夫婦絵画展
やるねぇ。
夫婦絵画展がまじかに迫った頃、景気づけにとうなぎを両親にご馳走しました。
そのついでといってはなんですが、
「この夫婦展のこと書いていい?」
と、私は尋ねます。
「別にいいよ」
とのこと、ま、断られることはないだろうと思っていましたが、実にあっさりとしたものでした。
しかし、どのくらいの程度といいますか、力で書こうか、ちょっぴり悩みどころではありますね(笑)。
では、ほんの少し息子からみた両親の姿というか特徴をお伝えします。
親父は・・・お酒が好きで、陽気で目立ちがり屋で、ちょっぴり偏屈で、そもそも、ふてほど世代ど真ん中ですからそういう、癖アリ要素も持っている人であります。
もう行動力に関してはズバ抜けていて思ったらすぐ動きます、あとマイペース過ぎます。
例えば今回の件もそうですが、車の即買い、外食にいった時、自分が食べ終わると、「ごちそうさま」と周りがまだ食べているのに立ちあがってしまうタイプです。
一言で表すなら、面白くて、寂しがり屋で優しい人ですかね・・・言い過ぎたかな(笑)。
母は優しい人で正直、私は結婚するまで甘やかされて育てられました。
奔放な親父に振り回されつつも、文句言いつつもしっかりと寄り添うような人です。
若い頃は大変な美人で、小さい頃は自慢の母だったのですが、中年域に差しかかった頃から二重顎が目立ちはじめ・・・あ、読まれると腹をかかれるからやめましょう(笑)。
自称他称ともマザコンと呼ばれる私、ママン大好きですよ(笑)。
一言で表すとしたら、優しくて、今までのいろんなことをまんざらでもないと思っている人ですね(笑)。
秋のある日のことです。
念願だったと豪語する父とそうでもない母の絵画夫婦展が開催されました。
父の退職を機に、本格的に絵をはじめたふたりです。
父はもとから漫画や浮世絵など絵を描くのが好きで、母は内職で提灯絵師をやっていました。
ようく、父が鉄人28号の絵を自慢げに書いてみせていたのと、駐在所に勤めていた頃、自ら新聞を作り、自分をデフォルメした四コマ漫画を一生懸命書いていたのを思いだします、それから歌舞伎の絵や龍の絵を見よう見まねで描いてましたね。。
母は祖父祖母から提灯絵師の技術を教わり、長いこと目や腰など体調の不良を抱えながらも描いていました。
そういう素養があったふたりは、意外にも地方の展覧会に出品すると賞をとっていました。
・・・父は欲がでたんでしょうね(笑)、これ(展覧会しても)いけるんじゃねと、めちゃくちゃ目立ちがり屋ですから・・・私に似て(汗)・・・あ、私がか(笑)。
思い立ったら吉日と数年前から、じっくり準備をかけてやって来た老夫婦であります。
ふたりは限られた予算を補うため、ある時は額縁を自作し、ある時は手作りのポスターを描き、せっせと作品を描いてきたのです。
涙ぐましい努力の一方、父の並々ならぬ思いが、及び腰の母を奮い立たせ、ついに開催までこぎつけたのであります。
うおっほん。
それでは、私こと息子の大介がその模様をリポートしたいと思います。
本当に念願だったのでしょうね。
そりゃあ、もう開催まで熱心に取り組んでいました。
絵の作成は勿論、件の手作り額縁にポスター、親類縁者への案内葉書、挨拶文など多岐に渡って頑張っていました。
いい年したジジィとババァがですよ・・・失礼しました。
人って目標があるといつまでも輝けるんですね。
ワシもこの場があるしね・・・よかこっちゃ、そういう場所があることはまさに感謝感謝です(笑)。
更に親父は自らアピールをして、西◯本新聞からの取材をげっとしました。
どういうバイタリティーだよ(笑)。
開催前にしっかりと紙面に載っていました。
写真が二枚とそこそこ絶賛の紹介文・・・なんか記者さんに贈った?(笑)
あんまりやり過ぎて、ふたりにプレッシャーがかからない?なんて思いましたが、せっかくの得難い経験ですものね、楽しまなきゃソンソンです。
終わったあとの燃え尽きもなんとなく怖いなぁと思っていましたが「次は個展だ」なんぞ息巻いているので大丈夫でしょう。
こっちは、出来る限り応援とお手伝いするのみです。
是非とも成功しい欲しい、そんな気持ちでいっぱいなのです。
うちの会社の同僚にも、こういうのやるよと案内葉書を船頭部屋のテーブルに置きました。
なかなかに興味を持つ方もいました。
いうても、父母も高齢です。
あんまり、こっちがデーハーにするのもな・・・。
でも奥さんは、親類やお友達に声をかけてくれました。
うん、やっぱり嬉しいですね。
そうね~私もっ!と思いつつ自重しませう。
いよいよ開催目前と迫ってくると、親父がちょっぴり暴走気味となってきました。
「テレビの取材もあるといいなぁ」
なんぞと言っているそう。
新聞に飽きたらず・・・今度は。
そんな親父を宥める母。
だいぶテンションがあがっているようです。
開催するという喜びだけでいいんじゃない、私はついそう思ってしまいます。
謙虚さは必要だと思うのです。
こっそりそう伝えたいけど、前を向いてしまった親父はとことんなので、夫婦展が無事終わったら言いましょう。
いや、母に言っておくべきか・・・。
全力投球し過ぎて、大丈夫かしらん。
76歳と73歳、無理はしてほしくないというのも息子としてはあります。
まあ、老け込む年ではないけどね。
今回、私は仕事を二連休しました。
気合の入る我が親たちの熱にほだされましたね。
夫婦展前日絵の搬入や準備と開催日当日です。
