第27話「首都焦土化」
──ヴェルガルド領都・上空。
帝国魔導軍が展開を完了。
セレナは前線指揮艦の艦橋に立ち、魔導砲《ヴァルハラの咆哮》三門の照準を確認する。
「目標:議会塔、術式研究棟、軍事中枢。
彼を奪った代償を、国ごと支払わせる」
副官が震えながら確認する。
「王妃殿下、発射許可を——」
「許可などいらない。これは“宣告”よ」
セレナが手を振り下ろす。
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──魔導砲、発射。
三門の砲口から、深紅の魔力が奔流となって放たれる。
空が裂け、音が消える。
ヴェルガルド首都の防衛結界は一瞬で崩壊。
議会塔は蒸発し、術式研究棟は魔力逆流で爆散。
軍事中枢は、地形ごと消滅した。
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──敵国宰相府・地下避難室。
宰相アルマンドは映像を見ながら、顔を青ざめさせる。
「これは……戦争ではない。災厄だ。
セレナ・アストリア……あれは、王妃ではない。破壊の化身だ」
彼は逃亡を決意するが、すでに通信網は遮断されていた。
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──帝国艦橋。
セレナは沈黙の中、焦土と化した首都を見下ろす。
副官が言う。
「敵国首都、壊滅を確認。軍事機能、完全停止。
世界各国の術式衛星が、映像を受信しています」
セレナは短く言う。
「よく見ておきなさい。これが、帝国の怒り。
次に奪う者には、言葉は与えない」
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──世界各国・魔導通信局。
セレナの攻撃映像が強制送信され、各国の議会が騒然となる。
“セレナ・アストリア”という名は、外交文書ではなく“戒め”として記録され始める。




