表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/167

第百十八話 戦後処理とホフマン家への戦略会議

「続いては、ホフマン家の攻め方だ」


 領地配分も決まり、次は対ホフマンの戦略だ。


「秀雄ちゃん。その前に、ボリスの落とし前はどうするか決めましょ」


 ナターリャさんが無表情になり、ボリスの処遇を要求してきた。

 ボリスの件に関しては、彼女が一番怒っている感じなんだよな。

 ナターリャさんとボリスの付き合いは長いみたいだから、因縁めいたものがあるのかもな。

 

「そうですね。俺としては……まあ、彼にしては頑張ったんじゃないかと。次の戦もアキモフ軍を前線に投入し、心を入れ替えたかどうか見てみようと思ってます」

 

 ゴロフキンと対峙しても、すぐに逃げ出さずに、根性を見せたところは褒めてもいい。

 そうしなければ少なくとも減封、最悪改易だったから、彼としては戦うしかなかったのだけどな。

 そのあたりの嗅覚を流石だ。

 まあ、今回はその奮闘を多少は評価して、特別にこれまでの言動と相殺してやろう。

 もちろん、加増は無しに決まっているがな。

 

「そう……。私としては鞭打ち百回くらいは問題ないと思うのよね。でも秀雄ちゃんがそう言うのなら、仕方ないわね」


 むっ、鞭打ち……。

 百回も叩いたら、ボリスが死んじゃう。


「ははは……」


 俺は、苦笑いを浮かべることしかできなかった。


「まあいいわ。でも鞭打ち無しなら減封してもいいはずよね。その分を、ウラディちゃんやエゴールちゃんに回したほうがいいんじゃないかしら。でも、ここで簡単に減らしたらボリスのことだから、善からぬことを企みそうね。やっぱりここは秀雄ちゃんの言うとおり、一旦保留にしましょ。さあ、話を続けて頂戴」


 ナターリャさんの白い肌が、赤くなってきた……。

 これはかなりイラついているな……。

 夜が怖い……。

 

「わっ、分かりました。では、ホフマン家についてですね」


 さあ惨事になる前に、話題を変えよう。


「秀雄様、あたいから提案があるんだ。よかったら聞いてくれないかい?」


 んん、ヒルダか。

 彼女は、元はホフマン家の騎士だ。

 ならばホフマンの内部に精通しているに違いない。

 ここは、ぜひとも話を聞くとしよう。 


「おおっ、ヒルダならホフマン家には詳しそうだ。なんだなんだ、言ってみろ」

「うん。実はホフマン家の重臣が、あたいの家と何代も前から仲良くしているのさ。ザマー盗賊団は、その繋がりをいかして、これまで影からその重臣の支援を受けてきたんだ。でだ、あたいがそのツテを使ってその人に話をとおすから、秀雄様が直接会ってみたらどうかな?」


 おおう、いきなり重臣とは、なかなかの位の人物だ。

 ヒルダも流石に元は騎士の出だけあり、それなりのツテはあるのだな。

 このコネを活用しない手はないな。


「ほう。それは面白そうだ。だだ、その重臣のホフマン家に対するスタンスが気になる」 


 もし、そいつがちくりでもしたら、こちらの情報が筒抜けになる可能性が高まる。

 それは絶対に避けたい。


「それは大丈夫だよ。その人はホフマン家でも冷遇されているんだ。じゃなきゃ、あたいを支援してはくれないさ。でも実力はあるもんだがら、主家もそう簡単に排除はできないのさ」


 ホフマン家当主は暗愚だと聞くからな。

 その重臣は理不尽な扱いを受けて、不満を溜めているのだろうか。


「ふむ、ヒルダがそう言うのなら間違いないな。会ってみよう。調整は任せるぞ」

「ああ、もちろんだよ」


 よし、早くも攻略の糸口が掴めたな。

 これは予想だが、ホフマン家には、その重臣以外にも冷や飯食いがいるだろう。

 これについてもヒルダに聞いてみるとしよう。


「なあ、ヒルダ。今挙げた重臣以外にも、冷遇されている奴はいないのか?」

「流石は秀雄様、抜かりがないね。ええ、あたいが世話になっている人の他にも、何人かいるはずだよ。主家は、ピピン家やポポフ家といった新参者を厚遇してるくらいだから、不満は溜まっているだろうね」


