表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生(運命から逸脱した者)  作者: わたあめ
三章~レイドタウン~編
42/52

12話:勇者と考察

お、お待たせしました。

色々な事情があって、本日まで小説を書いていませんでした。

本当に申し訳ございません。

それでは12話始まります。

勇者、それは人々の希望の象徴である。


各種族よる戦争が世界中で続き、一度姿を現した神が人前に現れる事なく数百年がたった。

その頃にはかつて、他の種族を圧倒した魔族も姿を見せる事はなく、戦争も終わり世界は平和になっていた。だが、それは一度は光魔法によって対処出来るようになった魔族が更なる力をつけた事によって破られた。

数百年前と同じくさらなる力を磨いできた魔王が人間国に進行し始めたのだ。

平和ボケしていた人間は魔族によって蹂躙されていった。

人々は数百年前に助けてくれた神に祈る。

どうか我らをお救いくださいませと、その願いが届いたのか、人が作った神の神殿にて、五人の少年が現れた。彼等は全員が強力な力を持っていた。特に神から賜りし聖剣を手にした一人の少年の力はすさまじく、その少年を筆頭に人々を救っていったという。

あっという間に少年達は人間達の希望になった。


人々は神に感謝した。

そして神殿から現れた彼等は直ぐにこう呼ばれるようになる。


勇敢なる神の使者“勇者”と。

魔王を倒した彼等は神により元の世界に帰ったといわれている。

そしてさらに数百年後、人々を恐怖させた魔王が復活した。魔王は数百年前と同じく人間の国に進行し始める。

それに呼応するかのように現れた三人の少年に一人の少女が新たな勇者として現れた。

人々はかつての勇者伝説を思いだし歓喜した。

そして、数百年前と同じように勇者は強力な力を持ち、聖剣を使う者もいた。


聖剣に選ばれたのは唯一の女であった少女だった。この時代の勇者の名は現代でも残っている。“影山光”聖剣に選ばれし者にして、他の勇者や人々に慕われた少女だ。彼女は人間だけでなく、他種族にも慕われていた。後に数百年前と同じように聖剣使いが勇者達の筆頭になることと、色んな種族にも好かれた少女は真の勇者と呼ばれるようになった。そして影山光は人間の国に進行してくる魔族から人々を守っていって、魔族の長である魔王を倒したという……これが200年前の事だ。

そして魔王がまた復活しようとしている。


パタン、リュートはそっと本を閉じる。

「……勇者ね」

「リュートさん。何を読んでるんですか?」

一人本を読んでいたリュートに、横からライムが声をかける。

「暇だからワルドから貰った本を読み返してたんだ」

「確かに退屈ですもんね。風景も飽きちゃいましたし」

そう言ってライムは窓の外に視線を向ける。


「レイドタウンまであとどれくらいなんでしょうね」

「出発してから二日たったから、後一日だな」

リュート達はエルフがギルド長を勤めるというギルドに、ニーナの事についての情報を得るために向かっている所だった。


「でもフェリスさんはいいですよね」

ライムはこの二日間、目をキラキラさせて馬車に乗っているフェリスに羨ましそうな視線を向ける。

「ああ、そういえば前は乗れなかったな」

小さく隠れやすいスライムと違い大型犬並みのフェリスは馬車に乗れなかった事を思い出す。


「すごいです。すごいです!」

自分の足で歩いてもいないのに進むのが楽しいのかフェリスは子供みたいにワクワクして興奮しっぱなしだ。

そんなフェリスを見てリュートは僅かに広角を上げた。


「まぁ、楽しそうだしいいだろ」

「ええ、そうです……ねぇ」

「ライム?」

不意にライムの雰囲気が変わった。何というか不機嫌になったようにリュートは感じた。


(……またか)

ライムはこの二日不意に不機嫌になることが何回かあった。それも決まってフェリスの話題になってからだ。


(フェリスの事が嫌いなのか? いや、二人は仲はいいよな……ん?)

