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第20話「新たな世界と誓い」

──帝都グランゼル、戦後三日目。




王宮の尖塔に、再び陽光が差し込んでいた。


魔核兵器はすべて無力化され、クロードは拘束。


反乱軍は正式に“再建軍”として帝国の復興を担うことになった。




だが、街にはまだ傷跡が残っていた。


瓦礫の山、焼け落ちた屋根、魔力の残滓。


それでも、人々の目には確かな光が宿っていた。




「……帝国は、壊れた。でも、壊れたからこそ、作り直せる」




レオンは王宮のバルコニーから街を見下ろし、静かに言った。




セレナは彼の隣で、風に髪をなびかせながら答えた。




「私は、もう“皇女”じゃない。誰かに決められた役割じゃなく、自分で選んだ立場で生きていく」




「なら、俺も“転生者”じゃない。使命じゃなく、君と共に歩む“人間”として生きる」




二人は向き合い、手を重ねた。




「この国を、もう一度“心”で繋ぎ直そう。魔法でも、血筋でもなく、想いで」




---




その日、王宮前広場で再建軍による式典が行われた。




レオンとセレナは並んで壇上に立ち、民衆の前で宣言した。




「我々は、帝国を再建します。


 それは、力による支配ではなく、共に生きるための選択です」




「私たちは、過去を否定しません。


 でも、未来は“誰かのもの”ではなく、“皆のもの”であるべきです」




その言葉に、広場は静かに沸いた。


拍手ではなく、深い頷きと、涙と、希望の気配。




---




夜。


王宮の庭園に、氷と光が混ざり合った花が咲いていた。


それは、セレナの魔力とレオンの聖魔法が共鳴した“記憶の花”。




「この花が枯れない限り、私たちは忘れない。戦ったことも、愛したことも」




レオンは彼女の肩を抱き、静かに言った。




「そして、これからも咲かせ続けよう。君となら、どんな未来でも」




セレナは微笑み、彼の胸に顔を預けた。




「ええ。これは、私たちの始まりだから」






契約から始まった関係は、陰謀と戦火を越えて“愛”と“責任”へと変わった。


帝国は再び歩き出す。


そして、レオンとセレナの物語は、まだ終わらない。



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