第24話「地下回廊の追撃、空を奪う技」
──帝都グランゼル、王宮地下・旧回廊。
「転移門は崩壊した。座標は不明。レオンは……連れ去られた」
セレナは膝をつきながら、瓦礫の中に残された魔導痕を見つめていた。
転移門の術式は、片道転送に改造されていた。
追撃は不可能。だが、痕跡は残っている。
「この術式、ヴェルガルド式……座標の断片を解析できるかもしれない」
風の魔導士カイが術式の残留波を読み取り、転送先の地形情報を抽出。
「山岳地帯、標高の高い閉鎖空間。おそらく……ヴェルガルドの黒鋼工廠」
セレナは立ち上がり、声を絞り出す。
「なら、そこへ行く。レオンを取り戻す。今すぐに」
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──王宮警備本部。
弓使いリュナが、敵の撤退ルートを地図に落とし込む。
「地下水路を抜けて、廃塔の屋上へ。そこから空挺艇で離脱したはず」
剣士ヴァルドは、敵の残存部隊が王都外縁に潜伏している可能性を指摘。
「転移門の崩壊は時間差だった。護衛部隊がまだ残っている。情報を持ってるかもしれん」
セレナは即座に決断する。
「残っているなら、捕らえる。レオンの座標を吐かせる」
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──王都外縁・廃塔地下。
セレナたちは廃塔の地下へ突入。
そこには、黒衛士の残存部隊が待ち構えていた。
「帝国の王妃か。来るとは思っていた」
隊長ライサが再び姿を現す。
彼女は“虚環の枷”を展開し、セレナの魔力を遮断する。
「魔法は通じない。あなたの力は、ここでは無力だ」
だが、セレナは短剣を構え、静かに言った。
「魔法がなくても、私は戦える。あなたが奪ったものを、取り返すために」
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──戦闘。
・カイが風圧で敵の煙幕を裂き、視界を確保。
・リュナが狙撃で敵の通信兵を無力化。
・ヴァルドが前衛を押し返し、ライサとの一騎打ちに持ち込む。
・セレナは魔力を封じられながらも、敵の動作そのものを“凍結”する応用術で反撃。
「あなたの動きは、読める。魔法がなくても、心は止められない」
ライサの枷が破断され、彼女は撤退を余儀なくされる。
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──戦闘後。
敵の通信記録から、転移座標の断片が復元される。
「ヴェルガルド領都、黒鋼工廠。レオンはそこにいる」
セレナは拳を握り、短く言う。
「交渉なんてしない。奪われたものは、力で取り返す」