 やはりそうか。

 ならば、そいつらとも話をつけたいな。

 金や領地をちらつかせてみよう。

 結果として、寝返りとはいかなくとも、日和見してくれれば十分だ。


「そうか! ヒルダはそいつらとも面識はあるのか?」

「すまない……。私がコンタクトを取れるのは、さっきの人だけなんだよ。それ以外の騎士は、才蔵さんたちにお願いしてもらうしかないよ」


 直接コンタクトは取れんか。

 まあいい、最初の重臣を会えるだけで十分だ。

 これから再軍備を整えるあいだ、三太夫らにはホフマン領を駆け回ってもらうとしよう。


「いや、それで十分だ。あとは忍衆の仕事だ。ヒルダは、自身の兵を鍛え、次回のホフマン戦で活躍してくれればいい」

「ありがとね、そういってもらえると助かるよ。じゃあ、次のホフマン戦ではあたいに先鋒を任せておくれよ! 絶対活躍するからさ」

「ああ、無論そのつもりだ。領内の地形に明るいヒルダは必要不可欠だ」

「やった! 頼んだよ!」


 ヒルダはそう言うと、ビキニアーマーから零れそうな胸をゆさゆさと揺らしながら俺の下へと近づき、胸を押し当ててきた。


「ヒルダちゃんずるーい。私もいくわよー」


 続いてナターリャさんも俺の隣に座り、豊満な胸を押し当ててきた。


「おっほー。ゴホン……、これで調略目標は決まった。次はピピン家とポポフ家との交渉だな」


 つい声が漏れてしまうが、俺はコンチンの方へと向き直り、気を取り直して話を続ける。


「はい、できることなら松永家に組する利を説き、味方にしたい勢力です。ただし、彼らはホフマン家の宿老、ジークフリート=アルブレヒトが直接探し出した人物です。問題は、どこまでホフマン家に対し忠誠心を持っているかですね」


 話によると、ピピン家とポポフ家は元Aランク冒険者が登用されたとのこと。

 ジークフリートが、金と土地を条件に口説いたらしい。

 なので、彼らのホフマン家に対する忠誠心は、譜代臣ほどは強くないだろう。

 まあ、その譜代臣も、心が離れている者がいるようだがな。

 それはいいとして、ピピン・ポポフの二家には交渉の余地はあるだろう。


 また、わざわざ外様を抜擢するということは、裏を返せば他に使える者がいないわけだ。

 おそらく、ホフマン家当主は、諌言をする忠義の者は退け、イエスマンばかりを側においているのだろう。

 ジークフリートも大変そうだ。

 

「そうだな。だがやってみる価値はあるだろう。冒険者は利にさとい者が多い。松永家の勢いを見れば、いい返事が返ってくるかもしれん。まずは領地を接するピピン家からだ。そして、次はポポフだな」

「分かりました。では、早速ピピン家に使者を送りましょう」

「うむ。任せた」


 さて、調略もこれでよし、外交もこれでよし。

 ドン家も、カールらコトブス三国同盟が上手く引き付けてくれている。

 あとはなんだ。


「秀雄ちゃーん。もういいんじゃないのー?」


 ナターリャさんは俺の胸元にしなだれかかり、乳首をクリクリしてきた。


「はうっ! ちょ、ちょっと待ってください。まだ、終わってないですよ。なっ、なあコンチン」

 

 俺は助けを求めるように、コンチンを見る。

 

「申し訳ありません……。私にはお助けすることはできません」」


 彼は無情な言葉を放つと、首を横に二回振り、ジュンケーを引き連れて部屋から出て行ってしまった。

 ナターリャさんが怖いのはわかる、だが俺とお前の仲じゃないか! 薄情すぎるぞー。


「さあ、秀雄ちゃん。お楽しみの時間よ。ほらほらヒルダちゃん、早く服を脱がせなきゃだめよー」

「はいよ! 秀雄様。覚悟しな!」


 ナターリャさんが俺のからだの自由を奪い、ヒルダが俺の衣服を剥がす。

 なんて素晴らしいコンビネーション……、って突っ込んでいる場合じゃない。

 まだ時間は昼なんだぞ。

 夜の覚悟はきめていたが、今から始めたら……枯れ果ててしまう……。

 特にナターリャさんは、ボリスの件があり気が立っている。

 まずい、ここはなんとか逃げないと……。


「待て、これからマルティナにお伺いを立てに行かないと――、んー」


 ナターリャさんが、唇を重ねてきた。

 なんか頭が溶けそうになってくる……。

 そしてヒルダがズボンを……。


 スマン、これ以上は自主規制だ……。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