親たちには、昼から半ドンをとった奥さんとお義父さんと一緒に来ればいいと言われたのですが、なんだかこっちもソワソワしてきました(笑)。
せっかくなら、夫婦展の開幕をこの目で見たいなあと思ったのです。
・・・ふと、運動会や授業参観に来る親の気持ってこんな感じなのかと。
ついでに思春期に、旅行やイベントごと親に誘われて断っていたのがもったいなかったなあなんて思いつつ・・・。
なので、こんなせっかくの楽しい機会を見逃すのはもったいないと・・・はい。
父母のガチガチに緊張する姿をみてみたーい(笑)。
という訳で、プレ初日の動きをご紹介します。
11時に実家に集合します。
搬入作業メンバーは、長女夫妻、それに次女、私と父母です。
お弁当を食べ、軽い世間話ののち、車へと絵を搬入します。
ある程度、段ボールなどで梱包された絵画を次々と3台の車に運びます。
およそ、美術品を扱うには、どうかと思うぐらいの大雑把な手際で詰め込み会場へ。
搬入口に車を停めて、台車を借りて、スタッフさんと協力して、何度か往復してすべての作品を無事、会場へと搬入します。
次に親父たちの指示に従って、ワイヤーに吊るされたフックに絵画の裏紐を引っかけて、脚立にのぼって吊り下げます。
大きい作品は2本のワイヤーで左右を吊るします。
当初はかなり高い位置に設定してしまい、スタッフの方のアドバイスで目線の高さまで位置をかえます。
これが結構、ムズくて何度も左右のバランスを整えたり、上げ下げして・・・いや~妹の旦那さんが来てくれて助かりました、テキパキやってくれて、うちらだったら、きっと作業終わってないです(汗)。
続いて、残った小作品を穴のあいたパーテンション可動式のボードにフックをはめ込み、掛けていきます。
時計を見ると、13時過ぎから作業していたのに16時を回っています。
おまけで奥さん自慢の小品を並べ、折を見て状況をスマホでパチリ
パチリと写します。
本日、保育園で誕生会があった次女の甥っ子(4歳)が、ハイテンションで忙しく走り回っては、絵の下の案内の紙をひっくり返したりして、らしさを全開していました。
ほんに3時間以上という長丁場、一番我慢したのは彼だったのかもしれません・・・楽しそうではあったけど。
親父がテーブルの上に案内のPOPを準備し、母は残りの作品をボードに掻けていきます。
なんということでしょう!
持ち込んだ作品の全てを飾ることができました。
ただ、思ったよりかなりの時間がかかりました。
途中、フライングで学生さんたちが覗きにきたり、親父の友人の方も来られて、夫婦展いよいよだなと実感が湧きました。
では、ざっくりと夫婦絵画展の並びという構成といいますか、まずは部屋へ入ってすぐ、親父の作品が冬から秋という季節にかけて並びます。
これはおそらく、親父がやる気をだすきっかけになった作品が、冬の情景の絵(一番いい賞)だったと邪推します。
続いて母の力作コーナーがあり、うちの奥さんの小物コーナー、お世話になった方々の遺作コーナー、それからパーテンションに掛けた小作品コーナー、テーブルには挨拶のPOP、スケッチブックの作品が並びます。
おそらく数えてはいないけど100作品以上はゆうにあると思います。
恐るべし父母、ちなみに割合的には父が7割、母2割、その他1割といったところでしょうか。
17時前に一旦解散となります。
さあ、明日はいよいよ夫婦絵画展の開幕です。
夫婦展の初日、私は7時半家をでて、実家へ向かいます。
到着して、父母と一緒に会場入り。
着くとお花が届いていて、梱包を解いて飾ったりしていると続々と親父たちの知り合いの方々がみえられます。
ほどよいところで、私は一旦退散し、奥さんたちがやって来る昼過ぎまで時間を潰します。
ええ、パチンコ屋で少々・・・そりゃあ、父と母のイベントですもん。
私のやる事なんて、お手伝いぐらいでたかがしれていますよ。
軽く負けたところで(笑)、昼飯をココイチで食べて会場へと戻ります。
会場には、ぼちぼちお客さんもいて盛況です。
ほぼ7割方は親類縁者のような・・・(笑)。
すると、奥さん方の親戚の皆様が来てくれました。
本当に久しぶりに会って、ぎこちなさMAXです。
奥さんもほどなくお義父さんを連れて、こちらにやって来るまではホストをつとめます。
すると、会社の同僚が来てくれました。
そして、うちのばあちゃんまで・・・。
施設の方が無理をしてくれて「みたい」と言った、ばあちゃんの意を酌んでくれて連れて来てくれました。
本人、直前まで忘れていたそうですが、母が車椅子をおしてゆっくりと案内していました。
よかね、こういういろんな方に会えるのも、やってみてこその事ですからね。
で、奥さんも到着、絵を眺めつつ、話しに花が咲きます。
素敵な小物だと褒められ、彼女もまんざらではなさそう(笑)。
私の書けるところはここまでとなりました。
あと、数日、夫婦展は行われるのですが、私は仕事でございます。
父母には、なんとか無事に乗り切って欲しいです。
きっと大丈夫、心配ないさー(笑)。
土日は奥さんが動けるのでバトンタッチ!
本当にね、よか年をして父母はやりましたよ(笑)。
いや、年齢じゃないんだなと、いつでも人は思えばやれるんだと、改めてそう思わされました。
私もまだまだっ!
ふたりには感謝ですね。
そして、この夫婦展を開くことで、懐かしい人と再会したり、新しい人と出会ったりも・・・なんか、うちの親、羨ましいなあなんて思っちゃいます。
素敵な老後を送る・・・よかこっちゃなかですか。
とりあえず、私の視点からの夫婦展でした。




