きえない、ふあん。
「もー、どうしたの?ぼーっとして」
「さらちゃん……待っててくれてたんだ」
ほとんどだれもいない教室で、さらちゃんだけが待っててくれる。最近のこころ、すっごく変だったもんね。どうしようもなくなって白状したら、応援してくれたのは嬉しいけど。
「恋って、きっとキラキラしてるんだろうなぁって思ってたけど、結構大変なんだね」
「うん、……でも、キラキラはしてるよ、まぶしすぎて、見えなくなっちゃってるけど」
「へぇ……どれくらいなんだろう、ちょっと気になっちゃうかも」
さらちゃん、キラキラしたの好きだよね、物としてキラキラしてるのも、恋とかみたいに見えないものでも。でも、今のこころには、大きすぎて、熱すぎる。初めての気持ちだから、知らなかったよ、こんなに、苦くて、痛いものだって。頭の中ではわかってたはずなのに、恋がただ甘酸っぱくて優しいだけのものじゃないってこと。
「でも、思ってるよりずっと大変だよ、こころだってずっと憧れてたんだけど」
「そういうのも、ほんとにしてみないと分かんないよね……」
物思いにとらわれて、夢にも現実にも、どっちにもうまく入れない。恋わずらい、なんて言葉は、きっとこういう状態のことを言うためにあるんだろうな。
「そういえば、次なんだっけ」
「家庭科だよ?……もう、本当に重症だね、今日もノート全部貸してあげるから」
「そうだった、……うん、ありがと」
誘ってくれたのは向こうからなのに、片思いしちゃってるみたいな。思ってる矢印の強さ、全然ちがう、みたいな。……遊びなんかじゃ、ないよね。不安だけがあふれてく。
直接訊ければいいんだけど、でも、そんなこと訊けるわけがない。こころが、重いっていうのは、なんとなくわかっちゃってるから。
あ、あの階段のとこ、デートの約束したとこ、だよね。ついこの間なのに、そう思えないくらいに、『すき』がこころの中で燃え広がっちゃってる。何にも考えないまますぎて、階段でこけちゃいそうになる。
「大丈夫?」
「うん、なんとか」
「分かっちゃうけどね、好きになるのも、悩んじゃうのも」
校舎も広いから、一人だとまた迷子になっちゃいそう。……そのせいで、心の中まで、迷子になっちゃったし。しかも、誰にも行く場所も分からないとこ。
胸ポケットに入れたままのスマホが、急に震えだす。……返事、来たのかな。通知のとこで出てくるメッセージを、その必要もないのにこっそりのぞく。
『あなたが観たいものに合わせるわ、そこまで今気になるものないから』
なんか、つながれない、みたいな。もっとお話ししたいのに。……好きじゃないなんてこと、ないはずなのに、そんなことまで思っちゃう、みたいな。……次の授業も、頭に入りそうにないや。
今回お借りしたキャラ
香焼新紗さん(https://note.com/tomitsukasa/n/n3ea7d43a3d7b#e08b3c7c-12c3-4426-b883-be11badc7197)
メイン登場作:(わかったらここにだします)
ルームメイト設定は新紗さんの製作者公認なので大丈夫です。