リュートはライムの視線がフェリスに向いていないことに気付いた。ライムの視線の矛先はフェリスの胸だった。

胸が揺れる度にライムの機嫌が急降下していく。


(胸が原因? ……そんなわけないか。俺じゃわからないな)

自分では何故ライムの機嫌が下がったのかリュートには分からない。そこでリュートは一人静かにしているニーナに聞こうと顔を向ける。


「……むっ?」

道中に狩ったモンスターの肉を食べているニーナが何の用? と目で言ってくる。


「……何でもない」

ニーナに原因が分かるとは思えない。リュートは直ぐにニーナから顔を逸らす。


「はぁ、まぁいいか」

原因が分からないリュートは知ることを諦めた。


馬車の中は四人も入れば狭くなる。一人は馬車にハシャギ、一人はもくもくと食べ物を食い、一人は胸を凝視しながら不機嫌になっていく、そんな中リュートは目を瞑り思考に耽っていく。


考えているのは自分のスキルについてだ。

幾度となくファートス村でも考えた事だ。

ある程度の考えはすでにまとまっている。

だが、新たな考えがでるかもと何度も暇をみては考えていた。


リュートのスキルはどれも強力だ考察を怠ることはできない。

(……スキル適応進化、時間はかかるが格上の相手と戦うとそのレベルまで進化することが出来る卑怯なスキル、戦闘事に急激に強くなることもできる。)

理論上では時間をかければこの世界の最強になれるということだ。


(スキル主従契約、これは俺一人ではなく、仲間がいて効力を発する。ライムとフェリスにやったように力を与え姿まで変える事も可能だ。……また、離れていても場所が分かるし会話も出来る。……今は使えないが恐らく命令を与える事もできる)

例えどんな命令でも強制的に従わせる事ができる強力なスキルだ。


(……使おうとは思わないけどな)

不思議と命令を与える事ができるようになっても使おうとは思っていなかった。

主従契約を使えばライムとフェリスを裏切れないようにすることもできる。しかしリュートはそれを何故かしてはいけないように思えていた。


そこまで考えた所でリュートは自分のステータスを思い浮かべる。異世界に転生したばかりの頃に比べると明らかに上昇している数値にスキルの数、そのスキルの数を増やす事が出来たのは学習というスキルの効果だ。


(スキル学習はその名のとおり相手のスキルを学習して自分のものにできるこれまた強力なスキルだな)

リュートは自分の心の声に苦笑する。


(……このスキルは今の段階では種族特有のスキルは取得出来ない。魔族の闇魔法を取得できなかったことからあっていだるだろう。……また、最初に比べるとスキルが増える速度が違うように思える。これは俺が力を得たことで無駄なスキルは不要と判断したからだと考えている)


スキルを使うのにも体力、魔力を使う。無駄に増やしても使いきれないし一つ一つのスキルを上手く扱えないとリュートは考えている。

今ではリュートが欲しいと思わない限りスキルを得ることはなくなっていた。


(そして、よくわかっていない神眼に孤独……いや、神眼はまだいい、問題は孤独だ)

神眼はステータスを覗くのに使っているがそれでは鑑定スキルと同じだ。固有スキルの神眼には他の使い道があるのではないかとリュートは考えていた。

そして、一番の謎である孤独スキルをリュートは考えていく。


(レベル上げをブロックして、相手の肉体の感覚を消していく。その二つに共通点は見つからない……それに相手に発動するのには恐れを抱かさなければならないというのも分からない)

リュートさんは幾つもの考えを巡らせるが確証はない。



「……着いた」

「ん、ああ、本当だ」

思考に耽っていたリュートの意識をニーナの声が呼び戻した。

立ち上がり御者の方に顔を出すと確かに目的地の街の外観が見えてくる。


「ボウズ危ないからあんまり出てこないようにな」

「ああ、すまない」

小さな子供であるリュートは御者に注意されて中に戻っていく。


レイドタウン商業が盛んな街にして唯一合法的に性奴隷を扱っている街でもある。


(さて、どのくらい情報が集まるか)

