エピローグ
「綺麗だよ」
僕の用意したドレスは、レベッカによく似合っていた。
ドレスを着つけて薄化粧をしたレベッカは、十分に綺麗だ。
今日は婚姻式、前世で言うところの結婚式である。
ちなみにお披露目の宴は招待状の都合で三ヶ月後になった。
お披露目用のドレスは、レベッカの趣味に合わせて作ってあげたいと思う。
「なんか解せません……」
「え、何が?」
ちなみにあの日から面会禁止だったので、今日は七日ぶりの再会だ。
「君がいいって話は、あの時散々したよね?」
「それは……」
レベッカが頬を染める。
本当に散々、話をした。
イロイロしながらだったけど。
「今わかってるお互い唯一の転生仲間なんだから、仲良くやっていこうよ。どうせ両親の言う通りに政略結婚するつもりだったんなら、僕でもいいでしょう? 僕は君が好きだよ。君は、僕をゆっくり好きになってくれればいいから」
「……ハイ」
真っ赤な顔で視線を彷徨わせているのが、また可愛い。
あちこち揺れる視線を、頬に手を添えて固定して目元にキスをする。
すると爆発したように、更に真っ赤になった。
「いやいやいや、その、そうじゃなくてですね!」
「なに?」
「なんで一週間でドレスができてるんでしょうか……?」
「…………」
いや、一週間前にはもうできてたんだけど、それを説明するとストーカーっぽいって思われる気がする。
「仕立て屋が頑張ったんだ」
「なんでこんなにぴったりなんでしょう?」
「君んちの出入りの仕立て屋に頼んだから」
「知ってたんですか?」
「義母上にお聞きしたんだよ」
これは嘘じゃない。
ちゃんとイルマン家に申し込んだ時に聞いた。
数ヶ月前の話だけど。
「この一週間、アーノルド様、うちに来てませんよね……?」
おっと、面会禁止だった。
「義父上だったかな?」
「アーノルド様……?」
「あ、もう時間だ。さ、行こう」
危ない危ない。
僕はレベッカをエスコートして、神殿の祭壇の間へ向かう。
宣誓の証人となる神官と、立ち合い人になる家族の前で結婚の誓いを立てるためだ。
祭壇の間の扉を開ける。
きらきらと光の差し込む祭壇の前まで歩いていく。
推定、ヒロインが現れる日の三日前。
僕はぎりぎりで間に合った。
これから一ヶ月は蜜月を理由に屋敷に籠るつもりなので、ゲーム開始には立ち会わない。
退学したわけじゃなくて、二人とも学園に在籍したままだから、一ヶ月経ったら復学するけどね。
でもイベントは過ぎてるはずだ。
出会いイベントは起こらない。
僕はレベッカが好きだから、ヒロインとの出会いは必要ない。
いや、まだ油断は禁物だ。
これで異分子だったレベッカはヒロインが現れる時に学園にいないけれど、僕が学園に戻らなくてはならないような事情が発生しないとは限らない。
ゲームが始まるまで、いやゲーム期間中は……ううん、これからずっと、僕が強制的に独身に戻されないように、ちゃんとレベッカの健康に注意しておかないと。
僕の奥さんは、異分子だから。
もうじき乙女ゲームの始まる季節ですが、僕の彼女は異分子です・終
おまけ
「アーノルド様! アーノルド様! 起きて……!」
「……レベッカ、今日はずいぶん元気だね。昨日手加減し過ぎたかな……いや、君には健康でいてほしいし、具合悪くしたいわけじゃないんだけどね」
「なっ何言ってんですか! 忘れてたけど、もうゲーム始まってます! もうもう、ベッドから出られない間に一ヶ月過ぎちゃうなんて……!」
「あー、これも攻略対象チートなのかな……際限なくてごめんね、レベッカ。何度でもできちゃうから、ついつい」
「そっ、それは今はいいんですっ……置いといてくださいっ。エリス様は今頃どうしていらっしゃるのか……」
「あ、昨日ステファンから手紙来てた」
「なんかエリス様のこと書いてありました!?」
「うん、なんか、ピンク髪の子がイーサン殿下に絡んできて、危機感抱いたエリス嬢まで積極的になっちゃって、二人きりになろうとするから、目を離すとすぐ既成事実ができそうだって。だから、休んでないで見張りのために学園にとっとと出て来てよね……って手紙だった」
「…………」
「……行かなきゃ駄目かなあ、僕」
読了ありがとうございました!




