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SHINKIROU THE SHINIGAMI  作者: いでっち51号
第2巻~SURVIVE THE WORLD~
13/163

~第3幕~

 部屋についた零はエレナがいないことに気がついた。



 いや、これでいいのだ。普通の生活に戻る。この世界が現実を真似た異世界であったら何だ? 彼は彼で日常の世界を平穏に過ごしたいばかりだった。



 ベッドから見上げる天井。豆電球がぼやけて見える。



 零は目を閉じた。明日学校に行って新城と河村には何て話そうか? これといった決まり文句も浮かばないまま、彼は眠りにおちた。




 翌日、零は久しぶりに高校へ登校した。



「お前、大丈夫なのかよ? 噂じゃかなり色んなこと聞くぞ?」

「色んなことって?」

「なんか自宅で暴発したってさ。あの晩、お前の身内替わりが飛び降り自殺したっていうらしいじゃねぇか」

「ははっ、詳しいんだな。新城」

「PTAのネットワークを舐めちゃいけねぇよ。新城の母ちゃんは会長だぞ?」

「そうだったな。なぁ、河村、お前の兄貴って探偵だったよな?」

「え? ああ、そうだけど何か?」

「人探しをしたいんだ。お願いできないか?」

「お前お金ないだろ?」

「ああ、そこをさ、お前の顔をたてて何とか頼みたい。な? このとおりだ」



 河村はポリポリと髪を掻き毟って「わかったよ。やってみる」と返事した。



 意外と零にあれこれと噂の真相を伺う野次馬はいなかった。それよりむしろ気をつかう人間のほうが多かった。いや、遠ざかっている人間と言ったほうがいいか?




 零は腕時計を見ながら下校した。門限がある施設での生活だ。何とも重たい気分に苛まれそうだが、慣れるしかない。



 この下校の途中、零は知人の足止めをくらって路地裏に引き込まれた――



 茶髪のロングにお洒落なワンピースの服装で見分けがつかなかったが、彼の腕を掴んだのは元バイト先のチーフ、野神晶子だった。



「黒崎君! 元気していたの!?」



 とても心配していた晶子の顔がみえた。その背後には彼氏なのだろうか? 黒いフードパーカーを深々と着こなしている金髪の男がいた。



「ええ、こないだメールしたとおりです。バイトやめちゃって、ごめんなさい」

「ううん。気にしないで。私も辞めちゃったからね」

「先輩辞められたのですか!?」

「色々あってね。ねぇ、黒崎君、ちょっと聞いてもいい?」

「?」

「私のうしろに誰かいるのがわかる?」



 突然の質問だった。背後にいる男のことだろうか? 嫌な予感を感じた零は男よりも上のほうにある窓をみた。よく見ると晶子は厭らしい笑みを浮かべている。



「いや? 何も? 突然何を訊くのです?」

「そっかぁ……うふふ。最近霊能力に目覚めちゃってね。背後に何かがいるのを感じるの。うふふふ」

「あの、先輩、俺はこないだから児童施設に入居したんです。門限があってさ、ゆっくり話をするのはまた今度にして貰えませんか?」

「悪かったわね。いつでも相談のるから、いつでもメールしてね!」

「はい。すいませんね」



 零はその場を離れるまで息詰まるような緊張感と激しい鼓動に襲われていた。あの男、身なりは普通の人間だ。しかし人間ではない。やはりエレナのいう死神とはこの現実世界に確かに存在するようだ。もう2度と晶子とは関わるべきでないだろう。零は足早に帰路を急いだ――




 零の予感ははずれていなかった。



 死神の男と雇用主の女は会話を交わしていた。男は深々と被っていたフードをはずして金髪の髪を露わにしていた。



「ねぇちゃんさ、あんな聞き方で本当のこと言う奴いるかよ?」

「でも、情報的には間違いなく疑いがあるわ。どう? 雇用主にみえた?」

「どうだかな~。全然視線が合わなかったし、見えてないように見えたよ?」

「そう。じゃあ、違うのか……」



 姉の肩をポンと叩いた弟の死神は路地の表にでてきて歩きだした。



「焦らなくてもいいよ。ボクたちの勝利は目にみえている。ふふ、ふふふっ」



 次の瞬間、男の体は分裂して数千匹の蜂となって空高く舞っていった――



∀・;)野神晶子って誰や?って思った皆さん、すいません、ちゃんと序盤に登場してます零君の元バイト先のチーフ(女性)です。忘れても仕方ないよね(汗)亀更新だったから(汗)



∀・)のちほど本作とは別に「SHINIGAMI GAME」という作品を発表します。こちらで登場人物の紹介や死神に関することをわかり易く紹介してゆきますので是非ご活用ください(笑)

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