10話:エピローグ
エピローグです。
そして短いです!
魔族を倒したリュートはライムとフェリスと本当の主従契約を結んだ。それから二週間後。
リュートはギルド長のバルタに呼び出されて、今ギルドのいつも来ている部屋に来ていた。
部屋にいるのはリュートとバルタの二人だけだ。
「悪いな坊主、魔族の事でゴタゴタしててな、知り合いに手紙を書いて返ってきたのが今朝だったんだ」
リュートが今日呼ばれたのは、かねてより約束していたバルタの知り合いに紹介してもらうためだ。
「いえ、ちょうどこちらにもやる事ができたので大丈夫です」
リュートはここ二週間、ライムとフェリスを人間の姿でいるのを慣らすために訓練していた。
「そうか、ならよかったが……それじゃあ次の話だ」
「つぎ?」
リュートはてっきり用事は一つだけだと思っていた。
「坊主をBランクに昇格させる事が決まった」
「ずいぶんと早いですね」
Cランクになってからまだ二週間だ。
「皆頑張ったが、間違いなく一番の功労者は坊主だからな。むしろ魔族を倒せる者をCランクに置いておく方が勿体ない」
「そういう事ならわかりました」
「それともう一つ、坊主の連れの嬢ちゃん達もCランクにしておいた」
「試験も受けていないのにいいんですか」
リュートはランクとフェリスにも冒険者の資格を取らせた。
てっきりGランクからだと思っていた。
「バカいえ、俺は忙しくてその場にいなかったけど、ステータスプレートの数値はCランクも軽く越えてるんだぞ、坊主の時と同じでこれでも妥協してるんだよ」
「ハハ、そうですね」
二人は主従契約の効果でステータスが大幅に上がっているからな。
元々ランクの高い種族のフェリスは特に強くなった。
「ギルド長、お茶を持ってきました」
リュートとバルタが話していると扉をノックする音が聞こえてから受付嬢、メイリーの声がした。
「メイリーちゃん、そんなの頼んでないぞ」
バルタは部屋に入ってきたメイリーにそう聞くとメイリーが頬を膨らませて怒る。
「ちょっとギルド長! リュートさんが来てるなら教えて下さいよ!」
「いや、だがこれは俺と坊主の話で……」
「いいじゃないですか。メイリーさんがいても……」
むしろリュートはメイリーとバルタの二人に揃ってほしかった。
「……所で」
リュートは声を冷たいものに変える。
「坊主?」
「リュートさん?」
リュートの雰囲気が急にかわった事に二人は戸惑う。
「貴方達は僕の素顔を見たそうですね」
「ま……まて誰にもいいやしない」
「わっ、私もですよ!」
リュートの迫力に二人は慌てて言う。
「貴方達が何を言っても僕は信じられません……が、貴方達はこの村では目立ちすぎるそんざいです」
特にギルド長のバルタを殺したら確実に調べられる。
「……そこで、貴方達には僕の素顔をみなかった事にしてもらいます」
「「?」」
二人は意味が分からず首を傾げる。
「……僕は短期間でランクアップしすぎました。確実に僕の事が広まるでしょう。……そこで僕の事を〈表情無き銀仮面〉という誰も顔を見たことのないという通り名を広めてほしいんです」
「あっ!」
「どうしたメイリーちゃん?」
リュートが言った通り名にメイリーは驚きの声を上げた。
「それって、冒険者の方達が言っていた……」
「はい、そうです」
リュートはライム達を冒険者登録させる時に冒険者がそう呼んでいたのを聞いていた。
リュートはしらないが、名前の由来は仮面で顔が見えない事とオークジェネラルを殺したときに血を浴びても口の筋肉一つ動かさなかったリュートを見た冒険者の一人が、この少年は無表情で生き物を殺せるのかという畏怖からつけられていた。
「分かった、今からお前は誰も顔を見たことのない謎の銀仮面だ」
「わかってくれてよかったです」
リュートは微笑むがバルタからしたら、断ったら何をされるか分からない。
「……あの、リュートさん」
「なんですか? メイリーさん」
リュートがバルタに了承を得て微笑んでいたらメイリーが真剣そうに話しかけてくる。
「リュートさん、直ぐに村を出るんですよね」
「ええ、もう準備はできてるのでこれから直ぐに出ますよ」
「では、村を出る前に……もう一度だけ顔を見せてくれませんか」
メイリーは頬を赤くして、握った手をぷるぷるさせている。
「はぁ、まぁ、いいですけど」
どうせ一度見られているのだ、もう一度位ならいいだろう。
「…………ふぁ」
「…………」
仮面を外したリュートを見てメイリーだけではなくバルタまで無言見とれている。
「もういいですか」
「はい、ありがとうございました!」
メイリーは晴れやかに笑った。
「悪いな、遅くなった」
ギルドを出たリュートは先に入り口に用意した馬車で待っている仲間の所に駆ける。
「……大丈夫」
「平気ですよ、リュートさん」
「私なら問題ないぞ、主殿」
ニーナ、ライム、フェリスの三人は少しも気にしていなかった。
「そうか、ではそろそろ出発するか」
リュート達は、馬車に乗って村を出ていく。
「なぁ、知ってるか、王都で世界を救う勇者様達が現れたって」
「あぁ、知ってるよ、いろんな所で知らせてたもんな」
馬車に乗っていると冒険者達の話が聞こえてくる。
「フッ」
「……リュート?」
「リュートさん?」
「主殿?」
行きなり笑いだしたリュートを三人は不思議そうに見る。
……どうやらクラスメイト達はもうこの世界に来ているようだ。
勇者が来たということはこの世界はもう直ぐにでも大災害起きるのだろう。
これからこの世界は動き出すのだろう。
おもしろくなりそうだ。
だけど、今は次の目的地の事を考えよう。
唯一性奴隷を売る事を許された街にして強力な冒険者や高額で高ランクの依頼等もたくさんある強者が集まる街レイドタウン。
リュート達は馬車に揺られながら次の街に向かって行く。
次回も間章が入ります。
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