第3話「陰謀の影と共闘の始まり」
グランゼル帝国の宮廷では、表向きは平穏が保たれていた。
だが、レオンの耳には不穏な噂が届き始めていた。
「王子殿下、最近、帝国貴族の一部が妙な動きを……」
密かに接触してきたのは、帝国の下級魔導士。
彼は怯えながら、ある情報を告げた。
「皇女殿下の婚姻を快く思っていない者たちが、暗殺を企てているようです。標的は……両名」
レオンはすぐにセレナの元へ向かった。
彼女は書斎で魔導書を読んでいたが、レオンの表情を見てすぐに立ち上がった。
「何があったの?」
「君と俺を狙った暗殺計画が動いている。今夜、動きがあるかもしれない」
セレナは一瞬だけ目を伏せたが、すぐに冷静な声で言った。
「……逃げる気はないわ。戦う」
「俺もだ。契約婚だろうと、君を守ると決めた」
その言葉に、セレナの瞳がわずかに揺れた。
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夜。宮殿の回廊に、黒衣の刺客たちが現れた。
魔法障壁を破り、静かにセレナの部屋へと忍び寄る。
だが、そこに待ち構えていたのはレオンだった。
「ようこそ。歓迎はしないが、相手はしてやる」
レオンは剣を抜き、刺客の一人を一瞬で斬り伏せる。
その背後から、氷の魔法が炸裂した。
「——氷槍!」
セレナの魔法が刺客を貫き、回廊が一瞬で凍りつく。
二人は背中を預け合いながら、次々と襲撃者を撃退していく。
「君の魔法、すごいな。冷たいけど、綺麗だ」
「あなたの剣も、無駄がない。……まるで、感情が乗っているみたい」
戦いの最中、二人は互いの力を認め合い、心が通い始めていた。
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戦闘が終わり、宮殿の警備隊が駆けつけた頃には、刺客たちは全滅していた。
レオンとセレナは傷一つなく、静かに並んで立っていた。
「……ありがとう、レオン。あなたがいなければ、私は……」
「違う。君がいたから、俺は戦えた」
その言葉に、セレナは初めて“自分の存在が誰かの力になった”ことを実感する。
だがその頃、宮殿の奥深くではクロードが報告を受けていた。
「刺客は全滅……か。やはり、レオンはただ者ではない」
彼は静かに笑った。
「ならば、次は“心”を狙うとしよう。セレナの心を、俺の手で揺らしてみせる」




