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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第2巻~SURVIVE THE WORLD~
20/163

~第10幕~

 零が登校すると、案の定たくさんの生徒や教師から事の経緯を尋ねられた。勿論口が裂けても、進士の体が氷結して破裂した事など話す訳ない。テレビのワイドショーで取り上げられるような出来事にいくつも面しているから、注目されるのは避け通れない道のようだ。



 くたびれるような学校が終わった。零は下校した足でとある探偵事務所に向かった。河村の兄が営む「河村探偵事務所」だ。それは古びた雑居ビルの3階にあった。零がノックすると「はーい、どうぞ」と河村そっくりの声が聴こえた。



 河村の兄、河村淳史は零のことに興味津々であった。



「話は卓士から聞いたよ。依頼の話もね。普段ならそれなりのお金をとるけど、今回は大目にみよう」

「はい、すみません」

「で、調べてみたら実に面白い事が次々とわかってね。お金はいいけども、その替わりに俺には俺で欲しいものがある」

「欲しいもの?」

「ああ、黒崎君、君はその……何を知っている? 君には何があったの?」

「何をとは具体的に何のことですか?」

「例えば先日、君は住んでいたマンションから“怪我を負って”出てきたと言われているね。誰かに襲われたとも。そのタイミングで君の保護責任者が病院で飛び降り自殺をしている。刑事じゃないけどさ、俺はこれが奇妙すぎる連鎖に感じてしまって仕方ないのさ。そのまえに君のガールフレンドが不自然な死を遂げている。君が何も知らないとは……俺は思えないのだけど?」



 まさかこの男に死神の話なんてしても通じることはないだろう。



 零は少し考えて返事した。



「お話されていることは全て、俺でもわからないことばかりですよ。ただ、マンションの件は俺の錯覚だったらしいですね。寝ていたのですが、誰かに……死んだ筈の従兄が襲ってくる夢をみたのですよ。包丁をぶんぶん振り回していたみたいで。もしかしたら真央さんもそんな幻覚をみたのかもしれませんね?」

「ふうん、映画みたいな話だな」

「まったくです。これで満足してくれませんか?」

「ま、いいよ。依頼された案件はこのとおりだよ」

「これは?」



 淳史は彼がまとめた資料を机のうえにバサッと置いた。零はそれを見入った。



「君の義理の弟と思われる白崎創しろさき・はじめは父が組長を務める大野会白崎組の傘下組織「ゼロの指弾」を結成して警察に捕まっている」

「ゼロの指弾?」

「面白い話でね、その組織結成前に君の親父でもある白崎左之助は行方不明となっていてね、おそらく暗殺されたのだとされている。そこで組員をしていた男と創が組を解散して新たな犯罪集団を結成したのよ」

「それがゼロの指弾?」

「何でも組長の死後、元若頭を含む多くの組員が他の組と合流したらしい」

「それじゃあ……」

「ま、最後まで話を聞いてくれ。おそらくは組織的始末だったのだろう。左之助氏の殺害は。だけどこの数か月後に大野会は会長含む多くの組員諸共が皆殺しにされてしまったのさ」

「皆殺し!?」

「とんでもない話だよな。警察の知り合いより教えて貰ったことだ。なんでも強力な殺人兵器をゼロの指弾が所持していたらしく、メンバー3人のうち2人逮捕したそうだ。逮捕の際には銃撃戦、1人死亡。なんと警察の女だったとか。ただこの事実は世間を揺るがしてしまう案件だから表になってない。なんていうか、君の弟すごいな(笑)」

「言葉がでないです……ただどこにいるのか知りたかっただけなのに……」

「それと、もう一つの案件についてだ。君のお姉さんを殺した権藤紋太だけど、刑務所でショック死している。ここにそれが記されている新聞記事がある」

「ショック死?」

「ああ、檻の中で死んだみたいだ。偶然なのかそうでないのか気になるよな」

「わかりました……知りたい事は知れました。ありがとうございます」

「なぁ?」

「はい?」

「黒崎君、君は本当に何も知らないのか?」



 零が何かを知っている。この男の眼にはその確信があった。



 だけど折れてはいけない。零は冷静にその目を逸らさなかった。



「何も知りません。ただ驚きと困惑でいっぱいです」

「そっか、それでこれからどうするよ?」

「普通に生きていけたらと」

「そうだな。それが1番だろうな。ああ、そうだ!」



 淳史は引き出しから1枚の紙をだして零に手渡した。



「そこに創のいる刑務所、それから、権藤紋太の弟の元太の住所が記載されている。気が向いたら行ってみるといい。おまけであげるよ」 



 こんなものいらないとすぐに返してしまいたいところだったが、零にはそうする気力もなかった。義理の弟が想像以上の大犯罪者になっていたとはにわかに信じ難かった。むしろその恐怖すら覚える。自分のことを知ってないのであれば、幸いだと感じてしまうのも無理はないだろう。



 貰った資料は帰園までに破って捨ててしまおうか。そう心に定めて零は探偵事務所をあとにした――




 その晩、淳史は好物のピザを注文した。しかしいくら待ってもやってこない。



 淳史は注文したピザ屋に電話した。今日はどうも忙しいらしくて、もう暫く待たないといけないみたいだ。



 その電話のやりとりが終わった直後にチャイムがなった。



 ラッキーだな。そう思ったのと同時に開口1番でクレームをつけてやろうと思った。



「すいませーん、河村淳史様のお家で間違いないですかー?」



 ピザを運んできた男は髭をしっかり生やした男だ。いままで見たことがない。しかしどことなく威厳を持った雰囲気があり、思ったより文句が言えなかった。



「もうちょっと早く届けてくださいよ。お願いしますよ」

「ヘヘヘ、よく似合っているでしょ? この制服とかさ」

「はぁ?」



 つぎの瞬間に喉横から違和感のある感触が。



「?」



 違和感のある感触は激痛となって体中を駆け巡った。



「がはっ……!!」



 声がでない。淳史の首には鉄針が刺さっていた。



「ほーら、良いコは秘密を護らなきゃいけないっていったでしょうが♪」



 ピザ屋だと思われた男は淳史の口を踏みつけて彼の口を閉ざした。



 窒息するのが早かったのか、身体に毒がまわるのか早かったのか、間もなく淳史は息をひきとった――




 来るはずのピザ屋が遅れて到着したのはその30分後のことだった。そこに河村淳史の姿はなかった。机の上には彼が記したと思われる遺書らしきものが残されていた。そして彼はこの日を境に行方不明者となった――

∀・)お久しぶりです!イデッチです!いや~久しぶりの投稿となりましたが連載再開です!!零君に何かを教えちゃったが為に始末された河村氏合掌(配役は嫌がると思うけどTOKIOの城島さんあたり)!!来週以降も土曜23時で更新していこうと思うので宜しくお願いします☆

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