第19話「帝都決戦」
──帝都グランゼル、夜明け。
反乱軍の旗が翻り、帝都の外縁に集結した兵士たちの間に緊張が走る。
レオンとセレナは先頭に立ち、王宮の尖塔を見上げていた。
「……ここが、終わらせる場所だ」
レオンの声は静かだったが、確かな決意が込められていた。
セレナは彼の隣で、氷の魔力を纏いながら頷いた。
「私たちの物語は、ここで決着をつける。帝国の未来を、私たちの手で選ぶ」
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突入開始。
反乱軍は《ノイズ・ブレイカー》を前線に展開し、魔核兵器の干渉領域を突破。
魔力の逆位相が空間を揺らし、クロードの兵器が次々と機能を停止していく。
「聖魔法、展開! 氷魔法、補助陣へ!」
レオンとセレナは術式を連携させ、前線を押し上げていく。
氷の槍が空を裂き、聖なる光が敵陣を貫く。
だが、王宮前広場にて、クロードが姿を現した。
「よくここまで来たな。だが、君たちの“理想”はここで終わる」
彼の背後には、魔核融合型兵器ヴァルゼン・コアが展開されていた。
それは、魔物の残滓と人間の魔力を強制融合させた、禁忌の兵器。
「この兵器は、感情そのものを喰らう。君たちの絆など、最も美味な餌だ」
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レオンは聖魔法を展開し、セレナは氷魔法で空間を固定。
だが、《ヴァルゼン・コア》は二人の魔力を吸収し、暴走を始める。
「……このままじゃ、押し切られる!」
セレナの魔力が乱れ、氷が砕け始める。
レオンは彼女を抱き寄せ、静かに言った。
「君の魔力は、恐れじゃなく、愛から生まれた。なら、俺たちの“心”でぶつけるしかない」
二人は手を重ね、融合魔法の最終術式を展開する。
「——共鳴術式フロスト・ルミナス・ゼロ!」
氷と光が混ざり合い、空間が震える。
《ヴァルゼン・コア》の核に、二人の感情が直接ぶつけられる。
──爆発。
──沈黙。
──そして、光。
魔核兵器は崩壊し、クロードは膝をついた。
「……なぜだ……感情は、弱さのはずだ……」
レオンは静かに答えた。
「弱さじゃない。それは、誰かを守る力だ」
セレナはクロードに背を向け、王宮の扉を開いた。
「帝国は、もうあなたのものじゃない。これからは、私たちが選ぶ」
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戦いは終わった。
だが、帝国の再建はこれから始まる。




