第4話「転生者の告白」
夜の宮殿は静寂に包まれていた。
暗殺事件から数日が経ち、表向きは平穏を取り戻したかに見えたが、レオンの胸にはある“秘密”が重くのしかかっていた。
——自分はこの世界の人間ではない。
——異世界から転生してきた存在だ。
セレナとの距離が縮まるにつれ、彼女に嘘をつき続けることが苦しくなっていた。
「……話さなきゃいけないな」
レオンは決意を胸に、セレナの部屋を訪れた。
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「レオン? どうしたの、こんな時間に」
セレナは驚いた様子だったが、すぐに椅子を勧めてくれた。
レオンは深く息を吸い、静かに語り始めた。
「俺は……この世界の人間じゃない。元々は、別の世界にいた」
「……別の世界?」
「そう。現代と呼ばれる世界。魔法はなく、科学と技術が支配する場所。俺はそこで、政治を学んでいた」
セレナは目を見開いたまま、言葉を失っていた。
「事故で死んで、気づいたらこの世界にいた。神に言われたんだ——“この世界を変えてほしい”って」
沈黙が流れる。
セレナはゆっくりと立ち上がり、レオンの前に歩み寄った。
「……それを、なぜ今まで黙っていたの?」
「怖かった。君に拒絶されるのが。俺が“異質”だって思われるのが」
セレナはそっとレオンの手に触れた。
「私は……あなたが異質でも、怖くない。むしろ、あなたが“違う”からこそ、私は変われた」
「セレナ……」
「あなたがいたから、私は感情を取り戻し始めた。あなたがいたから、私は“人”になれた」
レオンはその言葉に、胸が熱くなるのを感じた。
「ありがとう。君にそう言ってもらえて、救われた」
二人は静かに見つめ合い、初めて“過去”を共有した。
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その頃、宮殿の地下ではクロードが密談を交わしていた。
「レオンが転生者……なるほど。ならば、彼の“過去”を暴いてやる。セレナの心を揺らすには、それが一番だ」
彼は微笑みながら、古代魔導書を開いた。
「異世界の記憶を引き出す魔法——面白い。君の心を、僕が壊してみせるよ。セレナ」




