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第百七十話 ダンジョン談義


 そのまま記者のおじさんに連れられて、ダンジョンギルド付近にある喫茶店へと入った。

 未だに現状がよく分かっていないんだけど、あの複数人いた記者さんから助けてくれたって認識でいいんだよな?


 店員さんに個室へと案内され、『ラウダンジョン社』の記者のおじさんと面と向かって座る。

 個室へと案内してくれた店員さんに、記者のおじさんが何かを注文した後、手を組んで俺の方へと視線を向けた。


「へっへ。いきなり連れてきて悪かったな。困ってる様子だったから連れてきちまった」

「いえいえ。実際に困っていましたし、連れ出して頂いたのは助かりました。……それで、俺はどういった理由で囲まれたんでしょうか?」

「っと、その前に軽い自己紹介でもしようぜ。昨日話したから知ってると思うが、俺は『ラウダンジョン社』という会社で記者をやっているトビアスってもんだ。少年はなんて名前なんだ?」

「俺はルイン・ジェイドと言います」

「ルインか。しっかりと覚えたぜ。それじゃ早速、本題へと入ろうか」


 出されたお水を口に入れてから、トビアスさんは俺の質問に対しての返答をしてくれた。


「ルインが囲まれてた理由だが、単純に人の目を引くと判断されたからだな。……ダンジョンがリアルタイムでダンジョン外にも映し出されているのは知っているか?」

「ええ。それはもちろん知ってます。昨日は半日見ていましたので」

「流石にそれは知っていたか。俺達記者はな、基本的に24時間ダンジョンモニターに張り付いてダンジョンに関する情報を収集してんだ。それで、少年の戦闘に目をつけた記者たちが囲み取材を行ったって感じだな」


 ……なるほど。

 囲まれた理由は分かったが、記者さんが囲み取材を行うほどのものなのかという部分に疑問を感じてしまう。

 確かに俺は、そこら辺の冒険者よりかは腕が立つという自負はあるけど、ダンジョンを攻略している人の中には、俺以上に強いであろう人達を映像でたくさん見た。

 

 それこそソロ攻略と言えど、俺は低階層で苦戦した訳だしな。

 ダンジョン攻略という部分に関しては、俺なんかよりも凄い人はたくさんいると断言できる。

 

「……ですが、俺は2階層までしか攻略出来ていませんよ? ダンジョンを攻略する冒険者の中には、俺よりも凄い人なんかいっぱいいますよね?」

「まあ、確かにそれはそうなんだが……。ダンジョンで且つ、ソロ攻略者の少年がオーガを瞬殺する――そんな光景に惹かれない者はいないってことだな」

「うーん……。いまいちピンとはきていないんですが、そういうものなんですね」


 トビアスさんが目を爛々と輝かせて語っていることから、嘘ではないことは分かるのだが、俺にはトビアスさんが語る惹かれない者がいない……に関して理解が出来ないな。

 

「そういうものなんだよ。ルインを記事として売れば、ダンジョン好きにはたまらない情報になる。だからこそ、こぞって記者たちがダンジョンの入口で待ち伏せて押しかけていたって訳だ」

「なるほど。分かりやすい説明ありがとうございました。とりあえず何故囲まれたのかが理解出来ました。ダンジョンに潜る際は、常に誰かに見られているということを気をつけないといけないんですね」

「そうだな。ランダウストのダンジョンは、世界で五本の指に入ると言われているこの街の経済を、一つのコンテンツだけで回していると言っても過言ではないものだ。あのモニター前の人だかりを見れば分かると思うが、俺達のような記者だけでなく本当に色々な人が見ているからな。一つ一つの行動には気をつけた方がいいぜ」


 楽しそうな表情から一転、真剣な表情で忠告してくれたトビアスさん。

 昨日の食堂でもそうだったが、トビアスさんからの情報によって色々と助けられているな。


「ご忠告までありがとうございます。昨日の情報もありがたかったですし、トビアスさんがオススメしてくれた『一冊で分かるランダウストのダンジョン』も非常にタメになりました」

「へっへ。そうだろ。あの本は俺が書いた本だからな。分かりやすく役に立つダンジョンの知識を上手くまとめた自信作だ。是非、有効活用してくれ」


 それからテーブルに運ばれたお茶を飲みながら、トビアスさんとダンジョン談義に花を咲かせた。

 昨日とは一転し、様々な情報を惜しげもなく教えてくれるため、このまま丸二日間は会話し続けられるのではないかと思うほど、トビアスさんの話にのめり込んでいただが……。

 どうやら時間が迫ってきてしまったようで、トビアスさんは時間を確認してから机を軽く叩いた。


「もうこんな時間かよ。悪いな俺の話で時間を割いてしまって」

「いえいえ! 貴重でタメになる話を色々聞けましたので、こちらの方こそ時間を割いて貰ってありがとうございました」

「そう思ってくれてたなら良かったぜ。それじゃ今日はこのくらいにして帰るとするか」


 ご厚意でトビアスさんにお茶代まで出してもらい、喫茶店を後にした。

 攻略終わりだったのとダンジョン談義に夢中になっていたせいか、外は既に暗くなりかけている。

 充実した一日は本当にあっという間に感じてしまうな。


「それじゃ、俺は帰るからよ。次は記者として会いに行くからな。その時はルインのことを『ラウダンジョン社』で記事にさせてくれよ」

「はい、もちろんです。俺なんかの記事でいいなら受けさせてもらいますよ。……変なことを書かないと約束してくれるならですが!」

「そこら辺は約束するぜ。ルインも死なないようにダンジョン攻略頑張れよ。んじゃ……またな」

「ありがとうございます。死なないように、と……一人ではなるべく目立たないようにも気をつけて攻略していきたいと思います」

「へっへ。それがいい」


 こうして囲み取材から助けてくれたトビアスさんと、喫茶店前で別れたのだった。

 トビアスさんがなんでここまで俺によくしてくれるのかは分からないが、色々と助けてもらった恩はいつかしっかりと返したいと思う。



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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろいよ。 [気になる点] 一月撮影されなかったら死亡扱い(165話)  映らない場所が意外とある? 少しある? テントから出てこない系? まあ、トイレ鑑賞会とか困るけどなっ! [一…
[良い点] ライブダンジョン!憧れ系なろう作品じゃん [一言] それなりに楽しめてます。
[良い点] 好感度を稼ぎつつ自分の要求は前に押し出し過ぎず断りにくくするおっさんの海千山千なテクニック
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