転生ヒロイン マリー1
詰んだ……
もしかしたら自分は巷で人気の悪役令嬢がヒロインをざまぁする世界にいるかもしれない。
そんな恐怖に怯えるマリーは、9歳の時突然魔力に目覚めたと同時に、自分がいる世界が乙女ゲーの「マリーの恋と魔法の物語」であることに気づいた。
前世のゲーム記憶を得たマリーは、自分がゲームでいうヒロインであることに絶望した。
だって、これって、いわゆる転生したヒロインが自己中発揮してハーレム作ろうとして失敗して、悪役令嬢にざまぁされるってやつじゃね?
ヒロインに転生してやったぁって、思わせといて地獄に突き落とされる系じゃない?
マリーは記憶が戻ってから、しばらく悩んだが、魔力が高いことにより貴族に引き取られるってイベント回避すればいっか!ということに気づき、一安心した。
しかし、14歳になったある日家に帰ると豪華な馬車が止まっていて、なぜか問答無用で押し込められて、拉致られた。
人の良さそうな貴族のご夫婦に面会したが、
「その〜魔法が使えるからってぇ、庶民が貴族の養女になるとかぁ、おかしいと思うんですよぉ。私ぃ、何か失敗してぇ、お二人にご迷惑かけると思いますしぃ、きっと後でやっぱり庶民なんか養女にするんじゃなかったってなると思うんですよぉ〜」
めっちゃ失礼な嫌な感じの態度と、語尾を前世で言うギャル?っぽくウザい感じで話して説得を試みたが、人が良すぎる養父母には私の意図は全くもってスルーされてしまった。遠慮しなくていい、問題が起きても乗り越えられるとか言って、結局回避不能になってしまった。
「これが恐れていた物語補正ってやつか……」
マリー、記憶が戻ってから1回目の絶望であった。
「やっぱり、何事も思い通りにはいかないものね。」
マリーは乙女ゲームの舞台である学園の入学のタイムリミットが近づくにつれ、重い気持ちになった。
「攻略キャラは5人、その全員との接触を回避したいけど、自信ないなぁ。」




