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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
アンデッド村開拓記編

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【キラーエイプ・キング“ハーレム王”ダナンエルスが討伐されました】

【アドリアンロット北部山嶺地帯南東部を完全解放しました】

【アドリアンロット北部山嶺地帯南東部を支配下に置きますか?】


 ぶっちゃけ楽勝とまではいかなくとも、余裕でした。

 お互い力押し勝負になったら、ダメージを受けないスペクター組が負ける要素などないのです。

 叫びで仲間を呼ばれた時は少し焦りましたが、ドルイドの数はかなり少なく、対処が容易だったのも勝因のひとつですね。


 おっと、システムメッセージにはもちろんイエスですよー。


【アドリアンロット北部山嶺地帯南東部を支配下に置きました】

【現地の氏族キラーエイプが恭順を求めていますが、受け入れますか?】


 はいはい、受け入れ受け入れ。

 ぽちー。


 ゴブリンと違って知恵があるようですね。

 まあボスを頂点としてまとまっていたようですし、ボスの下にボスがいてそれに付き従うゴブリンとは違うということでしょう。


 とはいえキラーエイプなぞを支配下に収めて、一体なんの役に立つやら。


 ま、ひとまずアンデッドの住人を増やすところから始めましょうかね。


「クリエイト・アンデッド!」


 キラーエイプキング・レブナント、キラーエイプグラップラー・レブナント、キラーエイプドルイド・レブナントを作った端から住人配備していきます。


 うん、よし。

 ノーマルキラーエイプはもう必要ないかな。

 ぶっちゃけ生きているキラーエイプの方がいらないんですけど……あ、一体は索敵要員にパーティに入れておきましょう。


 おっと地名も変えておきましょう。

 今のままだとアドリアンロット北部山嶺地帯南東部という長い地名ですからね。

 サル山があることですし、ヤツハカ山にしましょう。


 さて一時間ほどここでも休憩がてら、召喚獣を住人配備しておきましょう。

 ヨサク子爵はここではどんな施策を見せてくれるのでしょうか。

 まあ別に無法地帯のままでも一向に構いませんが。


 おっと先程の戦闘でレベルがまたひとつ上がっています。

 レベル32、ネームドを倒して1レベルアップじゃ、この辺りではもう上げるのは難しそうですね。

 住人を召喚しておきましょう。


 キングに案内させたところ、住人召喚陣はサル山の裏手にありました。


 【ゴーストを召喚しました】


 ああ、対話能力のあるゴーストは重宝しますね。

 正直、スケルトンやゾンビならその辺のレブナントと大差ないのです。


 一時間後はどうしましょうかね。

 城に戻る前に、距離的に近いので森人族の里に挨拶に行ってきましょうか?


 周辺の三地域を支配したので、挨拶くらいはしておくべきでしょう。

 マップを見る限りまだ灰色なので、私が行かないと交易は始まらなさそうですし。


 蜂蜜の需要があればいいのですが……。


     ◆


 結論から言えば、森人族の里との交易はなんとかなりそうです。

 蜂蜜は貴重な甘味として森人族の里では珍重されているとか。


 いやあジャイアントビーを従属支配しておいて良かったですね。


 ところでメニューを確認したところ、ユニオンポイントが50ptを越えていました。

 つまりどこかの支配地にネクロマンサーギルドを誘致できるのですよ!


