第16話「反乱軍との合流と帝国の闇」
──帝国南部、山岳地帯の隠れ里。
レオンとセレナは、旅の途中で“反乱軍”と呼ばれる一団に遭遇した。
彼らは帝国の圧政に苦しむ民衆の中から生まれた、非公式の自衛組織だった。
「皇女殿下……そして、王子殿下。まさか、こんな場所でお会いできるとは」
彼らの代表を名乗る青年・カイルは、かつて帝国軍に所属していた元魔導士だった。
今は、魔核兵器の脅威に対抗するため、各地の技術者や魔導士を集めていた。
「帝国は腐っている。クロードのような男が“秩序”を名乗り、民を踏みにじる。我々は、もう黙っていられない」
レオンは静かに頷いた。
「俺たちも、帝国を守るために動いている。君たちと目的は同じだ」
セレナは一歩前に出て、真っ直ぐに言った。
「私は、皇女としてではなく、一人の人間として、あなたたちと共に戦いたい」
その言葉に、反乱軍の面々は驚き、そして静かに頭を下げた。
---
反乱軍の拠点では、魔核兵器の解析が進められていた。
「クロードの兵器は、魔物の残滓を核にしている。通常の魔法では破壊できない」
「だが、聖魔法なら……」
レオンは術式を見つめながら、思考を巡らせていた。
「聖魔法を“拡張”すれば、魔核の構造を崩せるかもしれない。だが、それには君の魔力が必要だ、セレナ」
「私の魔力は、もうあなたと共鳴してる。なら、使って」
二人は術式を組み直し、魔核破壊用の“融合魔法”の開発に着手した。
---
その夜、レオンとセレナは焚き火の前で語り合った。
「……帝国って、こんなに多くの人が苦しんでいたんだね」
「私たちは、王宮の中で守られていた。でも、外では誰も守ってくれなかった」
レオンは静かに言った。
「だからこそ、俺たちが守る。君が“愛”を知ったように、帝国にも“希望”を教えたい」
セレナは微笑み、彼の肩に頭を預けた。
「なら、私はあなたの隣で、帝国を照らす光になる」




