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異世界転生(運命から逸脱した者)  作者: わたあめ
間章~異世界の勇者~編
12/52

1話:幼なじみと先輩

さあ、始まりました。

間章、異世界転移編です。

元々主人公がたどるはずだった異世界転移。

だが主人公がいなくなったらどうなるのか?

それは小説で分かります。


7/5に修正しました。

私の幼なじみは七歳から酷い暴力を毎日振るわれている。


もちろん私は止めようとしたけど本人に余計な事はするなと言われた。


それなのに私の幼なじみは私がいじめられてた時には助けに来てくれて、私を守ってくれる後ろ姿はすごくカッコよかった。


でも幼なじみは私の事を見てくれない。

私の幼なじみは頭がとてもいいので、きっと幼いながらも分かっていたんだとらおもう。


私と仲良くしすぎたら私に危害が及ぶと、そして、それを躊躇いもなく行う敵の強大さを。


天龍院家。日本どころか世界にもその名を知られている凄い名家らしい。何でそんなに凄い家が幼なじみを狙うのか、私が聞いても幼なじみは教えてくれなかった。


だから私は自分で理由を考えようとしたけど、結局私の頭ではわからなかった。


幼なじみは、お父さんと住んでいたけど、事故で亡くなっちゃって、一人暮らしをしていた。私はボロボロになって帰ってくる幼なじみを毎日待っていて、手当てをするのが日課だった。


幼なじみはいつも、どんなに暴力を振るわれても涙一つ流さなくて、痛々しい傷を見ていつも私が泣いてしまっていた。


私にそんな資格は無いのに。

高校生になった今も幼なじみがいじめられているのを私は知っている。私はそれを知りながらも何もしないでいた。

私は自分に被害が及ぶのが怖かった。


私は幼なじみの事を心配しながらも、突き放してくれた事にも確かにホッとしてしまっていた。


本当にズルい。

自分は安全な所にいながらただ手当てだけして、自分の存在を確かに幼なじみに残したくて、私を必要としてほしくて、好きになってほしくて、そんな打算ばかり働かせているずるい女だった。


ずるくてずるくてずるくて……だから!

……だから私は変わりたい。変わらなくちゃいけない。






私は無力だ……


幼い頃から、とても美しくて才能があるともてはやされてるが私には何の力もありはしない。


私は唯、祖父や両親、周りのもの達の期待に応え続けるだけの道具でしかない。


彼と出会ったのはそんな事ばかり考えていた、四年前の雪の日だった。


その日はもうすぐ4月だというのに大雪が降った日で。


私はそんな中を一人で歩いていた。


もちろん、そんな中を歩けばすぐに体は冷える。今思えばバカだったとおもう。でも、そのときの私は一人になりたくて、吹雪で前がろくに見えない中でも歩みをとめなかった。


もし死んだのならそれはそれでいいと私は本気で思っていた。


そんな時だ。目の前の先に人影を見つけたのは。


私はこんな時に出歩くバカはどんな奴だと自分を棚に上げて近づいていった。


その時、私はすごく驚いたのを覚えている。目の前に見つけた人影が、私よりも小さな子供で、何よりその目が強く印象に残っている。


その子供は生きていながら、死んだような目をしていて、その目に誰も写そうとはしていなかった。


どうしたらこんな目を幼い少年がするのか、気になった私は彼の家に行くことになった。


いや、この時は、まさか自分でも行けるとは思っていなくて、試しに家に行っていいかと聞いたら平気と言われたのだ。


少年の家は、少年以外住んでいないそうで、名前を聞いた私はすぐに、少年が祖父が指示を出して暴力を振るわせている少年だと気づいた。


気まずくなった私は話をそらそうと少年にこんな雪の日に何をしていたのかと聞いた。すると、少年はゴミを漁りにいっていたととのことだった。


私が何のためにゴミ漁りなんてしたのかと聞くと、少年は図書館に返さなければいけない本を捨てられたので拾いに行ったと答えた。


少年が探しにいった本を興味本位で覗いた私は驚いた。

少年が読んでいたのは英語で書かれた本だったのだ。

まだ小学生なのにと私は感心しながら、少年と雑談していると、私はまたもや驚いた。


とても楽しかったのだ。

私は自分の身分と容姿をちゃんと理解できている。そんな私が話かけると相手はだいたい恐縮して避けていく。家族等とも事務的な話がほとんどで会話を楽しいと思った事がなかった。


でも、少年との会話は他愛もない話なのに、今までで一番楽しかった。しかも、少年は子供にするべきでない難しい話も理解してくれて、私は気が付けば少年と雪が止む夜遅くまで話し込んでいた。その日は初めて両親に怒られた。


私は、それからしばらくの間、少年の家に行っては日が暮れるまで話す毎日をおくっていた。話は日に日に難しい話題になっていったがそれすらも少年はスポンジのような吸収力でどんどん理解していった。私は自分と同じ目線で話してくれる少年に惹かれはじめていた。


しかしある日、少年の話に私がついていけなくなってしまっていた。


私はその時、少年が自分以上の頭脳をもつことに気付いた。だけど、私は初めての敗北にむしろワクワクしていた。そんな私の顔を見た少年は初めて笑顔を見せてくれて―――その瞬間私は恋に落ちた。


だけど私は耐えられなかった。日に日に私の心を埋つくす少年を私の祖父が傷つけている。その事を少年に知られたら嫌われてしまう。私はその恐怖に押し潰されてしまいそうになっていた。


