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第30話「帰還と沈黙」



──帝都グランゼル、王宮前広場。


セレナとレオンが帰還したその日、帝国は沈黙に包まれていた。

民衆は歓声を上げることもなく、ただ静かに頭を垂れていた。

彼らは知っていた——この王妃は、世界を変えた。


---


──王宮塔・魔導波発信室。


セレナは演説を拒否し、代わりに魔導波を通じて世界へ一言だけを送る。


> 「帝国は、誰かの命を交渉材料にはしない。

> 奪われた者は、取り返す。

> 次に奪う者には、言葉は与えない。

> ただ、焼き尽くす」


その言葉は、世界中の魔導通信網に刻まれた。

外交文書ではなく、“戒め”として。


---


──王宮・私室。


レオンは静かにセレナの隣に座る。

彼女の手はまだ震えていた。怒りが冷えたわけではない。

ただ、剣を収めただけだった。


「君の怒りは、俺の命を救った。

 でも、君自身を削った気がして……」


セレナは目を閉じて言う。


「私は王妃じゃない。

 彼を守るために、世界を敵に回した女よ。

 それを後悔する気は、ない」


レオンは彼女の手を握り、静かに微笑む。


「なら、俺がその世界を少しずつ直していく。君の隣で」


---


──世界各国・魔導議会。


- 北方連合:「セレナ・アストリア。彼女を怒らせるな。それが外交の基本だ」

- 南海同盟:「帝国は変わった。もはや“交渉相手”ではない。“均衡の支配者”だ」

- 西方神聖国:「彼女の剣は収まった。だが、記憶は消えない」


セレナの名は、もはや王妃ではない。

“災厄の剣”として、世界の秩序に刻まれる。


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