~第2幕~
奈美と美奈は睨みあった。先に言葉をだしたのは美奈だった。
「何の真似? 私の知らないところで何をしようとしたの?」
「……でも、彼は雇用主だよ? いずれはおとさなければいけない命だよ?」
「だから何? 何で私の知らないところであんなことをしようとしたか聞いているの!」
まずい。美奈は完全に怒りに飲みこまれている。どんな説得をしたところで、何も意味を成さないだろう。奈美はその場で土下座をして謝った。美奈は驚くしかなかった。
「ごめ、ごめんなさい! ただこのゲームをするうえでどうしても厄介な存在になると思ったの! もう金輪際彼を狙う事はしない! 許して! お願い!」
「………………」
それで美奈の怒りが鎮まることはなかった。しかし奈美の思惑もよくわかる気がしてきた。少し考えて美奈はしゃがみ、奈美と視線を合わせた。
「本当のこと話していい?」
「え?」
「私ね、アンタが生き返ろうが生き返ることがなかろうがどうだっていいの。ただ、施設での生活はやっぱ寂しかった。アンタがそこにいてくれるのならね、それで何かが変わるかもしれないと思ったの。それでアンタの話にのっていた。それだけよ? わかる?」
「つ、つまり……どういうこと?」
「私はアンタの奴隷じゃない」
「そんな!? 奴隷だなんて……痛っ!?」
美奈は奈美の髪をひっぱりあげた。
「私はこれから黒崎君とその死神の味方になる。邪魔をするのなら、この手でこの命をおとしてやる。これはいつも我慢してきた私からアンタへの条件提示」
「条件提示? 正気? 私たちは死神で1番の……あがっ!?」
「そんなに蘇りたいなら、改めて私にとってアンタが彼以上の存在になる努力をしなさい。わかったか!」
「う! わか、わかった!」
恋は盲目。わかっていたことがここまでのことになるとは思わなかった。
美奈が奈美の髪を手放した時、背後に人間が立っていることに気がついた。
「九龍さん、どうしたの?」
「えっ? ああ! 園長! ごめんなさい。急に演劇の練習したくなって」
「九龍さん、演劇部なんかしていたの!?」
「ううん、なんか急にしたくなっちゃって。あ、雨降りそう。帰らないと」
美奈は奈美を見下ろすようにして、奈美へアイコンタクトを送った。もはや運命は決定づいた。奈美はただ美奈の動向に不安を抱くしかなかった。
次第に雨が降り出した。小雨だったそれはやがて大雨になった――
∀・)奈美v.s.美奈?の巻でした。作者的に奈美ちゃんより美奈ちゃんのほうがはるかに怖いです(笑)さぁさぁ面白い展開になってきました!次号!




