〜第12幕~
零はエレナに口を塞がれていた。
「私カラ手ヲ離スナ。アノ死神ニバレル事ハナイ」
エレナはそっと手を離した。
「何故だ……何故俺を殺してくれなかった?」
「殺シテクレナカッタ?」
「友達が死んだんだぞ……! 友達が死んだんだぞ……!!」
零はエレナの胸座を掴んだ。その瞳から溢れる涙がとまらなかった。しかし、すぐに彼女は胸座を掴み返して返答した。
「河村ガ既ニ死ンデイルト零ニ教エテイタラ、零ハ信ジテクレタノカヨ!? アノ死神ヲ殺シニ、一人デ復讐デキタノカ!?」
「それは……」
「アノ男ハ、私ガ始末スル。零ハ人目ノツカナイ所へ逃ゲロ。イイカ?」
「くそっ……」
零には何も言えることがなかった。今すべき事は涙を枯らす事に他ならない。エレナと手を繋ぎながら梯子のかかる出入り口から抜け出した。
老人は暫く零達を探しまわっていたようだが、その途中で携帯電話を手にし、誰かと電話でやりとりをしているようだった。至近距離を通ったにも関わらず、全く彼が零達に気づかなかったことも気になる。しかし、それ以上に気になる事が零にはあった。
零は下水道を出てすぐに、河村の電話番号からの着信を拒否した。そして未登録の電話番号からの着信も拒否しようとしたところだった。
このタイミングで未登録の電話番号から電話がなった。
あの死神なのか? 普通ならでないところだが、零はとっさに出てしまった。
『黒崎零さんですか? 権藤元太といいます』
「権藤!?」
『ああ、すいませんね、突然に。実は貴方のこと、とある探偵様に依頼して突きとめて貰いました。それからどうしようか……悩んだのですが、兄が刑務所で死んでしまいまして。これを機に家族である祖父と直接お詫びをしたいと……』
「そうですか……」
『黒崎さんが迷惑ならいいのですよ。ただ急な話ですし、もし宜しければ日時場所を決めてお会いできたらと。ただ私は容姿のこともあって、人目につく所では難しいのですが……』
「わかりました。わかりましたけども、今僕も大変な状況にあって、後々の話ということでよろしいですか?」
『ええ、私たちはただお詫びしたい。その一心です。急ぎません』
「電話ありがとうございます。では」
零は電話を切って、何か違和感をその心に残した。
このタイミングで? いや、ただの偶然なのかもしれないが。
零はマンホールのほうを見た。エレナがあの木人間と交戦している。エレナが死ねば自分も死ぬ。もともと死を覚悟した筈だったが救われた。変な感覚だ。今はエレナを信じるに他ならないというのに、何かで気を紛らわしたい。
そんな感情が零を動かしていた。零は青風園に戻って、1枚の紙をとりだし、広げた。もしかしたら……そこに記されている住所は青風園からそう離れてはいない土地にあった。
皮肉にも運命の歯車は都合よくまわっていた。真実を知ったとき、人は驚き喜ぶ者もいるが、悲しみ怒る人間もいるのである――
∀・;)いや~先週にひきつづき急すぎる展開でした。てかその状況で電話にでた零くん凄すぎ(笑)ただこの展開でないと物語がシンプルにまとまらないので、こういう形にしました。えっとわかる人にはわかる展開ですよね(笑)ベタなんですけどそのとおりです(笑)また来週!!




