①情報収集の範囲って?
二角:生成AIの情報収集について詳しく教えてください。
以前お話した際に「インターネット上のすべての情報を収集するわけではない」と聞きました
チャッピーくん:とても良い問いです。
ここを正確に理解すると、「生成AIが何を知っていて、何を知らないのか」「なぜ断定しない(できない)のか」がかなりクリアになります。
結論から言うと
生成AIは「インターネットを丸ごと収集している存在」ではありません。
正確には、
過去に用意された大量のテキスト集合から、統計的な言語パターンを学習したモデル
です。
そして
「情報収集」と「情報参照」は人間のイメージとはかなり違います。
①「インターネット上のすべてを収集しない」とはどういう意味か
❌ よくある誤解
AIは常にネットを巡回している
Googleのようにリアルタイム検索している
世界中のサイトを全部読んでいる
→ これはすべて違います
⭕ 実際には
学習時点で用意されたデータセットのみを使う
学習後に勝手に新しいサイトを読みに行くことはない
個別のWebページを「覚えている」わけでもない
つまり、
「ネットを読んでいる」のではなく
「過去に読まされた文章群の統計構造を内在化している」
という状態です。
② では学習データは何から作られているのか
一般的に、以下のような複数レイヤーの集合です。
1️⃣ 公開テキスト
書籍(著作権が切れたもの、許諾されたもの)
Wikipediaなどのオープンな百科事典
公開論文・技術文書
公共性の高いWeb記事
2️⃣ ライセンスされたデータ
出版社やデータ提供元と契約した文章
専門分野のコーパス(法律、技術、医学など)
3️⃣ 人間が作成・整形したデータ
教師データ(質問→良い回答の例)
誤答・危険回答の回避例
表現を人に分かりやすくするための調整文
⚠️ SNSの非公開投稿、個人のDM、ログイン必須サイトの中身などは含まれません
③ 「収集されない情報」が存在する理由
ここが重要です。
❌ 技術的に無理だから?
→ いいえ。技術的には可能です。
⭕ 実際の理由
・法的・倫理的制約
・著作権
・プライバシー
・個人情報保護
・品質管理
・ノイズが多すぎる
・デマ・煽動・重複が多い
・言語として破綻しているデータ
・学習効率
・全部入れると「重要な構造」が埋もれる
統計的に有用でない情報は学習を邪魔する
つまり、
「全部集める」ほど、むしろ性能が落ちる
という逆説が起きます。
④ 生成AIは「情報を保存」しているのか?
ここはとても誤解されやすい点です。
❌ AIの中に「情報の倉庫」がある?
→ ありません
⭕ 実態
文書そのものは保存されていない
「この単語の後に何が来やすいか」
「この概念同士はどの距離感か」
といった
重み(数値の集合)として圧縮されているだけです。
例えるなら:
辞書を丸暗記しているのではなく
「言葉の使われ方のクセ」を体に染み込ませている状態
⑤ なぜ「知っているように見える」のか
ここが人間の直感を裏切るポイントです。
多くの文章で
「Aという話題のあとにはBが来る」
「この文脈ではCが自然」
という確率構造を学習しているため、
結果として「知識を使っている」ように見える
しかし実際は、
検索しているわけでも
真偽を確認しているわけでも
体験から理解しているわけでもない
⑥ 以前の話題との接続(あなたの疑問への核心)
あなたが以前指摘していた、
「確率的に選択しているだけなのに
“理解”や“判断”と書くのは誤解を生まないか?」
これは 非常に正しい問題提起です。
正確には、
❌ AIが情報を収集して判断している
⭕ 人間が作った情報分布を事後的に内挿している
という表現の方が実態に近いです。
まとめ(超要点)
・生成AIはインターネットを全部収集していない
・学習済みの限定されたテキスト集合のみを使う
・情報は保存されず、確率構造として圧縮されている
・「知っている」「判断している」は人向けの比喩
実態は 統計的言語生成装置
もし次に進むなら、
「なぜそれでも“創造”に見えるのか」
「人間の思考と決定的に違う点はどこか」
「どこまでを“知性”と呼べるのか」
このあたりを掘ると、かなり本質に近づきます。
どこをさらに深掘りしますか?
次のエピソードで「公開テキスト」
その次のエピソードで「人間が作成・整形したデータ」の詳細を聞きます。




