ではない。


「ホントにこんなに硬いの?」

『なんだ? 今さら泣き言か?』

「違うけど。でも本当にアースドラゴンがこんなに硬かったら、カイザーコングの攻撃だって通さないはずでしょ。でもあの時カイザーコングは確かにアースドラゴンに傷をつけてた」


 アースドラゴンと戦っていた時、カイザーコングは確実にアースドラゴンにダメージを与えていた。基礎的な攻撃力が違うと言ってしまえばそれまでだが、それでも瞬間的であればリリアもカイザーコングに匹敵する攻撃を出すことはできた。それがあの【姉崩山】だ。その技であっても傷がつかないというのはおかしいとリリアは言っているのだ。

 そんなリリアの主張を聞いたユニコーンはあからさまなため息を吐く。


『お前は心底アホだな』

「はぁ!?」

『はぁ、まぁいい。馬鹿でアホな貴様にもわかるように教えてやろう。貴様の攻撃とカイザーコングの攻撃の違いをな』


 それまで座っていたユニコーンが面倒くさそうに立ち上がりリリアの元にやって来る。


『確かに貴様の攻撃力はただの人間にしては目を見張るものがある。しかし貴様はまだA級の魔物というものを舐めているな』

「そんなつもりはないけど」

『いやある。知らぬということ自体が舐めているようなものだ。『姉力』に頼ればなんとかなると思っているのかもしれんが、それはB級までだと知れ』

「ぐっ……」


 ユニコーンの言うことに納得するのは癪だったが、言っていることに間違いはない。リリアがA級の魔物を軽んじていたのは事実なのだから。


『カイザーコングがA級にいる理由。それは単純、その攻撃の多彩さだ。殴る、蹴る、飛ばす。奴らはこと攻撃においては他と一閃を画す。その中にはもちろん、防御が硬い者達への攻撃方法もある』

「単純に殴るだけじゃなくて?」

『確かに一見すればただ殴っているだけのように見えるだろうがな。奴らはお前と同じくアホではあるが、センスというものはあるのだ。お前と同じでアホだがな』

「一言余計だけど……それで? じゃあカイザーコングはどうやってアースドラゴンにダメージを与えてたのよ」

『結論を急くな、と言いたいところだが時間もないからな。教えてやろう。簡単に言えば、こういうことだ』


 ユニコーンはそう言って木の前に立ち、蹄を木に当てる。


『ふんっ』


 軽く力を入れただけ、それだけのようにリリアには見えた。しかしユニコーンがもたらした結果は全く違うものだった。リリアがどれだけ殴ってもビクともしなかった木が弾け飛ぶ。まるで内側から攻撃されたかのように。


『む、力の加減を失敗したか。しかし、今のでわかっただろう』

「いやいや、わかるわけないでしょ!」

『わからないのか? 本当に貴様はバカなのだな』

「わからなくて悪かったわね」

『浸透だ』

「浸透?」

『外殻を通過し、内側で爆ぜる。簡単に言えばそういう攻撃だ。カイザーコングはそれを本能的に覚えている』

「そんな攻撃方法が……」

『ちなみに、今と同じことはお前でもできるぞ』

「本当!?」

『あぁ、一年も練習すればな』

「ふざけんなっ!」


 ユニコーンの言葉に思わず叫ぶリリア。残された時間はもう僅かしかない。一年で習得できるような技を教えられたところでどうしようもないのが現実だ。


『そうやってすぐに怒る。短気なのは褒められたものではないな。第一、技というものがそれほど簡単に習得できるものではないのは知っているだろう?』

「確かにそうだけど……でもじゃあ打つ手が無いってことじゃない。それこそまた逆鱗を狙うしか」

『そう甘くはないぞ。逆鱗を狙って来るとわかれば対処もしやすい。奴にもその程度の知能はあるからな。まぁ流石に私も一日や二日でこの技を習得しろとは言わない。逆立ちしても無理だからな。だからもう一つ、僅かではあるが可能性のある方法を貴様に教えてやろう。私の優しさに感謝してひれ伏せ』

「最後の一言が無ければ感謝してたかもしれないけどね」

『これは私達ユニコーンがアースドラゴンを狩る時に使う方法でもある』

「あなた達が?」


 ユニコーンはそう言って鋭い角を光らせる。

 ユニコーンの角、人間の間では万病を癒す治癒の材料として有名だが確かにリリアの前で光るその角は何者でも貫けそうなほど鋭い。


『この角で外殻を貫く。硬い外殻も私達の角をもってすれば貫くことができる。もちろん普通にではない。こうやって』


 そう言ってユニコーンは角に魔力を集中させ木を貫いた。ゆっくりと角を引き抜くと、ぽっかりと空いた穴が一つ。


『一点突破。先端にだけ魔力を集中させ、貫通力を上げる。口で言うのは簡単だが、並大抵でできることではない』

「でもこれができれば……私でもアースドラゴンの外殻を貫けると?」

『そういうことだ。貴様がどの部分を角とするのか、それは自由だがな。さぁ私が教えてやるのはここまでだ。後は自分で考えることだな』

「…………」

『なんだ?』

「意外とちゃんと教えてくれるのね。いるだけで何もしてくれないかと思ってた」

『ふん、みくびるな。これでも私は約束事がしっかりと守る。気に入った処女との約束であれば特にな。無駄口をたたいている暇があったらさっさと続きをすることだ』

「はいはい。わかってるわよ」


 改めてユニコーンが作りあげた木とリリアは向き合う。残された時間はそう長くはない。しかし、リリアはユニコーンからの助言によって前に進むきっかけを手に入れた。これを生かすことができるかどうか。それはリリア次第である。


 


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は11月14日21時を予定しています。

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