31・ちょっと宿屋を『成長』させたのよ
( ・ω・)今回ちょっとコメディが入る
隙間が無かった。
「女神……様……」
アルフリーダの胸の中で少年は、甘えるような
声を出す。
「よく頑張りましたね。
そう、私はあなたを―――
あなたのいる世界を救うために来たのです。
でも私はこの世界の事をよく知りません。
あなたの助けが必要です」
「僕の助け……ですか」
大きな胸に挟まれたまま、彼は聞き返す。
「ええ。
この世界の『マガツモノ』は、私なら
浄化出来ます。
しかしこの身は1つしかありません。
だから私の手となり足となる眷属が
必要なのです」
そこでようやく彼女は少年を胸から解放し、
「私の眷属になってくれますか?
ああ、そういえば―――
あなたのお名前を聞いていませんでしたね」
それを聞いた少年はハッとなって、
「も、申し訳ありません女神様!!」
「大丈夫よ、あんな事があったばかりですもの。
じゃあ改めて……
私の名前はアルフリーダ。
アルフリーダ・ルールー。
時と成長を司り、見守る女神です。
あなたのお名前は?」
「僕は―――
ユニシス、です」
そこでお互いに軽く自己紹介を終え、
「じゃあ、ユニシス君。
私の眷属になってもらえるかしら?」
「は、はい!
喜んで……!」
そこでユニシスは、彼女の唯一の眷属、
そして後に夫となる未来が確定したので
あった―――
「でもユニシス君、どうしてわざわざ
こんな森の中にいたの?
逃げるにしても、もっと逃げやすい
ルートというか……
確かに障害物があって、身を隠しやすいとは
思いますけど」
アルフリーダの問いに、彼は複雑な表情に
なって、
「実は、あの街まで逃げ込もうとしたんです。
でも、『マガツモノ』に憑依されているか
どうか、区別出来なかったのと―――
街の防衛と安全のために入れらないって。
それで、さすがに木の上までは来られない
だろうって、森の中に入ったんですけど」
「そして木に登る前に、『マガツモノ』たちに
襲われちゃったのね。
わかったわ、取り敢えず街の中へ避難
しましょう」
「あ、あのっ!
ですからあの街は、門番の審査を通った
人しか……」
そう言うユニシスの手をアルフリーダは
つかんで、
「私は女神様よ。
そんなものはどうとでもなるわ」
「は、はい……!」
そして長身の長いブロンドを持つ女性と、
褐色肌の少年は、手を繋ぎながら街へと
向かった。
「止まれ!!
どこから来たのだ?」
さっそく門番に止められ、ユニシスは不安そうな
顔になるが、
「いえ、少し外の様子が騒がしいと思いまして」
アルフリーダがそう答えると、
「あ、え……?
えっと、いや……?
と、とにかく許可の無い外出は禁止だ!
さっさと中に戻れ!!」
そう言うと二人を街の中へと引き入れた。
「あ、あれ……?
こんなに簡単に、街の中へ」
少年がきょとんとしながら彼女に視線を
向けると、
「私は、『時と成長を司り、見守る女神』
ですからね。
あの門番の時間に対する感覚を―――
『外から来た』のではなく、『外に
出ようとした』という認識に変えたのです」
「す、すごい……!
そんな事まで出来るのですね!」
すっかり尊敬の目で見上げるユニシスに、
アルフリーダはその大きな胸を張り、
「とにかく今日は休みましょう。
もう疲れたでしょう?
お風呂にも入りたいし―――
お腹も空いたわよね?」
「あ、で、でも……
お金なんて僕、持ってないし」
今さらながら、着の身着のままで逃げて来た
事を少年が話すと、
「とにかく宿屋に行ってから考えましょう。
どこでも構わないから」
そしてアルフリーダはユニシスの手を引っ張り、
そのままどこかの安宿へと入って行った。
「こんばんわ。
2人、いいかしら」
宿屋の女将らしき人は、来た客を交互に
見比べて、
「どこのお嬢さんかは知らないけど、
見ての通りウチは小汚いところだよ。
その分安いんだけどさ。
そっちの坊やはまだしも、アンタはここで
本当にいいのかい?」
訝し気に聞くアラフィフくらいの女性に、
「構いません。
あ、それとこの子に何か食事をお願い。
私はお風呂に入って来ますから」
「いや、そんなこじゃれたものウチに
あるわけないよ。
ってああ、行っちまった―――
仕方ないねえ、とにかく坊やはこっちに
来なさい。
何か食べさせてやるから」
「あ、は、はい」
妙な客が来たものだと呆れ気味の女将に、
ユニシスは食堂へと連れて行かれた。
「ふぅ……
ごちそうさまでした」
「まるで何日もロクに食っていないような
食べっぷりだったね。
あの女性は坊やのお母さん?
それともお姉さん?
って身内って事は無いか。
身なりも何もかも違うし―――
ああ、詮索しようって気は無いから
安心おし。
それならもっと高級な宿屋に行っている
だろうからね」
彼女は暇つぶし程度に聞いているつもり
だったが、ユニシスにしては、
こうまで食事を食べさせてもらって、
支払いはどうするのだろうかと、
不安で胸がいっぱいであった。
するとそこへアルフリーダが帰って来て、
「ふぅ、いいお湯だったわ。
それと、私にも何かくださらない?」
それを聞いた女将はポカンと口を開け、
「は? え?
いや、ウチに風呂なんてあるわけ
ないじゃないか。
いったいどこで入って来たんだい?」
「だからここの宿屋のお風呂よ?
あ、それと喉もかわいたから―――
この子にも何か飲み物を一緒に」
頭が?マークでいっぱいになる彼女だが、
「あ、あら?
いつの間にかテーブルがこんなに綺麗に……
って壁も床も!?
い、いったい何が―――
とと、とにかくお食事と飲み物ね」
女将さんが言った通り、厨房へと駆け込んでいく
彼女を見送ると……
いつの間にか部屋は、どこかの高給宿へと
変貌しており、
「ア、アルフリーダ様。
これはいったい―――」
「ん?
ちょっと宿屋を『成長』させたのよ。
20年くらいかしら。
ちゃんとあなたにきちんと食べさせていた
みたいだし……
ご褒美、ってところね」
そこで女神はニコッと笑うと―――
『な、なんだこのベッドは!?』
『おい、いつの間にか風呂があるぞ!?』
『家具もみんな変わっている!?』
と、宿泊客であろう人たちの声が、あちこちから
聞こえて来た。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在8803名―――
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
基本、土曜日の午前1時更新です。
休日のお供にどうぞ。
みなさまのブックマーク・評価・感想を
お待ちしております。
それが何よりのモチベーションアップとなります。
(;・∀・)カクヨムでも書いています。
こちらもよろしくお願いします。
【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】
https://kakuyomu.jp/works/16818093088339442288
ネオページ【バク無双】
https://m.neopage.com/book/31172730325901900
【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894
【指】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914
【かみつかれた】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16818093073692218686
【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958





