第26話「王妃、災厄宣言」
──帝都グランゼル、王宮議会室。
レオン誘拐から72時間。帝国議会は交渉路線を主張していた。
「ヴェルガルドとの関係を考慮すれば、武力行使は——」
その言葉を遮るように、セレナが立ち上がる。
彼女の瞳は冷え切っていた。
「関係? 彼らが奪ったのは、帝国の未来よ。
それを“関係”と呼ぶなら、私はその関係を焼き払う」
議場が凍りつく。
セレナは王妃の冠を外し、机に叩きつけた。
「私は王妃である前に、彼の隣にいた者。
彼を奪った者には、帝国の怒りを刻みつける」
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──王宮・軍務局。
セレナは帝国魔導軍の全権を掌握。
作戦名《深紅の空》が発令される。
- 魔導砲《ヴァルハラの咆哮》三門同時起動
- 敵国首都の術式障壁・軍事中枢・通信網を同時破壊
- 特殊部隊による地下施設《黒鋼工廠》への突入
「交渉は終わった。次に奪う者には、言葉は与えない」
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──帝国魔導軍・出撃前夜。
兵士たちは沈黙の中で準備を進めていた。
誰もが知っていた——これは“戦争”ではない。
これは、“王妃の怒り”そのものだった。
セレナは前線指揮所で、地図を睨みながら呟く。
「彼を奪った代償を、国ごと支払わせる。
私は、帝国の剣。災厄として振るわれる」




