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異世界転生(運命から逸脱した者)  作者: わたあめ
三章~レイドタウン~編
35/52

5話:思いと変わり者

日付はちがいますがこの話の前にも第4話を投稿しました。


短めです。

「……き……きて……おきて!」

「……ん」

「よかった! おきたんだね!」

「……誰?」

「私はフィア、あなたは?」

「……ニーナ」

「そう! よろしくねニーナ!」



気絶から覚めたニーナはジンジン痛むお腹を押さえながら起き上がる。

「大丈夫?」

こちらを心配する少女を改めてじっと見てみる。

艶やかな緑色の髪に翡翠の目、胸は小さく幼い顔立ちの誰が見ても美少女と言うだろう。

そして、長い耳を持っている。

少女はエルフだった。

「……どうして、わたしはここに」

寝起きのせいで頭がうまく働かない。


「あなた、拐われたのよ覚えてないの?」

「……あっ」

路地裏で男に襲われたのを思い出す。

「……そうか、まけて」

男に手も足もでず負けた事まで思い出してしまった。


「……じゃあ、あなたもつかまった」

「うん、でも私達だけじゃないよ。ほら、見てみて」

エルフのフィアに言われて周りを見ると、自分が鉄格子の内側、牢屋にいることが分かる。そして牢屋は一つではなくその中にもエルフや犬の耳をした獣人や猫耳の獣人、その他にも色々な獣人や違う種族の者がいる。しかしなぜか全員女の人だ。


「……これ、全員さらわれた」

「そう、ここの領主さんにつかまったんだよ」

「……領主?」

「うん、私もここに来たのは最近だけど、何度か領主さんが来てたから」

「……なんで領主はさらう?」

ニーナが何で拐われたのか理解できずに聞くとフィアは暗く落ち込む。


「なんでって、そんなの決まっているよ」

「……なに??」

「わからないの」

「……??」

どうやら本当に分かってないニーナにフィアは驚く。


「ニッ、ニーナちゃんて何歳」

「……13歳」

「私と同じだ。…えっ、私がおかしいの」

もしや自分がそういう知識を持つのがおかしいのかと思い始める。


「じゃあ分かりやすく言うと、……女の子としてとても酷い目にあわされます」

「……それはたいへん」

「大変て、怖くないんですか。知らない所に拐われて、その上酷い事をされるんですよ!……私なんてもう怖くて仕方ありません!」

ニーナの目の前で泣き始めるフィア。

ここまで明るくすることで恐怖を紛らわしていたけど限界がきたようだ。


「……大丈夫?」

「もうダメかもしれません。酷い目に合わされるくらいなら……いっそ」

「……なにをされるか私にはわからないけど……酷い目にはあわないよ」

「何を言ってるんです。脱出するにもここは牢屋なんですよ。場所も分からず閉じ込められて、抜け出せたとしても相手はとても強いんですよ。絶対に逃げる事なんてできません!」

確かにフィアの言う通りニーナ達では逃げられないだろう。


「……へいき、リュートがくる」

「リュ、リュート…ですか?」

「……ん、リュートはきっとくる」

ニーナはリュートと会ったときの事を思い出す。


初めて会ったときは不思議な人だと思った。魔族のハーフかもしれない私にそんなものどうでもいいと言って私にかかった呪いについて教えてくれた。


いつも冷静で人やモンスターを殺しても全く気にしなくて、だけどビースト山ではフェリスのおかあさんのお願いを聞いてフェリスを助けて、おかあさんは死んじゃったけどフェリスを一人にしないための約束をおかあさんと結んで。

怖い人なのか優しい人なのか分からない。


だけど一緒に過ごすようになってやっぱり思った。


彼はものすごく変わっていると。

周りに容赦なく、仮面を常に着けて、いつも感情を本気で表に出さない。

そしてものすごく優しい。

こんな事を思うのは最低かもしれないけど、私は自分が彼の仲間で良かったと思う。

彼は仲間には優しいから怖がらなくてすむようになったから。


ニーナはフィアに自分が思い出したものを語った。

そして、話を聞いたフィアの反応はというと。

「えっ、それって結局その人は最悪って事ですか?」

ニーナが何を言いたいのかよく分からないフィアがどういう意味か聞こうとしたその瞬間――爆発音が牢屋まで轟いた。


「きゃー、なんですか!」

周り中が騒然とするなか、フィアは頭を押さえて地面に伏せる。


「……きた」

「えっ、…まさかリュートさんて人が来たんですか!」

まさか本当にくるなんて、それに確かにこれなら逃げられるかもしれない。

フィアは僅かな希望に目を輝かせる。


「……ちがう」

だけどニーナはこれはリュートの仕業ではないと確信した。


「えっ、違うんですか!」

「……でも、きた」

「え?」

フィアはニーナの言葉にまた困惑をする。


ニーナは分かっていた。

リュートがあんな音を響かせて入ってくるだろうか、いや彼はそもそも真っ正面から突撃なんてしてこない。

彼は物語の主人公みたいには絶対にしないのだ。彼ならこういう時この騒ぎに便乗する。


「おっ、ここにいたか。助けに来たぞニーナ」

ほら、やっぱり。


「ニーナちゃん、もしかしてこれがリュートさん」

白髪に銀仮面のリュートをフィアが指を指して驚きながらニーナに尋ねる


「……ん、リュート」

「ええええ、こんな子供がですか!」

「誰だ?」

「……フィア、私と同じで拐われてきた」

「ふ~ん」

興味が無さそうにリュートは答える。


「まあ、いいやとりあえずだすぞ」

「出来るんですか! ありがとうございます」

「えっ」

「はい?」

何故かリュートは驚く。


「もしかして、一緒に逃げるつもり」

「えっ、も、もしかして、わたしおいてけぼりですか」

「だってお前足でまといだろ」

「ふぇぇぇぇん」

どうやらリュートはフィアを置いていくつもりのようだ。


普通置いていくだろうか。

ああ、もし、さっきのフィアの問いに答えるとしたらこうだ。

彼はとっても変わっているのだと。

勢いで書いただけなのでそのうち修正をします。

そして、いきなり飛んだと思いますが次回で今話に繋がります。

誤字脱字や感想等があったらどんどん送ってください!!

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