~第6幕~
海芝浦支線の終着駅である海芝浦駅のプラットホームに1人佇む死神がいた。時刻は真夜中の2時をまわったところだ。彼は朝から晩まで寝ることもなく、この場所でその力を蓄えていた。
死神は寝ることはない。いや、寝ることが出来ない性質の生物であることになっている。彼らは昼夜問わず獲物をしとめる為に動かねばならないから――
男の名は尾崎琢磨、生前は魚屋を一人で切り盛りしていた。最愛の妻を病で亡くしながらも、シングルファーザーとして3人の子供を育てていた。しかしとある工事現場における落下事故で巻き込まれてしまい、その命を失った。
彼の雇用主は彼の長男である進士だ。彼との再会に驚愕するばかりの進士であったが、彼の丁寧な説明によって協定を結ぶことができた。彼らの願いは琢磨とその妻の死した事実をなくすこと。幸福な家庭の蘇生に他ならなかった。
尾崎琢磨の能力は≪ウォーター・フェアー≫。彼より半径1メートル以内の水という水を全て自在に操れる力だ。
この能力を使用することで彼らは『死神ゲーム』を制する計画を企てていた。琢磨の佇む場所は限りなく大量の海水を武器にすることができる。
この力を使ってすること、それはこの横浜を津波で襲撃し、他の死神そして雇用主諸共を始末することだった。進士には津波の被害に遭わない避難箇所を事前に教えてある。3兄弟をそこに避難させてくれればいいのだ。
ただ難点があった。進士は母の美代子に性格がよく似ていて、心優しい少年である事だ。津波を起こして人命を奪う、この話をした途端に彼の表情は青ざめた。頷くことは頷いたが、果たして他の兄弟たちに話をとおしてはいるのか。海斗も杏子も琢磨を見ることができない為に進士に託すに他ならなかった。
しかしこれは夢の世界で起きている戦争だ。そう割りきらずにどうする?
進士もわかってくれてはいる筈だ。そう信じて琢磨は大きく息を吸い込んだ。
男は大きな雄叫びをあげた。その音は大きな波動となって海の果てまで響いた。男は自分の力が貯蓄されているのを確信して微笑した――
∀・)新たな死神登場!!水使いの死神!!強そうですね~!!エレナたちはどう戦うのだろう?乞おうご期待(笑)琢磨役は西島秀俊さんでいいかな(笑)




