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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ノーマルルート
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またまた新しい精霊の話?

 アガレットさんの部屋に案内されたら、わたしたちの他には誰もいなかった。もしかして、知らない大人がいるとわたしが緊張すると思って気を遣ってくれたのかなぁ。


 優し〜い! さすが、大人の余裕だよね!

 でも、キャンディの冷たさはまったく揺るがなくて、アガレットさんはガックシきてたよ。


 気を取り直して、温かいお茶とお菓子をいただきながらキャンディと蜂蜜くんにしたのと同じ話をした。昨日、ふたりを相手に話してたから、かなりスムーズに話せたと思う。


 アガレットさんもとても聞き上手で、時々質問のために中断する他は、わたしの話を遮らずに話し終わるまで待ってくれた。


「アイスくんっていう奴隷の少年に話を聞いてみたいな。アスナくんとしては複雑だと思うけど、彼はきっと、君を助けようとしていたと思うよ」

「やっぱり、そうなんでしょうか……」

「うん。王子の命令で動いているだけなら、わざわざ奴隷たちの村へ案内したりしないんじゃないかな。そのまま君を連れて、王宮へ向かったはずさ。それに、彼自身も捕まってしまったんだろう?」

「そうです。嘘かホントかわからないけど、反乱を企んでいた奴隷のリーダーは、彼を殺そうとしていました。ソーダさんは助けたって言っていたけど……」


 あのときのことを思い出して、わたしは膝の上でギュッと手を握りしめた。どうしてアイスくんの無事を確認しなかったのか、どうしてこっちに連れてこなかったのか、後悔してる。


「風の精霊様を信じよう。きっと彼は無事さ。それに、大地の精霊様も、光の精霊様も彼と一緒だったんだろう? なら、そんなに心配することないんじゃないかな」


 確かに。アイスくんの周りには、光と闇、風、大地の精霊がいたわけだ。コンちゃんは今、こっちの国にいるけど、元はアイスくんが連れてきたんだもんね。


「精霊は光と闇、火、水、土、風の六種類いるみたいですね。でも、火は忙しくてギースレイヴンにはいなくて、水の精霊はまったく見たことがないって、アイスくんが言ってました」

「そうなのか……。前にも言ったけど、精霊様はこの地にはまったく姿を見せなかった、だから知らないことのほうが多いんだ。けど、ご先祖様の残してくれた記録から、この世界の成り立ちと精霊様の関係はわかるよ」

「あっ、それ、学園の教授が同じことを言っていました。精霊がこの世界を作ったんだって。本を借りたんですけど、実は、全然読めてないんです」


 だって、忙しかったんだもん! そういうことにしといて!


 ちなみに、風の精霊のソーダさんがこの国に入ってこられなかったのは結界のせい。コンちゃんは……わかんないや。


「この世界の成り立ちを、良かったら教えようか?」

「はい! ぜひ、お願いします!」


 精霊ってまるで神様みたいだ、とわたしは思っていた。アガレットさんが話してくれた「この世界のはじまり」は、本当にそんな感じだった。


「この世界は最初、何も見えない、よくわからないところだったと伝わっている。何もかもが入り混じっていて、グチャグチャで、形を成していなかったんだ」


 わかる、それ。あの、あれ、混沌ってやつね。どこの世界も神話は同じなんだなぁ。


「そこにあるとき、光が現れた。その瞬間に闇もまた生まれたんだ。そして光から火が生まれた、すぐに消えてしまいそうだった火を助けるために風が生まれた」


 いつの間にか、キャンディが横にいて頷いている。


「光に照らされた足元には、水と大地の姿があった。水と大地は夫婦で、たくさんの生き物がふたりの間に生まれた。それが、私たち人間の始まりだそうだよ。その生き物たちのために、光が朝を連れてきて、闇が夜を連れてくる、そんな風に世界は回るようになったんだってさ」

「すごい、そんなことがあったんですね。誰が書き留めたものんですか?」

「わからない。でも、これは実際に精霊様から聞いたものだから、間違いないという話だよ」

「へぇ。じゃあ、今度ソーダさんに聞いてみますね」


 ソーダさんが火の精霊を助けたんなら、居場所も知ってそうだよね。


「ようやく思い出しましたわ。この物語には続きがありましてよ、アスナ」


 と、お嬢様しゃべりに戻ったキャンディが言った。


「朝と夜が出来てからというもの、大地の上に寝そべってじっと光と闇を見つめる者がいたんですの。そして、それが時の精霊になったのですって。だから、精霊様はぜんぶで七体いらっしゃるのですわ」

「そうだったんだ!」


 これは初情報だ!

 図書館でおじいちゃん先生が言ってた中には、時の精霊のことは入っていなかった。アイスくんも言ってなかった。どうしてキャンディは知ってるのかな? それに、苦笑してるアガレットさんも知ってたみたいだね。


 ええい、ちゃっちゃか白状しろ~! わたしを元の世界に帰せるとしたら、シャリアディースくらいの魔法使いか精霊くらいしかいないんだからね! たぶん!


「もしかして、精霊のことも機密事項なんですか? 内緒の話?」

「まあ、ね」

「ひどいっ! わたしが帰るために協力してくれるって言ったのに……!」


 わたしはわざと声を上げた。


「そりゃあもちろん、帰してあげたいと思ってるよ、今でも」

「じゃあどうして黙ってたんですか! わたしが帰るためには、不確かでも、こういう情報を集めるしかないのに!」

「最低ですわ! お父様!」

「ええっ!? あ、いや、そういうことになるの……? ごめん、よくわかってなかったんだよ……」


 ウソ泣きとキャンディのひとことが効いたかな? アガレットさんはしょんぼりしてしまった。


「ごめんよ、アスナくん。でも、今以上の情報はないんだよ……」

「えええっ!」


 ショ、ショック~~~!

 これは、早くソーダさんを捕まえて聞かなくっちゃ。時の精霊の情報を!

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