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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第5巻~DEAD OR ALIVE~
76/163

~第14幕~

 鈴木政宗は晴美を殺傷後、明神翔の分身と戦闘していた。



 翔の放つ光線をも斬り捨てる政宗の能力は風神抜刀。その日本刀で風を自由自在に操り攻撃に活かせる力だった。ゆえに翔に圧倒され気味だったとはいえ、互角に渡り合っていた。



 しかし突如として翔の分身は光体となり、飛んで逃げていった。政宗はすぐ太刀風を起こして追撃したが、かわされて逃げきられた。



「持久戦に自信がなかったのか?」



 政宗は刀を収めると、彼も退散しようとした。戦闘中に2度の爆発音があり、人の悲鳴や喚き声も聴こえた。おそらくはここに集った死神の半数が失命したことだろう。政宗達をそそのかした虫は来てもいなかっただろうが、次は彼と対峙するのかもしれない。次の戦闘にむけて家路を急いだ矢先だった。



「お~い! お兄さん、お家帰るにはまだ早いンじゃねぇの?」



 廃工場の大門を出たところ、女の声がした。振り向くとそこに手りゅう弾を口にくわえさせられた太郎がいた。廃工場で爆破を起こした人物……



 この女が西園寺明日香……



 すぐに構えたが、西園寺に片手で制止された。



「待てよ! ここで私を殺してみろ? この坊主も木っ端みじんにされて死ぬだけだぞ? それは嫌だろう? なぁ、ぼ~や♪」



 西園寺は手に持った手りゅう弾と一緒に太郎の顎を持ち上げる。



 太郎は苦しそうに涙を流して喘いでいた。どうしてここにいるのか?



 いや、なんとなく原因はわかっていた。自分が太郎を愛しているように彼もまた政宗を慕っている。来るなと釘は刺したものの、充分でなかったのだ。その一瞬で後悔の念が押し寄せてきたが、今はそれどころではない。



 しかし何かひっかかるものがある。



「何故俺の家族だとわかった……?」

「ああ? そんなモノ『何となく』に決まっているだろうが! ボケェ!」

「虫か?」

「ふうん、じゃあ、お前のところにも野神の野郎がいったってことだな?」



 西園寺は太郎の顔を左右に揺らして動揺を図る。そして言い放った。



「私はさ、あの虫ケラに腹がたっている! 最高にムカついている! てめぇ、明日迄にあの虫を殺してから此処に来いや! そしたらお前の“弟”は無事に還してやるよ。ちゃんと殺してきたらな」



 非現実的な話だ。しかしここは折れたほうがいいのか? いや、そんな甘い話なんかある筈もない。一瞬の隙をついて、彼女の頭部へと斬撃を入れてやる。その刹那を見逃さない他ない。政宗は一旦構えを引いてみせた。



「ウソだよ! ば~か!」



 西園寺は片手の親指を噛んで“3度目の自爆”をおこなった。




 こうして廃工場での闘いは終結した。西園寺の3度目の自爆から10分後、神奈川県警の一行や消防隊が到着した。九龍美奈、鈴木太郎という未成年なる犠牲者と他多くの人物の多量の血痕のみが発見され、前代未聞の怪事件として捜査が開始された。これに同じく横浜市内では突如頭部を撃ち抜かれて死んだ者や全身やけどを負った者、毒を大量に受けて死んだ者までも同時刻に現れた。



「明神警部は? 繋がらない? どうなっているの!?」



 現場に駆け付けた柏木警部補は混乱と困惑を露わにした。横浜で何が起きているのか。ゲームを知らない者たちはただその恐怖に震撼した――



∀・)いや、ホントこの章って西園寺さんの為にある章っていう感じが(笑)追悼鈴木兄弟でした。好きな人がいるからって危ないところにはいっちゃダメ!っていうことなんかな。九龍姉妹とどことなく同じ運命をたどってしまった2人でした。シンキロの横浜は大混乱となりましたが、廃工場での闘いはこれにて終了です。ただ第5章はまだ続きます。次号!

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