 どこにしましょうか。


 メオントゥルムとアドリアンロットにはそれぞれギルドがあるので、中間地点となるヤツハカ城あたりにあると便利かもしれません。


 ……というか、そもそもヤツハカ城に行く機会はそうそう無い気がしてきました。


 何と言っても支配地とした以上、もう用事がないんですよね。


 他のユニオンに先を越されまいとして押さえたものの、別に執着する理由はなかったりします。

 アンデッドで溢れた無法地帯が作れただけで、私は満足ですしねえ。


 蜂蜜の交易はジャイアントビーとゴーストに任せればいいのですが、それより道路の敷設を依頼されています。

 森人族の里とヤツハカ村を繋ぐ道路……交易するなら必要でしょう。

 ギルド誘致よりもこっちが重要なんですよねえ。


 建築大臣は既に城に移ってしまっていますし、自力で道路を作るのは難しいでしょう。


 まずはヤツハカ村の様子を見に行きましょうか。

 農具と農民スケルトン&ゾンビ、そしてジャイアントビーと未合体召喚獣の護衛数体の村が、一体どうなっているのか現状視察をしておかなければなりません。


     ◆


 …………ヤツハカ村に到着しましたが。


「あ、どうもカナコさん。ノマキさんもお揃いで」


 不機嫌な顔で出迎えてくれたのは、散々メッセージで「今どこで何してる?」「秘密♪」というやりとりをしていたカナコさんです。

 ノマキさんは「またファナが変なことやってるなー」くらいの軽い気持ちでついてきたようですね。


「ここまで来たということは、レベリングは順調のようですね」


「15になったから、森人族の里に戻るところだった。けど多分、なにかあるだろうと思ってレベリングがてら近くを通りがかったら、ミニマップにヤツハカ村が表示されたので、やって来た」


「あ、はい。普通に表示されますもんねー。これ隠したりできないんでしょうか」


「それより、ここがユニオンの支配地ということでいいの? 村とかできているけど、本当にソロで何しているの」


「いやー話すと長くなるようで短いんですけど、ちょっとアンデッドで村を作ったら楽しいかなーなんて思って、実行したんですよ」


「ふむ。その様子だとここだけじゃない、と思うけど?」


「ぐお、さすがカナコさん。私のことをよく分かってらっしゃる」


「何箇所、支配したの? 北西部が支配されているなら、北東部と南東部、南西部は森人族の里もあるけど……まさか」


「いやいやいや、森人族の里とは友好関係を築いていますよ! 道路を引いて、蜂蜜の交易をする予定ですよ!」


 その言葉にノマキさんが「え、蜂蜜が手に入るのか!?」と喜びます。

 そんなに甘味に飢えているのでしょうか。


「いやー果物とかあるけどさ。蜂蜜は保存も効くし、料理にも使うんだよ。発酵させれば酒にもなるしで、いろいろ便利なのさ」


「ああー、そういうことですか。沢山あるので、沢山買っていってくださいね」


 カナコさんは不審げな顔で、私に問うてきました。


「……道路を引く?」


「そうですよ。ユニオンポイントというものがあって、本当はネクロマンサーギルドでも誘致しようかと思っていたんですが。でももう、支配地に来る用事もそうそうないし、交易をするなら道路――」


「その辺はヘルプを読んで分かっている。それで、幾つ支配地を取った?」


「う、その。……三箇所です」


「…………」


 カナコさんが呆れ果てたと言わんばかりに表情を崩します。


「そう。なら道路が最優先。アドリアンロットとメオントゥルムの行き来を楽にするための道路の敷設」


「んん? なんでそんな大計画に発展しているんです?」


「主に攻略組からのヘイトが凄いって、気づいている?」


「ああ、まあ。急いで支配地を取りに来たのも、攻略組を筆頭に他のユニオンに先を越されないためですからねー」


 まあ深く考えずに手に入るなら自分で手に入れてしまえ、という精神だったのと、アンデッド村が作れるというテンションで我を失っていたのは否定できません。


「妥協点がふたつある」


「ほっほう。つまり私の独断専行というか独占支配を許してくれるというわけですか?」


「そう」


「具体的には?」


「私が監査役としてユニオン『グレイブキーパー』に所属し、ファナの動向を監視すること。それから、先程も言った通り、アドリアンロットとメオントゥルムとを繋ぐ道路の敷設。街道の安全を確保し、中間地点の支配地にはできれば宿などを設けるのが望ましい」


「なるほどー」


 つまりメオントゥルム行きと同様、カナコさんは私の監視役というか掲示板係、アドリアンロットからメオントゥルムに来るのが難しいプレイヤーの支援をしろ、ということですね。


「そのくらいなら構いませんよ。正直、戦闘力のある住人が割りといるので、道中の安全くらいは確保できるでしょう」


「戦闘力?」


 不審げにカナコさんが見るのは、私の配備している召喚獣ですが、ノンノン。


 ハイゴブリンロード・レブナントとキラーエイプキング・レブナント率いる近衛部隊たちが、街道の安全を守るに相応しいでしょう。


「では一旦、カナコさんのユニオン加入のためにメオントゥルムに行きましょうか」


「分かった。ノマキ、悪いけど……」


「おう。私はまだ里に戻っても試練を達成できそうもないから、別に里帰りは後回しでいいぞー」


 あ、ノマキさんは帰る途中だったんですね。


 そんな感じで、ユニオン『グレイブキーパー』のメンバーはふたりに増えたのでした。


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