~第11幕~
深夜3時をまわって、具体的な作戦会議はようやく終わった。
そういえばどうしても聞かなくてはいけないことがあった。
どうしてこの話し合いのなかで聞かなかったのだろうか。
「なぁ、エレナ。エレナの能力って何だ?」
エレナは窓にもたれながらも、少し考えるように仰いだ。そしてそっと零に視線を向けた。
「知リタイノカ?」
「もう、これからはお前と一緒にやってかなきゃいけない。知る必要はあるさ」
エレナは「フフッ」と笑うと「ソウダナァ……」と続けた。
晴美は零のベッドで我がベッドのようにして寝ていた。起きることなんかもなさそうだ。
「私ハ月ノ力ヲ必要トシテイル」
そう言うとエレナは部屋の窓を開けた。冷たい風が部屋に入ってくる。
「え!?」
次の瞬間にはエレナの背中に大きな黒い翼が生えていた。
「私ノ力ハ“闇”ソシテ“影”ダ。月ノ力ヲ蓄エタダケ、闇ト影ヲ自在に操ル。実体ノナイ実体モ作リダセレル。月影ダヨ」
エレナはニコッと笑うと続けた。
「ジャ、チョット散歩ニイッテクルネ」
エレナは大きな翼をバタつかせ、星空煌めく夜空へ飛び立っていった。
零は窓から飛び立つエレナを眺めた。驚き以上の感動がそこにあった。
何だかエレナのことを思いだせるような気がした。
記憶の底にある家庭の温もり……
いびきをかいて寝ている晴美にも何故か愛着が湧くようだ。
「少しだけ休もうかな」
窓は開けたままにして零は壁にもたれかかり、座ったまま目を閉じた、
翌日、朝早くから九龍姉妹と合流した。
美奈も奈美も晴美の存在には驚きをみせたが「心強い」と太鼓判を押してはくれた。そしてこれは青風園との別れでもあった――
「もう、ここからいなくなるのね」
「ああ、次会う時は戦場になるな」
「私、私達は零君の味方になる!」
腕を組んで見守る奈美も心なしかそっと微笑んでいた。
美奈は零に抱きつき「元気でね」と呟いた。
零はエレナと手を繋いで外にでた。
「何よ、貴方たち。前世は恋人同士か何かだったの?」
零一行に加わった林原晴美は苦笑いをしながらも皮肉めいた言葉をかけた。
「違うよ。エレナの力を借りる為さ。ほら、あそこに綾間がいる」
「綾間?」
零の指さした先、そこには車を停めて運転席でくつろぐ綾間紳一郎がいた。
「ああ、青風園をうろついていた刑事か」
晴美にも合点がいったようだ。
「じゃあ、することは1つね」
「ソウイウコトダナ」
「作戦開始だ」
黒崎零、エレナ、林原晴美の作戦がはじまった――
∀・)はい!遂に!遂にエレナの能力がわかったの巻でした!皆様、たいへんに長らくおまたせしました!だからってワケじゃないけど、ここのエピソードが作者的には1番好きなところです(今のところ)。エレナの能力はちょっと違うけど、とあるの垣根提督の能力に少し似てるかもです(とあるファンにしかわからないか)。ただ他能力者を始末してもマスターできないという「代償」も払っているんですよねー。この力が強力かそうでないか、ひとまず読者様であられるあなたの感覚で良いと思います。次号!!




