17・無限のエネルギーをアタシに
( ・ω・)涼しくなっても会社の冷房が
止まってくれない(でも平気)
日本・とある都心のマンションの一室―――
「ふぅ……
お花見イベントが終わると、年末年始も
一段落した気がしますね」
「相変わらずソシャゲーで季節を感じているの
でしゅか。
ていうか実際に行けばいいでしゅのに」
目付きのやや悪い黒髪セミロングの少女と、
銀髪の活舌の悪い美少年が話し合う。
「いや人ごみもありますしね?
それにアタシ、一応ここは神託地域とは別世界
なんですから―――
うかつに外は出歩けないんですよ」
「ここぞとばかりに神様設定持ち出して……
ニートは自己正当化するための理論に
長けている言いましゅが」
女神と従僕は、いつものように言い訳と
ツッコミの会話を行い、
「でもそれが終われば、次までしばらく
無いんでしゅよね?」
「そうなんですよ。
次の季節イベは梅雨か夏イベなんですけど、
梅雨の方はやるところも少ないですから。
となると本命は夏……!
水着イベントでございますですよ!!」
フィオナの話にナヴィは首を傾げ、
「海やプールなら、泳ぐとかで水着が絡むのは
わかるんでしゅけど―――
でも夏なら山とかお祭りとかありましゅよね?
別に夏イコール水着というわけでもないのでは」
「は? 何を言っているんですか?
夏と言えば水着、水着といえば夏に決まって
いるでしょうが」
女神の返しに彼は一息ついて、
「しょれがフィオナ様の常識でしゅか?」
「常識ではありません! 真理です!!」
「良かったでしゅね。
それではそろそろ、本編スタートするでしゅよ」
│ ■ミイト国・首都ポルト │
│ ■シンデリン(トーリ)家屋敷 │
「シンデリンお姉さま……
これも……追加しなければ……」
「そうね。序列下位国だし、持っていける物は
全部用意しておいた方がいいかも」
シンデリン・ベルティーユ―――
トーリ財閥の姉妹は、山と積まれた大量の荷物を
前に考え込む。
「どこへ開拓しに出掛けるんですか……」
それを見て、彼女たちの従者兼恋人である
ネーブルが眉間にシワを寄せる。
「『取り合えず』『馬車代として』、
金貨一千枚を寄越すような金銭感覚だからねえ」
(■4章16話 あ、じゃあ人違いです参照)
「実家が軍事費ばかり重視していた頃は
わかりませんでしたが……
改めて見ると上位三ヶ国の経済力は、
他の連合国家とは比較になりませんからね」
婚約者同士であるバーレンシア侯爵と、
シッカ伯爵令嬢が、その異常な格差を語る。
「まあ、それはそれとして」
「そうですねえ……」
同じく婚約者同士で、ビューワー伯爵と
マルゴットが一緒に視線を向けた先は、
「フィオナ様、生きてますかー?」
「え、ええと……
いくら何でも全部じゃないと思いますけど」
「ダメだこりゃ。
全力で現実から目を反らしているよ」
メイ・ファジー・ミモザが―――
ソファの上で魂が口から漏れ出ている女神を
介抱していた。
「あ、あの~……
シンデリンさんベルティーユさん?
まさかその荷物を全てコザイ国に持って行く
つもりでは……」
すると、同じバイオレットの長髪を持つ姉妹は
互いに顔を見合わせ、
「いくら何でも、これだけじゃありませんよ」
「……これで、半分、くらい……?」
とどめを刺すような言葉にフィオナは
崩れ落ちるが、
「別に、この荷物全てをフィオナ様に
転移してもらおうとは思っていませんよ。
これは馬車でコザイ国に送り届ける分です」
ネーブルがため息交じりに説明すると、
「あ~んもう!
ネタばらしが早いわよ、ネーブル!」
「……さすがに神様に対し……
そんな事は……求めない……」
そこでようやく室内に苦笑と笑い声が起こり、
「荷物は順次、もうコザイ国に送りつつあるから、
あちらに行ってもそれなりの生活は出来ると
思うわ」
「……私たちは……その作業を続ける……
全員のかさばる荷物も……届けるつもり……
多分、あと3日もあれば……
コザイ国に荷物は……到着している……」
「そういうわけですので―――
後はみなさん、それぞれの準備をしつつ
待機をお願いします」
トーリ財閥の姉妹、それに従者の言葉に、
全員がうなずいた後―――
各自、自分の準備のために退室していった。
「……行きましたか?」
なぜか女性陣だけが残った部屋で、
司会者のようにシンデリンが発言する。
「はい」
byレイシェン
「そのようですわね」
byマルゴット
「ファジーは部屋へ戻したし―――」
byミモザ
「それでは問題無し、という事で」
byメイ
「で、例の荷物は?」
byフィオナ
女神の質問に、ベルティーユが無表情のまま
部屋の隅に足を運び、
布がかけてあった荷物から、それを引っ張って
中身を露わにさせる。
「……こちらに……
転移させて頂きたい本……
およそ5,000冊……」
「行先は?」
彼女の答えに女神は戸惑う事なく先を促す。
「バクシアにまず送って頂きます。
その後グレイン国に2,000、
シフド国に1、000―――
バクシア・ルコルア・フラール、
他各国に数百冊ずつ送る予定です」
「話は通してあるのね?」
シンデリンの説明にフィオナは聞き返す。
「はい。
BL本の受け入れ体制に関しましては、
ポーラさんが24時間体制で待機して
おりますれば」
「よろしい。
では参りましょう」
テキパキと進行していくその光景を前に、
ミモザが頭をかきながら、
「いやまあ、アタイも一口かんでいるから
あんまり言えない立場だけどさあ。
その本も結構な重さだよな?
転移させるの結構疲れるんじゃ……」
すると女神はくるりと彼女の方へ振り返り、
「甘い物は別腹、というでしょう。
好きな物のためならば―――
苦にはならないもの……
いえ、むしろ無限のエネルギーをアタシに
与えてくれるのです!!」
「当人がそれでいいならいいんだけどさあ」
微妙な表情となるミモザ、熱気を帯びる他の
女性陣―――
そして女神はバクシアへ向かって、
『転移』を開始した。
│ ■コザイ国・某所 │
「どうでしゅかね」
「んー、まだそのマイヤー伯爵?
って人の一行は到着してないみたいだね」
一方その頃―――
女神一行を転移させるために一足先に他国へ
やって来ていたナヴィとカガミは、
先の神託で与えられた情報を元に、
グレイン国からの一行を待っていた。
「でも、さっきの神託では少し急用が
出来たからって言ってたんだよね?
先にグレイン国の方が到着したら
どうするんだろ?」
赤茶のツインテールをした獣人族の少女は、
女神の従僕に聞き返す。
「どうせ急用と言っても、たいした事じゃ
ない気がするんでしゅよね」
「そう?
だって、他国へ転移するような案件なんでしょ?
それなりの用じゃないの?」
すると彼は頭をかいて、
「この時にわざわざ他国へ、転移を使ってまで
移動しゅる理由―――
BL本の配達くらいしか思いつかないん
でしゅよねえ。
ていうかカガミしゃん、知ってたでしょ」
「おおー、さすがナヴィさん。
わかってるぅ」
ジト目&横目でにらむ彼に、彼女はさらりと
スルーし、
「ん? 何か匂いがしてきたなー。
あのマイヤー伯爵とガルディ騎士団長、
来たんじゃない?」
「もうわかるんでしゅか?」
「うん。
あと多分2日くらいだと思うよー」
獣人族と女神の従僕は情報共有しながら、
その時を待つ事になった。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在6892名―――
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