リュートはニーナの呪いについて興味を持っているが神眼ではどんな呪いか見えない。



ニーナ(ハーフエルフ)

Lv:30 HP:6000 MP:8000

力4000、耐久4000、敏捷4000、器用500

スキル:闇魔法/重力魔法、風魔法、光魔法、MP回復、超回復

(※状態???の呪い、効果???、???、???、ステータス1/5になる、スキルの制限)


(やっぱり見えないか)

リュートは何回もニーナのステータスを見たが呪いについての表示は特に変化なしだった。


(こうして見るとやっぱりニーナのステータスは高いな)

エルフだから魔力も高いが魔族の血が混じっているためか身体能力も高い。


(これで5分の1だもんな。スキルもあるし呪いが解けたら勝てないかもしれない。……俺は魔法使いと相性が悪いからな)

リュートは何故か魔法を使うことができない。今まではリュートの圧倒的な強さで魔法使いにも勝てたがニーナがフルの力を使えスキルも使うとなると恐らくリュートは勝てないだろう。


(ハーフエルフは皆ニーナみたいに強いのかもしれないな……ん? ハーフエルフ)

その瞬間リュートの頭に閃きがよぎった。


(ニーナは自分がハーフエルフだと知らなかった。水晶でステータスを見たのにも関わらずだ。だけど俺にはニーナがハーフエルフだと分かった。ワルドの時もそうだった。神眼にはその者の力以外にもわずかな情報が見えていた。くそっ、水晶や鑑定スキルを見たことがなかったから気づかなかった)

もし、神眼に相手の情報を見ることができる効果があるとしたら……


「今は使いこなせていない。だけどこのスキルは力以外の強さを発揮する事ができる」

リュートは仮面の下の目を輝かせながら呟いた。


馬車はレイドタウンにどんどん近づいていく。







「どうぞ座って」

ギルドのアレゼルの部屋に訪れたリュートは勧められるまま椅子に座る。


「それで、話って何かしら」

アレゼルも同じように座って脚を組む。

綺麗な太ももが見えるが、リュートは興味がないので無反応だった。そもそも、普通の十歳の少年で太ももに釘付けになる者なんて、あまりいないだろう。


「先ずはそうですね。……ニーナが見つかりました」

「アラ、それは良かったわ」

アレゼルは美しく微笑む。その笑顔が本物かはリュートには見破れない。


「はい、良かったです。それでどうやらこの街の領主に拐われたらしいんです」

「じゃあ昨夜の領主の館を襲撃したのは貴方なのね」

アレゼルは一度驚いた表情を作ってからリュートに問う。


「いえ、僕がしたのは獣人同士の戦いに紛れての侵入です。あぁ、不法侵入は犯罪でしたね」

リュートは館に居ただけだと言う。

嘘っぽく聞こえるかもしれないが、アレゼルは「わかったわ」と頷いた。


「随分あっさりと信じますね」

今度はリュートが僅かに驚いた表情を作る。


「ごめんなさい。実は貴方が犯人ではないと分かっていたの。実は領主様とその護衛の全員が亡くなったの。あなた達が領主様が亡くなったと思われる時刻に診療所に居た事は確認できているわ」

「……調べていたんですか。確かに領主を襲った者が殺しに行かずに診療所にいるのは変ですもんね」

リュートは納得した雰囲気をだす。


「領主様が亡くなったのは知っていましたが亡くなった時間までは知りませんでした。そうですか僕が診療所に行っていた時間に……あれ? そうなると不思議ですね。夜遅くですから普通音が聞こえますよね? 護衛も居るとなるとなおさら」

