~第15章~
エレナは権藤山太郎と戦い続けていた。何度斬っても根を生やすことで自己再生を果たす山太郎に手を焼いていた。
山太郎は消えるエレナに手を焼いているようだったが、次第に慣れてきてもいるようだった。根を生やし、木人間とする能力は山太郎の分身を作る能力に転化させることも可能だった。
エレナと戦う山太郎は6体に分裂していた。
いくら攻撃しても完全に倒しきれない山太郎。
次第にエレナは疲労をその身に感じていた。
そして満身創痍となってもいい状態になった。
それでも彼女の能力によって山太郎の視界にその身は映らなかった。しかしこの下水道から逃れられない状況、嫌な予感が沸々としてきていた時だった。
「ふん。透明人間になる力か。しかしもはや貴様に逃げ場などない」
6体の山太郎はそれぞれが別々の方向を向いて弓を構えた。
「ナニッ!?」
エレナは山太郎の矢を交わしたが頬に切り傷を負った。
「ほっほっ! そこにいたか! 一気に仕留めてくれる!」
エレナが傷を負った事で、彼女の姿が露わになった。そして6体の山太郎が同じ方角に弓矢を構えたその時だった――
「ぐはっ!?」
山太郎は頭部に打撃をくらった。5体の山太郎が一瞬で朽ち果てて崩れた。1体の山太郎はのたうちまわって悶えはじめた。
何が起きたのか? 雇用主が攻撃されたのか?
エレナはこの状況を不思議に思った。
しかし彼女にとってこれは好転した状況に変わりがない。
エレナはニヤついて山太郎に近寄った。そして喚く口を履いている靴で踏みつけた。さらに左手へ黒い粒子を集めて鉄槍を作りだした。
「ミットモナイナ、歳ヲトッテ良クナルノハ威勢ダケカ」
口を塞がれた山太郎はただその先にあるものに恐怖するしかなかった――
「オ前ノヨウナ奴ヲ何ト言ウノカ解カルカ?」
一度は迎えた筈のその痛みと終焉――
「教エテヤロウ」
怯える老人は涙を浮かべるだけで、何もなす術がなかった――
「タダノ老害ダ」
エレナの一振りで老獪な死神の脳味噌は飛び散った――
∀・)エレナv.s.権藤山太郎、ここに決着。随分と長らくにわたって書いてきました第3章もそろそろ終わります。結局エレナの能力が語られることがありませんでしたが、何となく勘のいい御方にはわかって貰えたと思います。また来週!!




