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幕間II
夕方。現実の世界に戻ってきた亮は、色づき始めた空を眺めていた。
GWも終盤。長いようで短い連休も終わる。だが、そんな日々も、亮にとってはただ苦痛でしかなかった。
――いや、あの日から、一日足りとて苦痛じゃない日などなかった。
自分の中の本当の中の自分が首をもたげる度に、それを抑えつけた。縛り上げて締め上げて、それでも湧き上がる衝動をすべて飲み込み、それでも溢れる感覚に苛まれる。そうありたいと願う心を、黒い炎が灼き尽くす。
姿がまぶたに映る度、暗い瞳は泣き濡れる。こんな想いをするのなら、心など、消えてしまって構わない。
世界を照らす日が沈む。明るい空が真っ赤に染まり、静かな闇が、訪れる。