「あら、何が言いたいのかしら」

脚を組んだままアレゼルがリュートの発言に微笑みながら聞き返す。


「いえ、もしかしたら魔法か何かで音を遮断されていたんじゃないかと思いまして……たとえば、この部屋にかかってるような魔法と似たようなものとか」

リュートとアレゼル、二人の表情はどちらも笑みの形に作られている。

だが、二人から発せられる気迫で空気が張りつめる。


「それではまるで部屋に魔法を掛けている私が犯人って聞こえるわね」

「いやいや、僕はただ似たようなものと言っただけですよ。それとも心当たりがあるんですか」

「今のはちょっと意地悪よ」

アレゼルは拗ねた様な表情になる。


「ハハハ、すいません。……でも意地悪っていうなら領主が他種族を拐っていた事を黙ってる貴方も意地悪ですよ」

リュートは笑みを消して仮面から覗く目を細める。そしてテーブルに紙の束を放り投げる。


「さっき犯人と言われた様な気がすると言いましたね。そうですよ少なくても貴方は無関係ではないでしょう」

「急に断定するなんて、この紙束がどうかしたの」

アレゼルはテーブルの紙束を手に取る。

スッと今度はアレゼルの瞳が細められる。


「この街の領主がどんなかは知りませんが組む相手を間違えましたね。証拠の管理がずさんすぎる」

「本当にね……ハァ、消しといて正解だったわ」

リュートが渡したのはアレゼルが領主に他種族を渡した事が領主の紋章と共に書かれていた。


「あっさりと認めますね」

「リュート君の言った通りここの会話は漏れないからね。それにこうして証拠があるんだもの」

「そうですね、不自然な所も結構ありましたしね」

リュートはアレゼルを怪しんだ理由を話し始める。


「僕はこの街に来てから常に気配には気を配っていたんですよ。それで一度も悪意の視線は感じませんでした」

この街に来てからニーナ達は可憐な容姿から注目はされていたが悪意を向ける者はいなかった。つまりニーナがギルドから逃げたした後に犯人はニーナに狙いをつけた事になる。

そしてニーナを拐ったのはかなりの実力を持っていたガルフだ。

ガルフは領主の手駒の中でも最強の方だと思う。

果たしてそんな者を一人の少女を拐うだけで側から離すだろうか、リュートは違和感を感じた。


「このギルドから出た瞬間にニーナを捉えられる事ができる者が襲ってくる。そんな偶然起こるでしょうか? 少なくとも僕はその時このギルドの者を怪しんだ。特に領主と繋がりがありそうな貴方をね」


「そんな証拠もないことで私を疑ったの、 まぁ、貴方は証拠なんて探す時間をかける余裕なんてなかったものね」

あの状況では疑いを持たれたらいけなかったとアレゼルは言った。


「……貴方は何で僕を試したんですか」

リュートは僅かな間を空けて本題にはいる。


「あら、試すって何のことかしら?」

「貴方は今回僕を試したのでしょう。……貴方達の仲間に」

ピクッとアレゼルはリュートの言葉に反応を示す。


「リュート君は本当にすごいわね。そうよ私は貴方を試したの。貴方があの子を助けれなくても私が助けてたわ」


「それは影山光に関係ありますか」

「っ!?」

リュートの言葉に小さな反応どころか、顔を驚きの表情にして傍目からも動揺しているのがわかる。


リュートは初めてアレゼルを神眼で見たときを思い出す。その時は興味を引かれたが気にしなかった。だけど今となっては無視はできないと思う。


アレゼルは強い。リュートよりもステータスが高いし、スキルをフルに使って勝てるかどうかというところだ。それも相手のスキル次第だが。


アレゼル強い……何の不思議もないだろう。エルフという種族に年齢を重ねたことによる知性、そして……



アレゼル(影山光の奴隷)

Lv:120 HP:80000 MP100000

力30000、耐久50000、敏捷50000、器用1000


スキル:※隠蔽により見る事ができません。



「貴方は二代目勇者、影山光の奴隷だ」












今日中に三章を終わらせます。

次はお昼に投稿します。

そして、三章が終わったら、かねてより予定していた修正に入ります。

詳しい事は少し長くなるので活動報告に書きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