だから私は逃げた。これ以上好きになってしまわないようにと。

……私は無力だ。だから彼に相応しい強い女にならなければならない。


私はもう……にげない!。




少女達が決意を固めた次の日。学校の二年生の階の廊下で一人の少女が悩んでいた、

(大丈夫だよね、今日はりゅうくんの誕生日、きょ‥今日くらいご飯に誘ってもいいよね)


少女――三枝優奈は幼なじみをどう食事に誘うかを迷っていた。


少女の手には今日のために数ヶ月前からメニューを考えて、朝の5時から作った力作のお弁当が握られている。


(りゅうくん誕生日おめでとう。いや、これじゃ普通に"あぁ"で終わりなのが見えちゃう。じゃあ、りゅうくん誕生日プレゼントがわりにお弁当作ったんだ一緒にたべよ? あぁぁぁぁぁ重い女だと思われたらどうしよう~~~)


数ヶ月も前から準備をして朝から三段弁当を作る時点でこの少女は重いと思うがそれは置いておく。


その時前方が騒がしい事に少女は気づく。

(あれ? なんか人だかりが……って、りゅうくんの教室の方?)


優奈が人だかりに視線を向けると、人が集まっているのは中心にいる美しい少女が原因だと気づく。


その少女はキリッとした目に、端正のとれた容姿、艶やかな黒髪を腰の辺りにまで伸ばしており、頭につけている鈴つきの紫のリボンが少女の凛とした雰囲気に似合っている。スタイルも出るところはでており、非の打ち所がない。


その少女は男子はもちろん女子の歓声を気にせず優雅に歩いていた。


(やっぱり綺麗だなぁ、フウコ先輩)


目の前を優雅に歩く少女――天龍院風虎はお弁当を持つ優奈に気づく。

「少しはずしてくれ」

周辺の人達に声をかけてから風虎は優奈はに近づいていく。


「やあ、久し振り三枝君」

「あっ、はい。お久し振りですフウコ先輩」

声をかけてくる風虎に優奈も慌てながら応じる。


実はこの二人何度かあったことがある顔見知りなのだ。


「こんなところに何か用でも、確か君のクラスは2つ程向こうったと思うが……それは」


優奈の持つ弁当に風虎は目を止める。

「いえ、これは別に」

優奈は慌てながら弁当を後ろに隠す。


「あぁ。彼に渡すのか。今日は誕生日だしね、その様子じゃあどうやって渡すのかを悩んでいるってところか」

一瞬で自身の悩みを見透かされた優奈は羞恥で頬を染める。


「せっ、先輩こそ何の用で来たんですか!」

恥ずかしくなった優奈は必死に話をかえていく。

「何、生徒会の用でちょっとね」

そんな、優奈の態度を風虎は微笑ましそうに見る。


風虎は生徒会の会長をやっている。

文武両道、才色兼備。それを鼻にかけずに他の者にも優しく接している風虎が会長に選ばれたのは当然の事だった。


「そんな、ポケットにリボン付きの袋を入れてですか?」

「‥っ!」


優奈の指摘に風虎はしまったと目を見開く。

しかし、そこは流石の天龍院家の女。風虎は直ぐに平静を取り戻す。


「あっ、ああ! これは仕事とは関係ないプライベートな事だ。気にしなくていい。仕事はちゃんと別にあるんだ」

だが、頬は桜色が色づいたままだった。


(フウコ先輩はずるいです。普段は動揺や本音は表にださないのにこう言うときだけ‥)

普段とのギャップで更に可愛さを醸し出す風虎を優奈はずるいと感じていた。


(これじゃあ。りゅうくんも風虎先輩の事を好きになっちゃうじゃ)

幼なじみが容姿で人を好きになるはずがないと知りつつも優奈は風虎の綺麗な容姿に不安を拭えずにいた。


しかし、そんな優奈も、肩まで伸ばしたゆるふわの髪に可愛らしい童顔。幼い容姿と低身長に不釣り合いな程主張する胸元、優奈は風虎とは別々種類の任期を得ている。


「三枝くんは逃げるのかな」

「えっ」

優奈が風虎に嫉妬していると、風虎が突然意味深な事を聞いてくる。



「私はもう逃げない事にしたよ」

それが何の事か優奈は理解している。


風虎は変わると決意して、それを実行しようとしている。

そもそも、自分と彼は因縁があるとはいえ、憎しみあっているわけではない。勝手に恐怖し逃げてきたのは自分だ。


はなから彼は自分の事なんて見てもいない。なら遠慮なく私の事を見せてやろう。


風虎はそう決意していた。



「私もただ見るだけはやめました。どんな障害でもりゅうくんと居られれば乗り越えられるから」

優奈もまた。自分を変えようと決めている。りゅうくんが大好きだからと、もう、絶対に逃げないと、臆することなく風虎に伝える。


「なら、一緒に彼の所に行こうでないか」

「はいっ、負けませんよ」

そう言った二人の乙女は恋する少年に会うために、二人で教室の扉をあける。


その瞬間、優奈と風虎の視界は教室一杯に広がる真っ白な光によって遮られる。


光がおさまった後には教室に居た人間は一人残らず消え去った。



こうして、呼ばれるはずじゃなかった二人の少女が異世界に転移するのを手始めに、一人の少年を中心に運命が神でさえ予測できない方向に目線を向かっていく。







次回、転移、勇者、姫様、王国とテンプレです。

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