~第13幕~
喫茶店内の物陰で休養をとっていた西園寺明日香は横浜市内の廃ホテルにて召喚の術を発動させた。
「久しぶりだな。私一人でこれが出来るのは有難いな」
人の形をした光体が2つ浮かび上がるように出現した。
「ここは……?」
薄い光体となって湧現したのは氷山由紀。続いて鈴木政宗も意識を覚ました。西園寺は彼女達の肩をポンポンと叩き笑顔で挨拶を送る。そして続けた。
「記憶があるなら、もう死神として命を失っていることは分かっているよな?」
さっきまでケラケラしていた西園寺が急に表情を引き締める。
蘇生された2人の肩や腰に付着した爆発物が浮かぶ……
「これは……!?」
政宗はその物体に触れ驚きを隠さずにはいられなかった。
由紀は冷ややかな目で静かに状況をみてた。何も動じていなかった。
「見てのとおり交渉、いや、命令だ」
「命令?」
西園寺の発言に対して由紀は睨みつけた。
「見て分からないのかよ? 私に歯向かえば、その体にくっついている爆弾が爆発する。私の言う事を聞けば爆発はしない。そういう事なんだよ! ね~ちゃん!!」
西園寺は由紀にグッと近づいて顔を近寄せた。
「顔が近い。離しなさい」
「ああ?」
「聞こえなかったの? 顔が近いから離しなさいと言っているの」
「何だ! テメェ! 今自分がどういう立場にあるか、わかっているのか!?」
由紀は厭らしく微笑み返す。その微笑みには確信があった。
「貴女如きの為に私の心を差し出すなんて真似しないわ。私は貴女に殺された。それがこのゲームでの私の結果よ、悔いはあっても反省なんかしてない。それなのに? 今更死ぬ事にびびってなるものか!!」
西園寺は由紀の怒号に大きく後ずさりし、しりもちをついた。しかし彼女の琴線に触れてしまうのは明白だ。
「テメェ!! 二度もチャンスがあると思うな!!!」
西園寺が指を噛むと氷山由紀は爆散した。
爆炎から一人の男が現れる……先ほどまで不安な表情をみせていた政宗だ。
しかし今の彼は怒り狂う女を堂々と見据えていた。
「わかっているな? 言う事をきかなきゃあ、ああなるぞ!?」
「そうか」
「わかっているなら、私の言う事を聞いて貰う! いいな!」
「今、お前に俺の刀が見えるか?」
「え?」
「太郎の仇だ。ここで晴らして貰おう!!」
「何を言っている? そんな事はでき……」
鈴木政宗は構えに入った。日本刀を収めた黒い鞘が西園寺に見えた。そして彼が抜刀したその瞬間、彼だった光体は分散して消え去った。
「クソ……」
西園寺はゆっくりと立ち上がった。皮肉にも彼女は失禁してしまった事にそこで気がついた。
「糞野郎があああああああああああああああ!!」
彼女は思う存分の力を発揮して自爆した――
相当な力を使い過ぎたのか、息を切らしながらもゆっくりと立ち上がる。
片手に力をこめると白い冷気が放たれた。
「はは、ははは、はっはっは……あっはっはっ!」
こうして西園寺明日香は新たな力を手に入れたのであった――
∀・;)22時57分に投稿!!間に合ったぜ!!また来週!!西園寺明日香、馬鹿にされるも新しい力を手に入れたの巻でした!由紀さんも政宗さんも我ながら性格がイケメンだったな(笑)




