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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第2巻~SURVIVE THE WORLD~
27/163

~第17幕~

 突然のことであった。



 もう少しで、あともう少しで命を落とすところであった。



 拓海の母、晴海の脳味噌が突然破裂したのだ。



 彼女はそのまま横たわった。死神であるからなのか、すぐに息絶えるワケでないようだ。真人がそうであったように、彼女の体から綿のような粒子が浮き、宙へ舞って消えてゆく。



「どうして……拓海……拓海……」



 彼女は涙を流して息子の名前を呼び続けた……そして消えた。




 暫くしゃがみ込んだまま、零は動くことができなかった。




「おい、大丈夫か?」



 水道関係の職員だろうか? あるいは近所の者だろうか? 腰を酷く曲げた老人が手を差しのばしてきた。



 手を借りた零だったが、立ち上がってからは「もう、いいです。大丈夫です」と自分で歩いていった。




 零が梯子をのぼっていくのを老人はただ見つめていた。



「ほほう、儂が見えるのか。いま“触れた”ことだし、いい獲物が獲れたのう……」



 老人は卑しく微笑んでみせた。



 零はまだ地獄から抜け出したワケでなかった……。




 零がマンホールから抜け出すと、そこにエレナが立って待っていた。



「オ疲レサマ。満身創痍ジャナイカ」

「お前がやったのか?」

「ン?」

「お前が拓海を殺したのか?」

「イイヤ、彼ガ彼デ自殺ヲシテクレタヨ」

「そうか。そうだったのか……」

「疑ワナイノカ?」

「何だろうな。お前が嘘を言っているように聞こえない。それに……」

「それに?」

「アイツの気持ちがいま、すごくわかる気がして仕方ない」

「彼ノキモチ?」



 零はエレナに向けていた背を反転させて、彼女と向き合った。



「俺とはもう金輪際関わるな! 二度とでてくるな!」



 きつく言い残した零はそのまま青風園を目指した。



 エレナは夜空に浮かぶ星空を見上げた。



「死ヌノガ怖クナイカカ……」



 林原拓海の死は零にもエレナにも重たい影を残していった――



∀・)第2章・完です。読んでくださる皆様に感謝!すぐに第3章の執筆に入ってゆきますが「SHINIGAMI GAME」も更新していますので、そちらもチェックしてね。感想も気軽に残してください。また来週お会いしましょう。イデッチでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 生死を扱っていて容赦ないけれど、アクション満載でかっこよくもある世界観。かなりダークですが、零くんの精神状態が健全なのとエレナが可愛いので(なんだか可愛いと感じてしまいます)、沼に陥ること…
[良い点] ここまで拝読しました。 携帯のメールに不吉な予告が送られてきて、そのとおりになってしまう恐怖の序盤、インパクトがありました。 真人さんは零君のことを分かってくれる、と思っていた次の展開に「…
[一言] いでっちさまの代表作をやっと読みに来れました〜! 今まで全然読めてなかったんですよね^^; ズバリ、面白いです〜! 私の好きな異能力バトル要素が入ってますし、心の掛け合いみたいな死神や雇い主…
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