第9話「王宮の崩壊と共闘の誓い」
──帝都グランゼル、王宮前広場。
黒い霧が空を覆い、異界の魔物がゆっくりと王宮へと進んでいた。
その姿は人の形を模しているようで、どこか歪んでいた。
無数の目が蠢き、牙が空気を裂くたびに、周囲の魔力が吸い取られていく。
「……これは、ただの魔物じゃない。魔力を喰らう“災厄”だ」
レオンは聖魔法を展開し、民衆を守るための結界を張った。
セレナは氷魔法で魔物の進行を食い止めようとするが、魔力が吸収されていく。
「魔法が……効かない?」
「いや、効いてる。けど、こいつは“魔法の構造”そのものを崩してる。まるで、世界の法則を否定するような……」
レオンは聖魔法ルミナス・シールドを展開し、魔物の攻撃を防ぐ。
その光は、魔物の霧を一時的に払うが、完全には消せない。
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王宮内では、貴族たちが混乱していた。
「何だ、この化け物は!」
「誰が呼び出したんだ!」
「王族を守れ! いや、逃げろ!」
その混乱の中、クロードは一人、封印の間で膝をついていた。
「……俺が……呼び出した……のか」
彼の術式は暴走し、魔力は逆流していた。
召喚したはずの魔物は、彼の命令を聞かず、ただ破壊を求めて動いていた。
「レオン……セレナ……お前たちが……!」
だが、彼の声は誰にも届かなかった。
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広場では、レオンとセレナが並び立っていた。
「セレナ、君の魔法を俺の聖魔法に重ねて。共鳴させれば、霧を裂けるかもしれない」
「わかった。あなたを信じる」
二人は魔力を重ね、術式を融合させた。
「——氷聖連陣フロスト・ルミナス!」
氷の花が咲き、聖なる光がその中心から放たれる。
霧が裂け、魔物の動きが一瞬止まった。
「今だ!」
レオンは聖魔法ルミナス・ブレイクを放ち、セレナは氷槍フロスト・ランスを重ねる。
二人の魔法が交差し、魔物の核を貫いた。
──爆発。
──光。
──静寂。
魔物は霧と共に消え去り、広場には静けさが戻った。
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民衆は息を呑み、二人を見つめていた。
誰もが、王族でも貴族でもない“二人の絆”が帝国を救ったことを理解していた。
「……これが、あなたの言っていた“変革”なの?」
セレナが静かに問うと、レオンは頷いた。
「そう。力じゃなく、心で世界を変える。それが、俺たちの役目だ」
彼女は微笑み、そっと彼の手を握った。
「なら、私はあなたの隣で、その未来を見届ける」




