227話 デートの報告しなくては!
「アイリスちゃん、アイリスちゃん!」
「昨日はどんなデートしたのかなぁ?」
ロモンちゃんとリンネちゃんがニヤニヤしながら朝っぱらから散策をしてきた。
昨日、ガーベラさんのお家でお昼ご飯を作ってご馳走したあと家事についての雑談などをし、あっという間に帰る予定だった時間になってしまったの。
偏見かもしれないけれど、まさか数時間、それも男性が女性のトークに付き合えるだなんて予想外だった。
なんかやけにそういうの慣れてる感じがしたし。家事についての知識もどうやら教えた三者がいる様子。
私の前に付き合っていた人がいたんじゃないかって感じ。それが会話の途中でちょくちょく出てきた私と趣味が似通っている人だとしたら……ガーベラさんの好みって私みたいな趣味の人ってことになる。
嬉しいけど複雑な気持ち。
そもそも前に付き合ってた人なんているのかしら。イケメンで優しいくガーベラさんがモテないはずないから、私が初彼女だって可能性の方が低いわよね。
でもなぜだか初彼女は私が良かったなぁ……。
私の初彼氏は確実にあの人だし。まあ、贅沢なんて言えないわよね。
「……アイリスちゃんどうかした?」
「えっ……あ、すいません。昨日のデートの内容ですよね? ざっくり言って仕舞えば買い物デートですよ。あと雑談をたっぷりと」
「なにか進展はあった?」
「キスはした?」
「キスはまだですが、手を繋いで歩いてみましたよ」
「ふぅー!」
「次はキスだね!」
手を繋いでからキスの間にもういくつか工程がある気がするけど。どっちみちゆっくり進めていけばいい。
多分だけど私からあの人を振るようなことはないと思う。ロモンちゃんとリンネちゃんはノリノリでまだまだ私に質問を続けてくる。
「次のデートはいつにするか決めてきた?」
「はい、今回は決めてきました。明後日です」
「結構デートの頻度高いよね!」
「いいじゃんお姉ちゃん。アイリスちゃん楽しんでるみたいだし。アイリスちゃんが私の手元を離れる日も近いのかなぁ」
「えー……まだアイリスちゃんと居たいよ……」
ロモンちゃんは冗談半分で言ったみたいだけど、リンネちゃんはそれなりに本気で受け取ったらしく、ちょっとしおらしくなった。
「ま、まさか。私は一応まだ18歳ということになってますし、ガーベラさんとこのままお付き合いが上手くいってお嫁に行くとしても早くて4年後くらいじゃないですかね?」
「4年間もガーベラさん焦らすの?」
「20歳くらいでプロポーズされたらどうするの?」
む、それは考えてなかった。たしかに唐突に私に告白してきたガーベラさんのことだ、私の意図しないタイミングでプロポーズしてきてもおかしくない。
そしたらどうしよう……付き合って2年くらいなら結構オーケーしちゃう可能性が高い。
「そ、その時はまた考えますよ」
「まあーアイリスちゃんはまだ私と契約してるけど、すでに人だからね。どうなってもアイリスちゃんの気持ち最優先だよ」
「だ、だよね……!」
「もう、お2人ってば。おそらくだいぶ先の話ですよ。私だってまだ大好きなお二人と離れたくないですもん」
「「アイリスちゃんっ…!」」
ロモンちゃんとリンネちゃんが一度に抱きついてきた。おお、天国天国。そもそも私、まだ生まれて一年経つか経たないかだし、結婚とか言われてもピンとこないっていうのが最終的な結論なんだけどね。
【ふぁぁぁ……ゾ。おはよーなんだゾ! みんななんで抱き合ってるのかゾ?】
朝ごはん食べてから二度寝をしてしまったケル君がやっと起きた。私たちの状況を見て首を傾げている。
「んー、ちょっとね嬉しいことがあったんだ!」
【そうなのかゾ。オイラも混じるんだゾ】
普段は幼少期の姿のまま過ごしているケル君。そのままトコトコと歩いてこちらまで来て、ロモンちゃんに抱き上げられ、そして私とハグすることになった。
腹部にケル君がいるから息ができなくならないようにだけ気をつけて体を密着させる。
【クンクン……ゾ?】
「ち、ちょっ……私をそんなに嗅いで、どうしたんですか!?」
【アイリス、昨日お風呂はいったよね?】
「もちろん! 仕事で外出してる時以外はお風呂には絶対入りますとも!」
【ガーベラのにおいが消えてないんだぞ……】
ケル君の鼻の鋭さが炸裂した。まさかガーベラさんのにおいが染み付いてる? ……い、家に行ったからかしら。まさかお風呂に入っても取れないとは。
ガーベラさんが臭いんじゃなくて、ケル君の鼻が優秀すぎるのよね。
「お風呂はいっても取れないほどにおいがつくの?」
「身体を密着させあってたってこと?」
「ね、ねぇそれって……!」
なにか双子が勘違いしはじめているようね。呆然とした顔つきで私のことを見つめている。
「あの、一応言っておきますがキスもまだですからね?」
「あ、ああ、そうだったね!」
「もう赤ちゃんができるような……せ……あーゴニョゴニョしたのかと思っちゃったよ」
「そんなまさか」
【でもやっぱりガーベラのにおいは微かに残ってるゾ】
「さてはアイリスちゃん、私たちにデートの報告したけど、隠してることがあるなぁ……?」
勘のいいロモンちゃん。さっきとは打って変わって、私にジトッとしたて目を向け、ケル君が押しつぶされないようにうまく抱いてあげながら押し迫ってくる。
あまりよく状況が飲み込めてないリンネちゃんも、ロモンちゃんに合わせていた。
「なにをして来たのかな?」
「し、正直に話した方がいいんですか!?」
「うん……二人が付き合い始めて一ヶ月経つまではなにしてたか知りたいんだよ。ガーベラさんは信用できるけど、それでもアイリスちゃんのことは心配だから」
「そうそう!」
そんなこと言われたら話した方が良いかって気になるじゃない。家にいったなんて言ったらすごーくいじられるから誤魔化したけど、こうなったら別に話して困るようなことて話もないし、報告しちゃおうかな。
「わ、わかりました。じつはガーベラさんの家に行きまして」
「「行きまして?」」
「お昼ご飯を作りました」
「「それだけ?」」
「そ、それだけです!」
ロモンちゃんとリンネちゃんは互いに顔を見合わせる。二人は一体、どんなことを考えているのかしら。
「ガーベラさんの家に行ったからにおいが……」
「アイリスちゃんがガーベラさんの家に誘われて……」
「違いますよ、私から提案したんです。詳しく話すとですね……」
私はガーベラさんの家であったことをだいたい話した。ついでに部屋の綺麗さとかも。
「なるほどね」
「アイリスちゃんってやっぱり案外積極的だよね? それよりガーベラさんのお家が綺麗だったってのはなんか納得だなぁ」
「積極性はあまりないはずです! ……それで、何故です?」
「なんかアイリスちゃんと気が合いそうだし。生活もきっちりしてそうだなって思ってたんだ。ねー」
「ねー」
やっぱり周りから見ても気が合いそうなのね、私とガーベラさんって。このままお付き合い続けてたら……好きだとかって言う恋愛感情をぶつけるほかに、雑談相手にもなってくれそう。
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