第7話「魔法と知識の融合」
「……聖魔法か。まさか、君がそれを発現するとはな」
レオンは自室の書斎で、手元の魔導書と自らの術式ノートを見比べていた。
前夜、セレナの声に導かれて覚醒した聖魔法ルミナス・ブレイク。
それは、異世界でも極めて稀な“感情と意志”によって発現する純粋魔法だった。
「この力……ただの破壊じゃない。癒しと調和の性質を持っている」
彼は、聖魔法の構造を現代の論理で解析しながら、セレナの魔力制御術式の再設計に取り掛かっていた。
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一方、セレナは中庭で静かに魔力の流れを整えていた。
レオンの聖魔法に触れたことで、彼女の魔力は一時的に安定していたが、感情の波によって再び揺らぎ始めていた。
「……私は、まだ不安定。でも、彼がいるなら……」
その時、レオンが現れた。
手には、新たに設計した魔力制御術式の図面。
「君の魔力は、感情と深く結びついてる。だから、封じるんじゃなく、共鳴させるべきだ」
「……それが、あなたの世界の考え方?」
「そう。感情は危険じゃない。使い方を知れば、力になる」
セレナは図面を受け取り、術式を描き始めた。
聖魔法の構造を組み込んだその術式は、従来の魔法とはまるで違う“柔らかさ”を持っていた。
「——氷花《フロスト・ブルーム・改》」
魔力が流れ、氷の花が咲き誇る。
その輝きは、冷たさではなく“温もり”を帯びていた。
「……綺麗。まるで、私の心が映ってるみたい」
レオンは微笑みながら言った。
「君の魔法は、君自身のものだ。誰にも支配されない、君だけの力だよ」
セレナはそっと彼の手を握った。
「ありがとう。あなたがいてくれて、本当に良かった」
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その頃、クロードは魔導陣の前で苛立ちを隠せずにいた。
「聖魔法と現代知識の融合……あの男、どこまで異質なんだ」
彼は、保守派の貴族たちとの密談を進めながら、次なる策を練っていた。
「ならば、帝国そのものを揺らす。王宮の中枢に、亀裂を入れてやる」
彼の瞳には、焦りと執着が混ざっていた。
「セレナ。君が彼を選んだことを、必ず後悔させてやる」




