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第四十四話 優良冒険者パーティ


「まずはDランクパーティの方から紹介させて頂きます。パーティ名は【カドゥナード】。このパーティの最大の特徴は、クエスト達成率が100%なところです。突出して強いと言う訳ではないのですが、とにかく無茶をしない。出来る依頼の見極めと正確な状況判断に定評があり、Dランク冒険者としましてはグレゼスタの冒険者ギルドの中で唯一の、クエスト達成率100%の冒険者パーティです」


 流石にギルド長が選んでくれただけあって、初っ端から魅力的なパーティの紹介が来た。

 突出した強さはないが、クエスト達成率100%。

 それだけで依頼する側としては安心できるし、仕事人って感じでカッコいいな。


「おお……。それは凄いですね。突出した強さはないけど、安定性が非常に高いパーティと言う認識で大丈夫でしょうか?」

「はい、その認識でお間違いないです。それでは続きまして、Eランクパーティを紹介させて頂きます。パーティ名は【タマゴ倶楽部】。こちらは先ほどとは打って変わってかなり異質な冒険者パーティとなっております」

「異質……ですか?」

「はい。パーティリーダーであるエドワードと言う冒険者がBランク冒険者で、他がF~Eランク冒険者で組まれた格差のあるパーティなんです」


 一人だけ力が突出した冒険者パーティってことか。

 パーティならば実力差がバラバラだと連携が取りづらく、かなり厳しいと思ってしまうが、Bランク冒険者だったら一人で安定させられるもんな。

 そもそもFランク冒険者と組むぐらいなら、ソロで活動した方が効率は良さそうなのだが、どうしてパーティなんて組んでいるのだろうか。


「ちょっと質問よろしいですか? なんでそのエドワードさんはF~Eランクの冒険者とパーティを組んでいるんでしょうか。受付嬢さんが理由を知っているのならお聞きしたいです」

「理由は簡単ですよ。エドワードさんは今年62歳の大ベテラン冒険者でして、新米冒険者が死なないように慈善活動として手ほどきを行っているんです。そのせいで【タマゴ倶楽部】は約半年の周期でパーティメンバーが変わるのですが、冒険者からも依頼者からも人気なパーティとなっております」


 へー。

 エドワードと言う冒険者が、威張り散らしたいがために低ランク冒険者と組んでいるのを想像していたのだが、後進育成のためにランクの低い冒険者と組んでいたのか。

 今回の依頼を受けてもらうかどうかは抜きにしても、一度会ってみたい人だな。


「それでは最後にFランクパーティのご紹介をさせて頂きます。パーティ名は【鉄の歯車】。ルーキー冒険者で構成されたパーティなのですが、最初の依頼の失敗以降、全ての依頼成功させていまして、現時点でクエスト成功率は95%を超えています。先週辺りからEランク相当のクエストにも着手し出し、無事に成功させていますので、まだ結成されたばかりのパーティですが、今一番Eランクに近い冒険者パーティとなっています」


 俺の中ではもう既に一度会ってるんじゃないかと思うほど、かなり聞き覚えのあるパーティが最後に来た。

 【鉄の歯車】。俺の依頼にも二回共名乗りを上げてくれたパーティだな。

 

「パーティ紹介ありがとうございます。これで全てですかね?」

「はい。ランク毎の一番優良と判断されたパーティを紹介させて頂きました。こちらの三パーティともコルネロ山の護衛を了解しているパーティですので、どのパーティと契約するのかじっくりとお考えください」

「ありがとうございます。少し考えさせて頂きます」


 さて、どうしようか。

 これは、かなり贅沢な悩みだな。


 クエスト成功率100%の【カドゥナード】。

 育成のために慈善で指南を行っているエドワードさん率いる【タマゴ倶楽部】。

 三度も依頼を応募してきてくれた新進気鋭の【鉄の歯車】。


 個人的には【タマゴ倶楽部】……と言うよりも、エドワードさんが気になっているのだが、流石に【鉄の歯車】さんたちと一度、顔を合わせておきたいな。

 三回も俺の依頼に応えてくれたのだし、ギルド長からの優良パーティだと言うお墨付きもある。

 ……よしっ。今回は【鉄の歯車】さんにしようか。


「あの、決まりました! 【鉄の歯車】さん達に依頼してもよろしいでしょうか?」

「Fランクパーティの【鉄の歯車】ですね。畏まりました。すぐに取り付けておきますので、正午にギルド内の掲示板前でよろしいでしょうか?」

「はい、大丈夫です。よろしくお願いします!」

「それでは、依頼費用の金貨1枚と銀貨5枚をよろしいでしょうか」


 普通に金貨4枚を払おうとして、固まる。

 金貨1枚と銀貨5枚……?

 聞き間違いじゃないか疑うが、確かにそう言った。


「えっ……金貨1枚と銀貨5枚ですか? 依頼内容はコルネロ山までの道中、及びコルネロ山山中での護衛を四日間ですよ?」

「え、ええ。手数料なしでFランクパーティへの依頼となりますので、この金額で間違いないです」

 

 10%がなくなったことを抜いても安すぎる。Fランクパーティへの依頼はこんなにも安いのか。

 金額に衝撃を受けながらも、俺は受付嬢さんに金貨1枚と銀貨5枚を手渡した。

 ここまで安いなら……【鉄の歯車】さん達には、仕事内容次第だが追加報酬のようなものを渡すことを視野に入れても良さそうだな。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] ふむ…もしかしてたまご倶楽部で、ルイン鍛えられるのかな?
[一言] 毎回違った冒険者パーティーに依頼するのは、変化が有って面白いのですが、書くはの大変そう。
[一言] ハハハ!ルイン!君感覚が鈍ってるよ!…これまではDランクへの依頼だったから高かったんだーよ!今回はFランクだ!
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