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㊱駅の案内所にて

 寒々とした日。

 ㊱駅の案内所にて



 今日の朝礼ではじめて事務の女の子が本日限りで退職することになった。

 こんなご時世だから、うすうす感じていたことだけど、なんとなく釈然としない気分で、退職の説明を聞きつつ、本人の挨拶を聞いていた。

 表向きは寿退社、おめでとう、私は心の中でそう思った。


 うちの会社は電車の到着時間に合わせて、送迎を行っているので、私はハイエースで駅受け(駅のお客様を乗り場まで送る)を行う。


 駅の階段下、時間にして10分そこで、往来する中から川下りを希望するお客様を案内する。

 案内所の当番だった、彼女が立っていた。

 私はいつものように、


「どう、お客様、来ている?」


「まだ0ですね~」


 と、やりとりを行う。

 その後、しばし無言。


「あのさ、仕事やめるんだよね」


「はい」


「結婚だってね、おめでとう」


「ありがとうございます」

 

 彼女は、少しはにかんで笑った。


「・・・こんなご時世だからね。大丈夫?」


「うーん、きっと、大丈夫ですよ」


「そっか」


「そうですよ」


「山本さんもがんばってください」


「うん。でも、こんな感じだからね」


 この時間帯に利用するお客様は0だった。


「なかなか、大変ですよ」


「そうだね」


 お互い苦笑いをする。


「じゃ」


 時間が来たので私は手をあげ、ハイエースへ戻る。


「はい、お客様0で報告します」


 背中ごしに彼女の声が聞こえる。


 振り返ると寒々とした閑散とした駅の姿があった。



 ちょっぴりセピアがかった光景に見えました。

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― 新着の感想 ―
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