表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/30

第25話「境界の夜、奪われた王」



──帝都グランゼル、廃塔屋上。


夜の空に、黒い影が浮かんでいた。

ヴェルガルドの空挺艇。

その船体には、拘束されたレオンの姿があった。


「帝国の王子殿下は、我々が預かる。交渉の場は、ヴェルガルド領都にて」


黒衛士隊長ライサは、冷たく告げると、空挺艇を上昇させた。

セレナは屋上に駆け上がり、手を伸ばす。

だが、距離は届かない。


「レオン——!」


彼女の声は、夜風にかき消された。


---


──王宮会議室。


帝国中枢は騒然としていた。

レオンの誘拐は、帝国の象徴を奪われたに等しい。

だが、敵国は「交渉の余地あり」と言い残している。


「交渉に応じるべきか、武力で奪還すべきか」


重臣たちが議論を交わす中、セレナは静かに立ち上がった。


「私は、交渉しません。奪われたものは、取り返す。王妃としてではなく、彼の隣にいた者として」


その言葉に、誰も反論できなかった。


---


──夜、王宮の中庭。


セレナは一人、空を見上げていた。

レオンが攫われた空。

彼が残した最後の言葉が、耳に残っていた。


> 「セレナ……俺は、君の記憶の中にいる。だから、諦めるな」


彼女は拳を握り、静かに呟いた。


「必ず、取り戻す。あなたの記憶も、あなた自身も」


風が吹き抜ける。

それは、始まりの合図だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